世界中で科学、数学、文化における輝ける成果を上げ続けている民族ユダヤ。
彼らが何故学問において高い成果を上げられるのか、彼らの教典と歴史、生活の光景を通じてその秘訣を探る。
この本は単にユダヤ人の勉強法のみならず、彼らの宗教であるユ
ダヤ教の概要、教典の内容、規則、そしてそれらが実際にどう使われ、どのように教義を実践していくのかといったことや、ユダヤの辿った歴史的経緯、またユダヤと触れた作者の心境を記述している。
即ち純粋な学習法のアドバイスのみならず、哲学的な啓蒙をも狙った内容になっている。それは時として国粋主義をも肯定し、読者の民族的自立をも促し啓発するような性質すらも含む。ただその方向性は別にユダヤ以外の民族、文化を貶していくような書き方ではなく、自らの民族、文化の維持のために健闘する人々の努力する姿を記述することで、その熱意を伝播させること、その結果によって読者が属するコミュニティのために健闘させることを目的とした書き方をしていた。
それは即ちある程度普遍性のある啓発の教義を齎すものであったということだ。
肝心の勉強法に関しても、要約してしまえばそう難しいことではない。本を読むこと、覚えるべき言葉、文章を音読すること、繰り返し読み、上げることがまずは記憶力の向上を齎し、また学習を習慣化させるというのがまず第一の勉強法。
第二に、本の内容をただ受け身になって受け取るだけでなく、自分の中で本の内容に疑問を作って、自己や他者と質問を重ねて独自の答えを築いていくこと、即ち思考力の強化を目指すこと。
そして第3には、行動していくこと。他人の出した答えでも、自分の考えでも、ルールを実践していくこと、そしてそれを維持していくことによる学生の完成。それこそが現実において学問で成功していくコツなのである、とつまりはそのように纏められるだろう。その概論、結果が果たして正しいのかは、そこまでいくともはや読者が如何に勉学していくかの問題であり、即ち当人の頑張りに掛かっている。
別にこの本を読んで成功を自己に強要する必要はない。学習力の向上や成果を出すこととは別に、ユダヤ人の勉強法を話の種の雑学として貯めていても構わないのだ。全ては読者の自由である。
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