赤ちゃんのことを告げられなかった。まさか、こんな形で知られるとは……。
旅で訪れたギリシアの島で気品に満ちた男性と出会ったベス。浜辺で言葉を交わすうち強く惹かれ合い、めくるめく夜を過ごした――連絡先も名字も告げず、ただ思い出だけを分かち合い、ふたりは別れた。やがて妊娠に気づいたベスは厳格な両親の不興を買って実家を出たが、数カ月後、仕事でロンドンにいる間に激痛に襲われ、破水してしまう。搬送先の病院で早産の赤ん坊を取り上げることになったのは、なんと、あの忘れえぬ一夜を共にした、おなかの子の父親エリアス!再会の衝撃に動揺するベスとは対照的に、彼はいたって冷静だ。生まれてくるのが我が子だと知ったら、彼はなんと言うかしら?しかし、エリアス側にもまた、重大な秘密があるのだった……。
■命の現場にたずさわり、自らの人生経験が遺憾なく発揮された真に迫る作品で人気の作家キャロル・マリネッリ。本作では、牧師の娘として生まれた内気なヒロインと、高貴な生まれゆえに懊悩するヒーローとの、劇的なシークレットベビー・ロマンスを満喫できます。