当時気付いた人、いなかったんじゃ?
GPUでお馴染みNVIDIAのCEO、ジェン・スン・フアン氏。4月に行われた基調講演「GTC21」では、豪華なキッチンの前に現れ新製品についての説明を行ないました。
その時見ていた視聴者は、おそらく何の疑問も持たなかったことと思いますが…実はその一部の映像は、フルCGによるレンダリングだったことが同社のブログで明かされました。
14秒だけのCGだった
こちらがその基調講演。CG社長は、1:02:41から1:02:55秒までの14秒間です。
場面転換で合成されている様子が見られますが、それもこれもがフルCGだったからこそ。その秘密は、次の動画で詳しく分かります。23:05からチェックしてみてください。
このアイディアは、コロナ禍で発表がオンラインになったことと、チームがテレワークでの分業を強いられたことがきっかけで、こうしてNVIDIAの実力を示すことにも繋がりました。大きな挑戦だったことが伺えますが、「災い転じて福となす」ですね。
見えない部分まで作り込まれている
使われたのは、リアルタイムに仮想の共同作業を可能にする「NVIDIA Omniverse」というオープン・プラットフォーム。
キッチンはフアン氏の家で大量の写真を撮影し、ネジやコンセント裏にある隠れた部品など、おそらく6,000~8,000個ものパーツが3D化されキッチンを構成しています。しかしそこには、コーヒーミルに会社のロゴを載せたり、オリーヴ油の缶は名前を変えたり、レゴのミニフィグになったフアン氏が後ろにいたりと、イースター・エッグも隠されています。
膨大な写真を元にAIで生成
フアン氏をCG化するにあたり、氏の家の裏に100台以上のデジカメで全方位から撮影できる設備を積んだトラックがやって来ました。そこで一気に何千枚も撮影し、あとからAIを使って氏の顔を作り、声とセリフを編集して演者によるモーション・キャプチャーで動きを付けました。セリフと身体の動きを自然にリンクさせるのが大変だったそうですが、結果は超リアルで、こうしてタネ明かしをされないと分かりません。
NVIDIAおよび「Omniverse」にとっては、このタネ明かしが絶大なアピールになったことと思われます。今後はフアン社長が発表会や基調講演に登壇しても、本物なのかCGなのか疑って見るようになっちゃいますね。