キャンプの楽しみのひとつといえば料理。中でも焼きものは手軽に調理できる上、食材の味をシンプルに楽しめる調理法です。使うアイテムは鉄板や網が一般的ですが、個人的に最近の注目はカーボンプレート。簡単にいうと炭でできた板です(そのままですが…)!
理由は簡単。鉄に比べて質量が軽く、錆びず、熱伝導率が高く、遠赤外線放射率が高く、食材をおいしく焼けるから。牛肉だけでなく鶏肉や豚肉はもちろん、干物や野菜を焼いてみると“一味瞭然”! 中が硬くならずにしっとりしたまま加熱できるのです。
そんなカーボンプレートですが、ただの板の切れ端ではありません。昨年登場したフィールドメイクの「グリルプレート CGGP-01」(1万8550円)はアウトドアにちょうどいいサイズで、一見シンプルながら、技術がグッと詰まったアイテム。
そこで今回、フィールドメイクを開発・販売しているフタバモデル製作所にお邪魔して、開発に至った経緯から、どのように製造されているかまで話を聞いてきました。
ちなみにここでいうカーボンとは、アクリル繊維などを高温で熱して炭化させ、他の合成樹脂と組み合わせて編み込んで使う「カーボンファイバー」ではなく、炭を高温で熱して不純物を焼き切った純粋な炭。つまり、炭素素材を黒鉛化した「カーボングラファイト」のこと。スポーツ用品やモータースポーツのパーツなどで見る市松模様のカーボンとはまったく別物なのです。
■「フィールドメイク」とは?
フタバモデル製作所は、岐阜県に拠点を置く、金型加工から検査治具製作、自動車部品試作、航空機部品試作・量産、カーボン部品試作・量産など、幅広いモノづくりを手がけている切削加工メーカーです。
得意分野は「設計・切削・塗装」。木材から樹脂、ゴム、鉄、カーボン、チタンまで難なく加工します。中でもCFRP(炭素繊維強化プラスチック)の加工にはいち早く取り組み、2006年にCFRPの加工、翌2007年CFRPの成形を開始。2011年には岐阜県安八郡安八町にカーボン成形加工用工場を増設するなど、この約20年はカーボンと共に歩んできました。
そして、「難しい仕事ほど面白がって取り組もう!」という会社のスローガンの下、長年培った技術を活かし、2015年にカーボンファイバー複合材で作るカーボンアイテムのブランド「MADNESS(マドネス)」を立ち上げました。
そんなフタバモデル製作所がなぜ今回新たに独自ブランドの「フィールドメイク」を作ることになったのか。そして、そこにはどんな思いがあるのか、フタバモデル製作所のゼネラルマネージャー・加藤智章さんに話を聞きました。
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