話自体は上記の通り。ついにナシオとグレイスの和解がなかったと怒る読者がいるが、不思議。どう考えても、妥協や讓歩というものを知らないあの二人が、そんな事をする訳がないのに。また既に二人とも高齢だし、関係もこじれにこじれて、どうにもならない状態
。更に、特にナシオがグレイスと無理やりジェニーを作るという、決定的な事をしでかしているし。あのグレイスが、絶対に許す訳がない。私はおそらく彼女とジェニーとの和解も、到底なかったとは思うが。そしてグレイスの死は、彼女は生きている限り、ジェニーを苦しめ続ける存在だったから。それから私はナシオとキャシーがくっついたのは、作者的には最初から想定していたと思う。必ずしも、後継者欲しさの無理やりとは、言いきれないと思う。作者としてはこよなく愛するナシオに、念願の息子、そして愛する女性との愛の形見を、残させてやりたかったのでは?それに他作品でも異母兄妹で愛し合って、子供まで生まれている話もあるし。この作者には血縁関係のある、あるいはなくても、親子兄妹関係などの二人が、ましてや最初から血縁関係さえもない、継父と継娘が愛し合うという事についても、特にタブー意識もないようだし。そんなに驚く事でもないと思う。最初からそんな道徳的な作品でも、ないと思うし。そもそも、ジェニーの両親からして、やりたい放題だし。不倫の子を三人も作って、平然としているグレイスとか。この作者の作品には、肉親に恋をするというテーマが、頻繁に出てくる感じだし。そういう設定に、ロマンチックなものを感じているようなので。ナシオとキャシーの件も、広と開がくっついたのと同じパターンに過ぎないと思う。愛する女性の子供と結ばれる、というパターンが本当に好きなようで。ナシオのグレイスへの報われなかった愛は、こういう形で報われるようにさせたかったんだろう。ただ、何で露骨にイギリス王室関係者を真似た人物ばかり、出したのか?とか。最初はアルドバラの後継者は、ジェニーと王子様とじゃなくて、たぶん彼女とレッドとの間に、もうけさせるつもりだったのでは?とか。また、最初から予定していたにしても、結ばれさせるまでの過程の説明を飛ばし過ぎた感じの、ナシオとキャシーとの扱いなど。これらいくつかの引っかかる点及び、おそらく急遽完結を急いだのかな?という疑いは、残ったけど。
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