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- モルガン・スタンレーのマイク・ウィルソンは今、株式市場に対し強気となり、2025年のS&P500の目標を6500とした。
- ウィルソンはFRBの利下げと規制解除の可能性を挙げ、質の高い循環株がアウトパフォームするだろうと述べている。
- ウォール街の中では稀な弱気派だったウィルソンにとって、これは方向転換だ。
モルガン・スタンレー(Morgan Stanley)のストラテジスト、マイク・ウィルソン(Mike Wilson)が、株式市場に対し強気の見方を強めている。
11月18日のメモの中で、最高投資責任者(CIO)で米国株ストラテジストのウィルソンは、2025年末のS&P500の目標株価を6500に設定した。これは、現在の水準から11%上昇する可能性があることを意味している。
過去数年間、彼が株式市場に対して弱気だったことを考えると、この決断は注目に値する。ウィルソンは2022年の下げ相場を的確に予想しながらも、2022年10月に始まった株式市場の上昇局面の大半において弱気の姿勢を貫いていた。
ウィルソンは以前、2025年半ばのS&P500の目標株価を5400としていた。S&P500は11月18日、5900前後で取り引きされている。
ウィルソンによると、アメリカ連邦準備制度理事会(FRB)による利下げと、経済成長の改善および来るべきドナルド・トランプ(Donald Trump)の政権下で規制解除の波が来る可能性を考慮すれば、投資家は株式に対して強気に傾くべきだという。
「(2016年の選挙後がそうだったように)選挙後に企業の『アニマルスピリット』が高まれば、2025年の市場全体をよりバランスの取れた収益構造にする可能性がある」とウィルソンは述べた。
ウィルソンは、株式市場の上昇傾向について、以前は懐疑的だった。それはバリュエーションが高いせいだ。依然として「割高」であることを認める一方、経済が持ちこたえる限り、このバリュエーションが正当化される可能性があるという。
また、極端に高い訳でも低い訳でもないとメモには記されている。
「S&P500の株価収益率の中央値は19.0倍とそれほど拡大しておらず、我々が予想するように2025年に業績回復が拡大すれば、下支えは続くだろう」とウィルソンは述べた。
ウィルソンは投資家に対し、特に金融セクターの銘柄を中心に、質の高い景気循環株を保有するよう勧めた。
その一方で、消費者裁量株や消費者関連株のアンダーウエイト・ポジションを推奨している。価格決定力が限られており、トランプ関税という潜在リスクがあるからだ。
ウィルソンは株式に対して強気へとシフトしたが、投資家に対しては「すぐに動けるようにしておく」べきだと述べた。リーダーシップが交代する上、トランプ次期大統領の移民、世界貿易、政府支出関連の政策は不透明だからだ。
「政策の実施によって我々は別の大変化を経験するかもしれない。それは市場にとって、短期的にも長期的にも影響を与える可能性がある」とウィルソンは述べた。