また1つ、伝説のミッションが終わる。
欧州宇宙機関(ESA)が1月15日、天の川銀河地図作成のミッションを続けてきた天体観測衛星「Gaia(ガイア)」の運用を終了すると発表しました。Gaiaは2013年12月19日にフランス領ギアナから打ち上げられ、我が太陽系のある天の川銀河のマッピングを行なってきました。
この11年間、微小隕石の衝突や太陽嵐に襲われながらも、重ねてきた観測回数は約3兆回。発見した星は約20 億個にのぼり、小惑星や系外銀河、太陽の約33倍もの質量を持つブラックホールなど、宇宙の謎を数多く解明してきました。
Gaiaは打ち上げ以来、1日に約12gの冷却ガス推進剤を消費していますが、その推進剤が間もなく空になってしまうことから、運用が終了になるのだそう。
今後、2026年半ばまでに5年半分のデータを解析したデータセット「Data Release 4(DR4)」が発表され、その後、Gaiaからすべてのデータをダウンロードしたうえで、11年分の全ミッションデータを解析する「Data Release 5(DR5)」の作業が始まります。これは2020年代末までに公開される予定。すべてのデータが解析されれば、さらに銀河の誕生や進化についての洞察が深まるでしょう。
Gaiaの科学観測は終了しますが、今後数週間にわたっていくつかの技術試験が実施される予定。その後、他の宇宙船への影響や干渉を避けるため、2025年3月27日に不活性化され、地球の影響圏から遠く離れた太陽中心軌道に投入されます。
技術試験中、Gaiaは一時的に数等級明るくなるため、小型望遠鏡でも観測しやすくなるそうです(肉眼では見えません)。
Gaiaとは大地の女神の名であり、「地球」そのものを意味する言葉でもあります。今夜は星空を見上げ、11年もの任務を終え、静かに終わりのときを待つGaiaに思いを馳せてみませんか。
Source: ESA