5週間ぶりに海底ケーブルが復旧 海底噴火被害のトンガ
海底火山の噴火と津波の被害を受けた南太平洋の島国トンガで22日、5週間ぶりに海底ケーブルが復旧した。
今年1月15日に発生した噴火と津波では、3人が亡くなったほか、数百件の住宅が被害を受けた。また、海底ケーブルが損傷したことで、世界の通信網から断絶されていた。
この海底ケーブルは、フィジーとトンガの間をつなぐ全長840キロにわたるもので、唯一の信頼できるインターネット通信網だった。
海底ケーブルの修復までは人工衛星サービスを利用していたが、その範囲は限られていた。噴火から1週間後には低速のインターネットサービスが再開したものの、支援物資などが届く中、高速通信サービスは利用できない状態が続いていた。
22日午後になり、同国の通信大手デジセルとTCCは、主要島でインターネットが復旧したと発表した。
ただし、周辺の島々にサービスを提供している国内のケーブル修復作業はまだ完了していないという。
ソーシャルメディアでは、トンガ国民がオンラインに戻ったというニュースを拡散している。家族や友人との連絡も格段にしやすくなった。
シャオシ・ソヴァレニ首相は豪テレビ局ABCの取材で、「インターネットに再び接続できてとてもうれしい」と語った。
「人工衛星で一部は利用できていたが、ケーブルが復旧した現在の接続能力とは比べ物にならない」
「損害の規模を思えば大仕事だった。4週間で修復できると思っていた」
1月のフンガ・トンガ フンガ・ハアパイ火山の噴火は、第2次世界大戦中に広島に投下された原爆の何百倍もの威力があったとされている。これにより、海底ケーブルが80キロメートルにわたって被害を受けた。復旧作業は、当初の予定より10日多くかかった。
トンガ政府によると、この噴火で国民の85%が何らかの影響を受けた。首都を含む複数の地域が灰に覆われ、飲み水の確保が難しくなったためだ。
BBCが先週行った独占取材でソヴァレニ首相は、トンガの人々はなお、むごい経験から立ち直るのに苦労していると語った。
「来月には住宅の再建を始められる状況だが、精神面での回復にはもう少し時間がかかると考えている」