ニューオリンズにいつか行きたい為、関心があった。旅行パンフを見て描いた印象のフレンチクォーター。避寒地と聞いていたが、雪なんて降るのか!?と、そこが驚き。降雪あれば「奇跡」レベル、邦題が良い。お話は、「雪の女王」を棘のインパクト強く下敷きに
している。松尾先生の雪の女王の演出力凄い。つまり8才の少年に棘を突き刺した母親のシーン、正に無慈悲で氷を纏った残酷さをビジュアルで出した絵だ。
ストーリーはHQお馴染み展開なのだが、織り込まれた雪の女王場面のコミカライズで星数高まる。話3.4位で留まるがトータルでは4.5。終わり数コマ冗長な印象。もっとも、その後を見たい、との感想を他のレビューでかなり見るので、読者サービス(迎合)なのだろう。彼の胸のトゲはもうすっかり溶かされたと伝えたい意図は感じるが、私的には棘が溶けているプロセスの視覚化を楽しみたかった。そっちにもコマを振り分けて欲しかった。二人の愛情溢れるシーンは確かに、そこのプロセスには違いないが、氷と雪の国に囚われていた彼が、温かい愛情を注ぎ入れたヒロインに氷を溶かされるコマが見たかった。
お定まりの愛の告白シーンに直ぐ入り、少し物足りなかった。
母親達がのうのうと人生エンジョイしているやるせなさは残る。
丁寧な絵。回転木馬お見事。
社交界での醜聞に繋がりかねない殴りかかるシーン、成金と見下される中での「暴力行為」に思われる感じで気になる。
ドラマの只の受け手に過ぎない読者として、悪い奴へちょくに鉄槌下せぬ如何ともしがたい者からすれば、スカッとやってくれるとはいえ、マシューの人間性が晒されて理解を得られるなど、出口を見ておきたかった。
確かにニューヨーク(NY)の寒さは日本のコートが役立たないほど凍えるというし、人々や地域と共にあったお祖父様やホテルがヒロインを慈しんで育てた温かいニューオリンズとは、その意味で好対照かもしれない。
NYとニューオリン、写真を基に描かれたのだとは思うが、それぞれの町の違いが描き分けられ、北東部NYの冬、雪の降る景色の描写からしっかりと伝わってくる。
回転木馬のシーン、ヒロインのお祖父様とのエピソードの描き方も勿論感情に訴えかけてくるが、絵そのものの素晴らしさに唸ってしまう。素晴らしい存在感。どれだけ精魂傾けて描いたのだろうと、見入ってしまった。松尾先生、いい仕事してくださってる。
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