［GDC 2023］Raw Furyの新作ライフシム「Moonstone Island」，友達同士のバトルに特化したFPS「Friends vs Friends」の2本をプレイしてきた

　Raw Furyは，有望なデベロッパを発掘して開発や販売のサポートを行う，インディーズ専門のパブリッシャだ。EA DICE時代に「バトルフィールド」シリーズのプロデューサーを務めたゴードン・バン・ダイク（Gordon Van Dyke）氏と，Paradox Interactiveでモバイル部門を統括していたヨナス・アントンソン（Jonas Antonsson）氏により2015年2月にスウェーデンのストックホルムで設立された。インディーズゲームが急速に発展する時代のニーズに合ったビジネスモデルが幸いして，設立以降，自社ブランドとなった「Kingdom」シリーズを初め，「GoNNER」（2016年），「Bad North」（2018年），さらに「Sable」（2019年）など，話題を集める作品を多く手がけてきた。
　そんなRaw Furyは毎年，GDCの開催に合わせてコンベンションセンターに近いレンタルスタジオを借り，新たなラインナップを紹介している。筆者も2016年以降，毎年のように参加してきたが，今年はすでに報告済みの「Kingdom Eighties」（関連記事）に加えて，新たに2つのインディーズタイトルがラインナップに登場している。

「Raw Fury」公式サイト

Moonstone Island

　Studio Supersoftが開発する「Moonstone Island」は，修行のため，無数の浮遊島で構成された未知の領域「ムーンストーン」に移り住んだ錬金術師を主人公とする，PC向けの新作だ。プレイヤーは，住人からの依頼を受けてさまざまなクエストに挑戦したり，自然の精霊と仲間になったり，魔法のポーションを作り出すために薬草を育てたりする。さらに，島のあちこちにある古代遺跡やダンジョンを探索したりもできるライフシムで，公開されたゲームプレイトレイラーによれば，村の住人たちとの関係を深めることで恋に落ちるといった，恋愛シム的な要素もあるようだ。

ディレクターのサンディ・スピック氏

　「Moonstone Island」の特徴となるのが，スピリットと呼ばれるクリーチャーを捕獲し，コンパニオンとして最大3匹を旅のお供に連れ回せることだ。スピリットとそのバリエーションは，ゲーム内に40種類以上も存在しており，モンスターとエンカウントすると，スピリットを使ったターン制バトルがスタートする。スピリットの攻撃や防御にはカードを使ったデッキビルドの要素が盛り込まれており，これによってバトルのランダム性を演出しているという。
　デモを紹介してくれたディレクターのサンディ・スピック（Sandy Spick）氏は，ピクセルアートを前面に押し出したグラフィックスは，昔の「ゼルダの伝説」に影響を受けたと話しており，自分の好きなジャンルのゲームを目一杯詰め込んだゲームシステムになっているようだ。


　100以上もあるという浮遊島は，形だけでなく大きさもバラバラで，その1つ1つを開発チームがデザインしたという。浮遊島は，ゲーム開始の時点でランダムに配置されるようで，それぞれのプレイヤーで異なるゲーム体験ができそうだ。島から島への移動にはホウキやグライダーなどを使うが，レベルによってエネルギー使用量が異なり，最初から遠くの島へは行けない仕組みになっていた。
　「Moonstone Island」の発売日についてはまだ明らかになっていないが，日本語化も予定しているとのことなので，気になる人はSteamのストアページでウィッシュリストに追加しておこう。

Friends vs Friends

　スペインのマドリードに本拠を置くデベロッパ，Brainwash Gangが開発を進める「Friends vs Friends」は，トゥーン調の世界を舞台にした3Dのオンライン対戦FPSだ。プレイヤーは，擬人化されたウサギ，アヒル，白熊，ワニなど，それぞれに異なる能力を持つ10体のプレイヤーキャラクターから1つを選び，1人対1人，または2人対2人のバトルを，コンパクトなアリーナで繰り広げる。
　使用するのは主に銃器で，武器や弾丸の効果，フィニッシュムーブ，プレイヤーキャラクターの追加能力など，さまざまなアイテムがカードとしてゲーム内で入手できる。それらのカードをデッキとして組んで，プレイ中に使っていく。カードには，銃撃の性能を高めたり，粘着爆弾を撃ったりするものから，ほかのプレイヤーがジャンプできなくなる，一定時間巨大化し怪獣のようにのし歩くといったユニークなものまで用意されている。

「Friends vs Friends」公式サイト

　コミカルな描写が多く，仲間うちでランダム性の高いプレイを楽しむといった趣向のゲームなのかと思ったが，AIキャラクターとの練習モードを使って，カードの使い勝手やシナジー効果，さらにはマップへの理解を進めるなど，かなり凝ったチュートリアルが用意されている。発売後にも新しいキャラクターやカードなどを追加していく予定とのことで，息の長いゲームになる可能性は高そうだ。


　デモ版でプレイしたマップは，大都会に建つ高層ビルの屋上という設定で，日本語の看板など，サイバーパンクっぽい描写も見られ，近接戦闘の武器として「カタナ」で襲いかかることもできた。
　Steamのストアページでは「近日発売」となっており，上記の「Moonstone Island」よりも早くリリースされそうな気配もある。完成を楽しみにしたい。

Brainwash Gangを共同経営するベアトリス・ルイス=カスティーヨ（Beatriz Ruiz-Castillo）氏（右）と，エドゥ・ベルツ（Edu Verz）氏（左）

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