説明文から「報復刑」を連想する方もいると思いますが、発想の違いが興味深い。
「報復刑」が殺人で有罪判決を受けた者が対象であるのに対し、本作は刑法で加害者が裁けず現実では被害者が泣き寝入りするしかないケースのみが対象です。
恨む相手がその
罪で正規の刑に服した場合は報復できないことを明記して、イジメ、パワハラ、家庭内暴力、不倫などの傷つく側は精神が破壊されるほどのダメージを受けても加害者は現行法では罪にならないケースに焦点を絞ったところが「報復刑」と根本的に異なっています。
きっちりとした「審査」があって、逆恨みや自分勝手な理由による利用も、服役した殺人者に対する報復も認めず、その狭間の「正当性はあるが現行法では裁けない」被害の救済を対象としたところに新しい面白さを感じました。
もっともっと続きを読みたいレベルの作品ですが、面白さの絶頂で終わって読者に色々と想像の余地を残したところも含めて満点としました。
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