米の価格上昇が続くなか、農林水産省が「備蓄米をできるだけ早く放出」する考えを発表し、米を扱う飲食店では期待の声があがっている。
また、ある卸売業者は、米の高止まりが続く要因に、一部の業者が米を余分にストックしていることに原因があると指摘している。

米の価格上昇止まらず

揚げたての天ぷらが、どっさりと丼の上にのせられた天丼。
欠かせないのはもちろんホカホカのご飯だが、米の価格は上昇し続けている。

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天麩羅 秋光・谷原秋光代表:
いろいろ工夫はしているが、(米は)絶対国産にはこだわりたい。その国産がめちゃくちゃ高いので、でも仕方ないですよね。

農林水産省は、10日午後、全国約1000のスーパーの米5kg当たりの平均店頭価格を発表した。

2月2日までの1週間は、前の週よりさらに38円値上がりし3688円。
これまでで最も高くなったことが分かった。

仕入れ値“2倍”に上昇も…

東京・浅草にある人気の天ぷら店では、10日も多くのお客さんがボリューム満点の天丼に舌鼓を打っていた。

この店の米の仕入れ価格は、2024年に比べて2倍に上昇。
しかし、値上げは行っていないという。

ご飯大盛り無料サービスも
ご飯大盛り無料サービスも

さらに、ご飯の大盛り無料サービスも続けているが、これ以上米の値上がりが続けば、値上げに踏み切らざるを得ないという。

農水省が“備蓄米放出”発表

こうした中、農林水産省は7日、備蓄米をできるだけ早く放出する考えを発表。

今週にも入札で売り渡す数量などを示す方針で、耐えてきた店では「それは期待したいですね。うちはお米いっぱい使うので、値上げも考えなくて済むのでは」という声が上がった。

備蓄米は、災害や不作などの緊急時に備え、政府が保有している米のこと。

毎年20万トンから21万トン程度買い入れ、5年保管することで常に100万トン程度備蓄されている。保管期限を過ぎたものは家畜の餌として販売される。

一部業者が米を余分にストックか

その備蓄米の放出方針のニュースで、米の価格に動きはあったのだろうか。

FNNは群馬県にある米の卸売業者「金沢米穀販売」の金澤富夫代表に話を聞いた。

ホテルやレストラン病院、給食用に米を卸しているというが、「今は極端な(価格の)変化は出ておりません。(備蓄米が)いつわれわれの手元に届くのか全然決まってないので」と、まだ米の価格に変化はなし。

金沢米穀販売によると、米の高止まりは一部の業者が高く売れるタイミングまで米を余分にストックし、流通が滞っているためだという。

「何とか早くして」詳細発表を急ぐ声

金澤代表は「(米を)抱えている方がお米を出す気持ちになってくれることが大切」と話す。

備蓄米が放出され、流通量が増えて米が値下がりする可能性が高まると、業者がストックしている米を値下がりする前に売りに出すことが期待される。

そのため、できるだけ早く備蓄米の放出について詳細を発表してほしいという。

金澤代表は「何でもそうですけど機敏さがないと。何とか早くしていただきたい」と語った。
備蓄米の放出で、米の価格の安定につながるのだろうか。
(「イット!」2月10日放送より)