215ページ。
中世日本舞台の短〜中篇4作入り。
・表題作 首実検用に手入れをされていた男の首に恋した女。女の情念と反魂術、恐ろしやのう、という気分。
・『雨は降るとも』お屋敷の若様とその許嫁の娘、それぞれの選ぶ道。若様の、戦なき世の
男の憂鬱、みたいな感じが良かったです。娘の方は……この後、大丈夫かしら……と心配になりました。
・『安壽と厨子王』おおよそ100ページの中篇。著者流解釈による、原話とは違う話。安寿の霊のなまめかしさが著者らしく美しい。厨子王の悪党ぶりがすごいですが、信念による悪党と言うよりも、強がりから生まれた悪党という感じで、ラストにはなんとも言えない哀れみが湧きました。
・『玉鬘』源氏物語モチーフ。正直、原作からして光る君がものすごく苦手なので、この話もどうにも……。少女が女として自立する話で、話としては良いのでしょうが、好みではなかったです。
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安定感ある著者作品、とは思うのですが、自分の好みの感じから外れていました。
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