トンガの被災状況、写真で一部明らかに
トンガの海底火山の噴火と津波の被害が、現地の写真から明らかになってきた。
欧州連合(EU)のトンガ代表部が19日に公表した写真では、トンガ各地が厚い火山灰に覆われている状況がわかる。沿岸部では木々が津波になぎ倒され、建物が破壊されている。
南太平洋の島国トンガでは15日夕、ヌクアロファの北約65キロで海底火山が噴火した。爆音は遠く離れたアメリカまで届いた。この影響で高さ1メートルを超える津波が発生し、イギリス人を含め少なくとも3人が死亡した。
通信網が大きな被害を受けたが、国際電話回線は復旧したとされる。同国に通じる唯一の海底ケーブルは2カ所で損傷し、修復には数週間かかる可能性がある。
現在も外国と連絡が取りにくい状態にあり、被害の全容は明らかになっていない。
灰が積もり、がれきが散乱
公表された写真からは、首都ヌクアロファで車や道路、建物に火山灰が積もっている様子がわかる。
津波の爪痕も見て取れる。沿岸部ではがれきが散乱している。トンガ政府は沿岸部の被害を「未曾有の災害」と呼んでいる。
一方、ニュージーランド空軍が撮影した航空写真は、いくつかの島で村が流失した様子を示している。これらの島は今も孤立状態にある。
下のトンガタプ島の衛星写真(プラネットラブスPBC提供)では、中央の白丸を左右にドラッグすると、火山噴火前の1月14日と噴火後の同16日の状況を比較できる。16日の写真では、集落が確認できなくなっている。
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滑走路の灰を除去
現地への救援物資の運搬と、損傷した海底ケーブルの修復に向けた努力が、昼夜を分かたず続けられている。
トンガの主要空港では滑走路に灰が積もり、食料や飲み水などを運ぶ外国の航空機が着陸できずにいた。
AFP通信によると、滑走路から厚い火山灰を除去する作業は19日に完了した。救助隊やボランティア数百人が、ショベルや手押し車を使って懸命に取り組んだ。
救援物資の運搬機はまもなく着陸できる見通しだと、当局者は話した。
国際電話が復旧か
通信状態は悪く、首都にある外国大使館などが使っている衛星電話が主な通信手段となってきた。
そうしたなか、通信会社デジセルは19日、国際電話回線を復旧させたと述べた。だが、BBCがトンガにかけた電話はつながっていない。
海底ケーブルを修復し、インターネットを含めた通信回線を完全に復旧させるには、4週間以上かかる可能性がある。
国際赤十字赤新月社連盟(IFRC)は19日午前、トンガのチームと災害発生以降初めて連絡が取れたと明らかにした。
ケイティ・グリーンウッド太平洋代表団長は、「残念ながら、トンガからは夜間、人命が奪われ家々が破壊されたとの衝撃的な知らせを受けた」と、BBCの番組ニューズデイで話した。
IFRCでは清潔な水を配るとともに、飲み水を確保するため雨水タンクに灰を入れないよう住民に呼びかけているという。
運搬船が21日到着予定
救援物資を積んだニュージーランドとオーストラリアの軍用艦は、21日に到着するとみられている。
ニュージーランドのピーニ・ヘナレ国防相は、同国の艦船には水25万リットル以上と海水から塩分を除去する器具が積まれているとBBCに説明。
「トンガ政府が最も必要としているのが真水だ」と述べた。
一方、トンガの当局者は、物資の搬入が新型コロナウイルスの流行につながることを懸念している。同国で確認された感染者は、昨年10月の1人だけとなっている。
現地の商店では食料品が不足していると報じられており、物資を送り届けることが優先事項となっている。