Table of Contents
- EAT: Regenerative Organic Pasta by PATAGONIA PROVISIONS
- COLOR: Refillable Lipstick by DRIES VAN NOTEN
- DIGITIZE: Coffee Scale POLARIS by HARIO
- EXPLORE: Tokyo’s Citywide Initiative for Contemporary Art by ART WEEK TOKYO
- JOIN: LAYBACK Collection by THE NORTH FACE
- CARRY ON: Eco-Drive One by CITIZEN
EAT
Regenerative Organic Pasta / PATAGONIA PROVISIONS
「リジェネラティブ・オーガニック」という革命のためのパスタ
パタゴニアが食品を事業化したのは2012年だった。後に創業者のイヴォン・シュイナードは記している。「実際、可能性があるように思われる唯一の革命は農業にあると考える。そして私はその革命の一部になりたい」(「なぜ、食品なのか」patagoniaprovisions.jp)。
アウトドアウェアやギアを革新し、地球への愛情をビジネスと直結させる気骨ある起業家で活動家は、着実に社会をひっくり返そうとしている。「リジェネラティブ・オーガニック」という農業によって。
例えば17年には研究機関や企業など複数の団体とともに認証制度(RO認証)を確立。土壌の健康、動物福祉、労働者の公平性という3つの柱からなる厳格な基準を設け、農作物を栽培すればするほど土壌や自然環境を回復させる、つまりネットプラスの農業を地球規模で推し進めている。
この秋より登場するパスタはその成果である。RO認証を取得した有機デュラム小麦(カナダ産)と多年生穀物の有機カーンザ(米国産)を使用。滋味深く、香気あり。食卓から革命に参加しよう。
COLOR
Refillable Lipstick / DRIES VAN NOTEN
あの大胆な色彩感覚を 唇と手のひらに
ドリス ヴァン ノッテン ビューティーのリフィル式リップスティックに、新色と限定ケースが登場した。リップのラインナップに加わったのは、鮮やかな「アブストラクト レッド」とナチュラルな「クール ブラウン」の2色。
ケースはヒョウの斑点をまとったヴァイオレットとオレンジを組み合わせた「アンバー ジャングル」と、グラフィカルな模様が印象的な黄色とパープルの「アメシスト シャドウ」だ。
2024年、自身の名を冠したブランドのデザイナー職を退任することを発表したドリス・ヴァン・ノッテン。絵画や音楽、映画といった人工物から、アントワープ郊外の自宅の庭に咲く花々まで、身の回りのあらゆるカラースキームを落とし込んだ彼のコレクションは、相いれないように思えてなぜかしっくりくる、文字通り異色の組み合わせで世界を驚かせてきた。
そんな彼の過去の作品に着想を得たというリップスティックは、ドリス・ヴァン・ノッテンの大胆な色彩感覚を手のひらサイズに凝縮した1本。手に持ったとき、鏡を見たとき、色彩をまとう喜びを教えてくれるだろう。
DIGITIZE
Coffee Scale POLARIS / HARIO
あなたの理想の一杯はデータによって発見される
コーヒーの抽出は科学だ。豆の種類や挽き方、お湯の温度や量、抽出時間などの諸条件で味わいが変わり、おいしいコーヒーにはある程度の方程式もある。
だが、それをいちいち計算するのは面倒かもしれない。そんなときのために、ハリオのスマートスケール「Coffee Scale POLARIS」だ。スケールにサーバーとドリッパー、豆を載せて好みの抽出比率(豆とお湯の割合)を設定すると、必要なお湯の量や1回当たりの投湯の割合、抽出開始後の経過時間などを教えてくれる。
どの抽出比率や時間がどんな味につながるかは説明書に書いてあるが、自分であれこれ試すのもいい。むしろ、それがこの製品の存在理由だ。ボタンひとつで適量を安定して抽出できるマシンがある時代に、このスマートスケールは五感を用いたコーヒーの探究に、数値という新しいツールを与えてくれる。
理想とする味わいを手に入れたら、まるで熟練のバリスタのように再現性も高まるはず。果たしてデータによる技術の民主化は、ドリップコーヒーの世界にも。
EXPLORE
Tokyo’s Citywide Initiative for Contemporary Art / ART WEEK TOKYO
