「気は確かなのか?」突然、男性の声がして、愛馬をねぎらっていたミリーはぎくりとした。高すぎる生け垣を馬で飛び越えるところを見られたんだわ。しぶしぶ顔を上げた彼女は、さらに仰天した。目の前に、マルディビノ公国の皇太子ジャンフェロが立っていたのだ。屋敷に滞在していることは知っていたけれど、堅苦しい席が苦手なミリーは会うのを避けてきた。それにしても、どうして彼は痛いほどのまなざしで見つめてくるの?もうすぐ姉に結婚を申し込む人なのに。★地中海に浮かぶ島国マルディビノ公国の三人の王子たちの恋を描く三部作〈地中海の王子たち〉も最終話を迎えます。いよいよ皇太子ジャンフェロの登場です。★