この作品に若い頃に出会えたことが、福音であったか呪いであったか。それくらい大きな影響を受けた作品です。
名作とか傑作とかそういう他者へ向けての言葉ではなく、「自分にとって大切な作品」というのが合ってる。
親に守られずに社会の枠からはみ出
してしまった子供達を通して描かれる旅路、そこには様々な人や様々な問題が存在します。
著者は非常に誠実なお人柄だったようで、常に息苦しいまでの真摯さがあり、簡単に善悪を判断せず物事を多面から捉える姿勢が見て取れます。著者にとっての初の連載作品でもあり、若い感性をひたむきにぶつけ、抜き身の鋭いナイフのようです。
どんな事柄にも複数の面があり、明確な答の存在しない問を、それでも自分の答を求めて、繰り返し繰り返し突き付けて問い続ける……これは私にとってそういう葛藤と苦しみの触媒になる作品です。
メディアによって「善」であると喧伝されるものごと、それに素直に乗ってしまえば「善人」になれるとわかっていても、私の心に住み着いた彼らが「ホントウに?」とあの眼差しを向けるのです。
歳をとれば感性は摩耗し、考えることも億劫になってくるものではありますが、それでも私は、いつでも真剣な彼らに伴走し続けたい。傷だらけの彼らと共に旅して、自分もまた傷付いた、その痛みを忘れたくないと思うのです。
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と、真面目な話もしましたが、四人組の中で誰が贔屓かっていうのも大事ですよね?
私はアンジー派!一番繊細で、他人のために素知らぬ顔して泥をかぶれるのが良いですね。
3巻収録のアンジー主役の番外編『愛しのオフィーリア』が大好きです。
『三原順傑作選 ’80S』に、ロナルド主人公のスピンオフ作品『ロング アゴー』(3話)が入っているので、そちらも是非ご一緒に。
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