「つながり」を発見できる現代アートの祭典
アートは作品を単体で鑑賞するのもいい。だが、つながりに目を向けるとまた違った一面が見えてくる。11月7日から開催される「アートウィーク東京」は、そうした文脈を発見しながら作品を鑑賞できる現代アートの祭典だ。
通算4回目の今年は都内53のギャラリーと美術館が参加し、それぞれ展覧会とともに参加者を迎える。また、毎年異なる監修者とテーマで開催され、展示作品がすべて購入可能な展覧会(今年の監修は森美術館館長の片岡真実だ)や海外拠点のキュレーターが監修する映像作品プログラム、建築家やパティシエ、アーティストがコラボレーションする特設のバー、老若男女に向けたトークプログラムなど、アートウィーク東京の独自企画も。
会期中に運行する無料のシャトルバスに乗って複数のアートスペースやプログラムを一度に鑑賞すれば、作品同士、作家と作家、ギャラリーと美術館、日本と世界、過去と現在など、いままでとは異なる文脈が見えてくる。そこから生まれる思考や議論が、また新しいアートの文脈の土台となるのだ。
EVENT DATA
「アートウィーク東京」
会期:2024年11⽉7⽇(木)〜10⽇(日)
https://www.artweektokyo.com
JOIN
LAYBACK Collection / THE NORTH FACE
都市から雪山までをシームレスにつなげるような
ザ・ノース・フェイスの「LAYBACK」はスノーウェアの新しいコレクションだ。機能は過不足なし。ゲレンデやバックカントリーなど、積雪のフィールドのための設計がすみずみまで行き届く。
その一方でエクストリームなアスリート然とした印象は薄い。なにしろすべてのアイテムはフリースタイルのユニセックス仕様(一部を除き8サイズ展開! )で、天候やフィールドコンディション、あるいは気分に応じて、さまざまなアクティビティを楽しむことをコンセプトにしている。
つまり懐の深さというか自由があるのだった。家の扉を開けて一歩踏み出し、雪山へと向かう。アウトドアというフィールドが、その一歩目から始まっているのだとしたら、この「LAYBACK」の自由さこそがふさわしいように感じる。
ましてや都市がリジェネラティブになればなるほどに、雪山とシームレスにつながっていくはずなのだから。リサイクルポリエステルを使用したフリースのセットアップは、とにかく軽くて保温性に優れた雪山のミドラーにして、街のアウター。
CARRY ON
Eco-Drive One / CITIZEN
100年の歴史と1.00mmのムーブメント
今年、「CITIZEN」というブランドが誕生から100年を迎えた。時計という工芸と工業にまたがる製品にとって、世紀をまたぐメーカーは決して珍しくはない。
それでもなお、市民のための国産時計の開発を目指して設立された、尚工舎時計研究所(現・シチズン時計)の歴史をひもとくと、独特の個性が浮かび上がる。進取の気風、あるいは、時代の2、3歩先を行き過ぎちゃうような感じ。
例えば1982年に発表した「サーモセンサー」(温度計測可能なコンビネーションクオーツ)。または2006年の「アイバート」(Bluetoothによる携帯電話の通信着信の通知)。いずれも「世界初」と称される機能や機構を実装したもので、腕時計の歴史をふくよかにしたのは間違いない。
そして16年に登場したのが「Eco-Drive One」だ。光発電というサステナブルな性能を備えながら、わずか1.00mmという極薄のムーブメントを実現。ミニマリズムの極北たる設計は、当然、CITIZENの技術の蓄積が可能にしている。ふくよかな歴史があるからこそ、薄くなれたのだ。
雑誌『WIRED』日本版 VOL.54
「The Regenerative City」
今後、都市への人口集中はますます進み、2050年には、世界人口の約70%が都市で暮らしていると予想されている。「都市の未来」を考えることは、つまり「わたしたちの暮らしの未来」を考えることと同義なのだ。だからこそ、都市が直面する課題──気候変動に伴う災害の激甚化や文化の喪失、貧困や格差──に「いまこそ」向き合う必要がある。そして、課題に立ち向かうために重要なのが、自然本来の生成力を生かして都市を再生する「リジェネラティブ」 の視点だと『WIRED』日本版は考える。「100年に一度」とも称される大規模再開発が進む東京で、次代の「リジェネラティブ・シティ」の姿を描き出す、総力特集! 詳細はこちら。