人を好きになる理由なんて、理屈なんて、そんないつも汲々とした理詰めで人を好きになるわけではない。
誰それだから好きになるのではない、言うなれば、相手の素性も判らずに惹かれることはある。恋に落ちるときに、理由がこうこうだからだったと後付けで
説明できる人ばかりではない。一目で陥ってしまうこともあれば、話してる姿や声、仕草や身体の一部すらきっかけになる。
しかし、気持ちは始まっていても、頭が否定にかかることも。それに、障害が立ちはだかることも稀ではない。世間の考えに沿った恋をするとは限らない。
BLは、初めからの志向ではない人のケースを描くとき、その乗り越える壁は余分に聳える。
そんなところをちゃんと描いてある。
正直、くっつくくっつかないレベルでの結論を急ぐ人には不向きの漫画と思う。
相変わらず仕事場面がおざなりでない日高先生作品。
立場が有り、社会人十数年とくれば、分別盛り。しかし、内実そうでもないのが人間。そんな悩ましいところにも入って、複数の人間が関わり合って形成する下宿屋の人間模様、話に不自然ジャンプ無しにさすが。
「鼠達」もわちゃわちゃ賑わして、話の骨格を綺麗に太くしてくれている。
また、BLあるあるの全員がCP成立というのでないのが、とても良い。
日高先生作品に限ってはレビューもそこそこ出してしまったが、元々、そのシーンが比率多いと評価し辛いため、本作品、4巻より前は、二人の気持ちの盛り上がりと状況地均しがあって、決して、ばっかり、ではなくて書けた。
ただし、蓉一の親のこと、お話の世界にありがちな設定なのでそこだけは凡庸にしない工夫が欲しかった。
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