その結婚に疑問があるなら、やめるというのは、本当はとても有効な解決法だと思う。
又聞きだが、式場に現れずの土壇場キャンセルは二件ほど聞いたことがあるし、成田離婚も一ヶ月離婚も身の回りにある。招待状来た後延期の通知が来たこともある。幸せは他
人のものじゃない。道徳の為に結婚するのでないし、親がいい縁組みだと舞い上がっていたとしても、自分にとっていいとは限らない。
高山先生の人物の絵は私にはサラッと描かれ過ぎていて、余り眺めて目で楽しむことが少ない。そこがいつも物足りなかったけれど、この作品は、ヒロインの結婚に踏み切れなかった揺れ動きや、ザックの一歩ヒロインに踏み込んでこれない心境がよく分かるため、そこを味わってじっくり読めた。
七人の小人達は白雪姫の登場を喜び懐いた。毒林檎を詰まらせていたのは王子の方。ちょっと引っ掛かっていたなどというレベルではなく、しっかりと突き刺さっていた。
だから、ザックの心が目を覚ましてくれるのは、一度すれ違い合った船として自分の生活に互いが戻ったあと。ヒロインのドタキャンはドタキャンで波紋を呼んでいるが、ザックの心にあるためらいは突き刺さったままの再会。
そこを乗り越えることだけに本作は絞っている。私はそれでいいと思う。実際、収拾は大変なのはわかるが、主眼は喉に刺さっていた彼の林檎が取れること。
私もアダムを一発殴りたいと思った(97頁の挑発的台詞!)。
私はどうもチャリティーとは言っても、人に値段付けすることがいい気がしない。正に値踏みそのもので、壇上の人物のみならず、出品者全員に失礼と感じてる。
それはさておき、この再会の場の作り方が余りに作り話っぽさを出してしまった気がする。
堂々とお持ち帰り出来たはいいが。
この状況での破談は損害賠償もあり得るが、蹴られた側のメンツでそれはないかもしれないし、ザックが賠償することも不可能でない。
ザックのためらいの裏にある子どもの頃からの弟との日々には泣かされる。
だからこそ、幸せになって欲しい、とは思う。
ヒロインサブリナが自身の幸せを考えるのと、ザックがこれまで取り除けなかった林檎を吐き出すのと、二層構造で話は成り立つ。
二人がハッピーなら、他未解決残してこの話に一旦幕というのは私も構わない。現実も、何もかも後腐れなくとはならないこともある。連中ならお金で解決の可能性が考えられる。
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