二人が忘れられないひとときを過ごしたことは、挙式前だから浮気とは呼ばない、という理屈であるなら、挙式前の婚約者の裏切り行為を問題にしてご破算になるカップルも少なくないHQなのに、これはこれは。ベニスの商人のシャイロックが悪人なのか哀れな差別
を受ける仕事に真面目な商人なのか、みたいな視点の逆転を、思い出してしまう。
でも、家のため、窮状を救うため、日本にも自ら身売りしたストーリーは多くある。西洋も家のための(国のため、もあり)愛無き結婚を沢山生み出してきた。
現実世の中一番好きな人と結婚できる方が多くない。パトリックさんと出会えたヒロインの結婚は否定されるものではない。
それを、本当に好きだったのはー、なんてなっちゃうと、その心情はよくわかるが、口にしたらおしまい、な感じがしなくもない。言わなきゃ伝わらない
という段階ではなかった。パトリックさん間接的に、しかし完全に劣後させるので、唇寒し、だろう。
会ったときから好きだった、愛していた、と、二人は確かめあったのだから、本当に好きだったのは云々までそこに付け加えてなんになる、と思った。トゥーマッチなのは原作からなのだろうか、読んでいないが。
熱い恋、何年経っても忘れられない最高の相手、接触できる事情があったにしても、全てパトリックさんのお膳立てあっての再会だ。
同じ人物に見えにくい微妙な絵が少し見受けられた。
ベッドシーン多い。
ナイト家のスキャンダルシリーズ三作目の本作は、自分から誘う点で第一作のヒロインと似てる。
しかしこれは子どものポジションと動きとが決定打の役を果たし、その裏にあるのはパトリックさんの器の大きさ。
でも、モラルのために綺麗事でいい子に収まるのほ、「本当に」好きだった人に対しても、パトリックに対しても、結局失礼。
最初の結婚シーンで、違う道を歩かざるを得ない二人を描いて、夢中で幸福を求める日々をヒロインは12年?過ごした。愛が無いことを自覚していながらにしては十分な期間を、向けられたかと思う。子どもが多感なローティーン年代にしては、パトリックさんが巧みに予備知識を仕込んでおいたことが、冷静な反応と大人な思考をさせたように読める。
愛してると彼の方に初めに言わせなくても、彼にヒロインが自ら、ずっと心にあった思いをさらりと伝えていてスッキリした。
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