こんなに爽やかで気持ちのいい読後感を獲られる作品は初めてかも知れません。2人が辛く苦しい時期を乗り越えたからこそ獲られる感動なんだろうな。出会い、色付いていく世界、甘酸っぱさ、絶望、救済、未来… 高校3年生 陽の当たる場所にいる稜、日影に一
人ぼっちの陽平、交わる事のない2人が出会う。少しずつ心を開いて笑顔を見せる様になった陽平と、その変化に喜びを感じる稜、いつしかお互い惹かれ合うが ある事件が起きて… その先が決して明るいものではないだろうと3話目の扉絵が物語っていて読み進めるのが少し辛い。力関係が存在するSEXに一瞬 胸がチクリとなるが、稜が口でする姿に「憎しみはないんだな」とホッとする。陽平への歪んだ愛情と自身の心の変化が顔に出ていて別人の顔になった稜。夢が断たれて活躍の場を失い人が離れ、ライバル達からの羨望・嫉妬の視線が同情・哀れみに変わり味わったであろう屈辱、脚も仕事も思い通りにならない悔しさ虚しさに心が麻痺してしまったんだろう。何より 陽平の居場所を作る為、繋ぎ止める為に「責任取れよ」の一言で歪んだ関係になり、強い贖罪の気持ちに捕らわれた陽平から笑顔を消してしまったジレンマが自身を苦しめる。お互いは想い合っているのに、一度絡まった糸は解けないまま2人ぼっちの世界に。陽平の居場所を作って守っていたつもりが、本当は陽平を失うのが怖くて縛りつけて自分の居場所を守っていた事に気付いた稜。自分はどうしたいのか、自分の言葉で伝えないと大切なものを失ってしまうと前に踏み出す陽平。そして「稜が好き」と何年越しかの告白と「ずっと俺を守ってくれてありがとう」と欲しかった言葉をかけられて、涙を流し憑き物が落ちた様な稜。抱く抱かれるの関係ではなく、性処理的なSEXだった2人が初めて本気で結ばれるシーンに胸アツです。陽平のおねだり、初めて上になる稜、激しく求め合う2人…「俺は独占欲が強いんだからな 覚悟しろよ」の稜の言葉にキュンとする一方で もう知ってるよ、となる 前髪を切った陽平の何と美形な事!その瞳はキラキラと輝いて希望が溢れている。描き下ろしで完全に受けの蓋が開いた陽平の可愛らしさと2人のケジメ、これ以上ないハピエンが見られて良かったです。イラストの膝枕がまた尊くて… 瑞々しくて生々しくて躍動感のある素晴らしい絵でした。青年マンガ風の顔つきがとても効果的で、表情の変化を描く上手さが光っていました
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