裏社会を生きる少年たちとその周りの人たちが織りなすハードボイルドなお話。読み放題にて6巻まで読了。
裏社会で生きるユキの生き方にスポットを当てて始まったこのお話。何か大きなものが蠢いている不穏な空気とそこに生きる個々人の人生に様々なストー
リーがあり、物語が常にうねって進んでいる感じがしました。本筋がどこにあるかを掴みたくてどんどんページを捲ってしまうのですが、読めば読むほど人間関係が複雑に繋がっていき、頭が心地良い混乱に囚われていきます。登場人物が多いのに一人ひとりにちゃんとしたストーリーがあり、またそれぞれの関係性が濃く、更には全てを繋げて存在させる。見えている世界が少しずつ広がっていくにつれ、作者様はどこまでの世界観を創り上げているんだろうと驚嘆と尊敬の念が湧き出してきます。
ユキの世界から、親世代の世界へ。全てが繋がる関係性は見事ですが、見方を変えれば、全てが繋がっているがゆえに抜け出すことがとても難しいことを表していると思いました。ユキはまさにその象徴で、親世代のツケを全て背負い、誰よりも辛い人生を生きてきたと考えると、本当に不憫で仕方ありません。みんな悲しみを背負って生きていますが、ユキの不幸は他の人のそれとは全く違い、生きるための苦しみが深く暗く、胸を抉ってきます。ユキには誰よりも幸せになって欲しい、だからこそこのお話を最後まできちんと見届けたいと思います。
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