男嫌いの双子姉妹がその男嫌いを克服する話とその後。双子の性格描き分けがそれぞれのロマンスを行く、という感じで良かった。
女ばかりの家族、女子校から共学校への転校、男子、クラスメート。設定は少女漫画ならさもありそうな方向性なのだが、さすがう
まい一条先生の手堅い心情描写で楽しかった。
こういう恋愛物にお定まりの横恋慕も、着地が意表を突いていて、そういうところもやはりただ者じゃないから、だから「りぼん」誌に長年君臨していたんだなと納得する。私は同時代には掲載誌で読んだことはなかったが、既に先生の名は轟きわたり、押しも押されぬ少女漫画界の第一人者的名声を恣にしていたことは充分認識していたので、当時からもっと一条ゆかり先生の作品は数多くしっかりと読みたかった。だが、単行本購入に踏み切る前の作品個別の評判が判らなくて、ストーリーも掴んでおらず書店で候補を絞れなかった。今ならこういう電子空間上での情報量豊富で、事前にある程度内容も感触もつかんで購入に踏み切れる。当時からは考えられない位便利だ。時間もお金も限り有る為、そこは本当に嬉しい。
こちらも一条先生の作風が出て丁寧さがよくわかる絵に、泥臭くなくおしゃれな感じが飛び交って、眺めて楽しく、話の筋も軽妙で退屈させない。さすがだ、と思う。
タイトル作が133頁。同時収録の姉妹作品的「ロマンチックあ・げ・る」85頁。1988〜9年発表。
伊集院兄妹の投入は、その立ち位置には面白さがあったものの、途中ややかき回し方が設定の割には普通だった。
4.5のつもりで。
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