■見るからに裕福で傲慢な男。でも私の邪魔はさせない。■模造ダイヤをちりばめたドレスにイギリス風のアクセント。誰もが私をイギリス人のお嬢様だと思うはずだ。キャットは自信満々で、舞踏会の会場に現れた。再開発によって取り壊されそうな我が家を守るため、貴族のふりをして有力な議員に働きかける。それがこのパーティに潜入した目的だった。もくろみどおり議員に近づけたものの、すぐにパトリックという男性にダンスに誘われてしまった。しかも彼は、答えられないような質問ばかりしてくる。正体がばれたらどうしよう。あせるキャットに向かってパトリックは平然と言った。「君が貴族の名をかたっているのはわかっている。このまま帰すつもりはない」