【Meta Video Seal】Metaの電子透かしを埋め込むツール!導入するメリットを解説
2024年12月12日にMeta社は、生成AIから作成された動画に肉眼では見えない電子透かしを埋め込むことのできる「Meta Video Seal」というオープンソースモデルを公開しました。
- 目視で確認できない電子透かし
- トリミング、圧縮、ぼかしなどの編集や加工を施しても電子透かしが保持される
- 動画がどの生成AIで作られたか、出所を追跡することが可能
今回は、Meta Video Sealが必要とされる背景や特徴などについて詳しく解説します。
最後までお読みいただくと、Meta Video Sealの導入メリットについても理解できるので、ぜひ最後までお読みください。
Meta Video Sealとは
Meta Video Sealとは、Instagramなどを運営しているMeta社が開発した技術のことで、肉眼で見えない「電子透かし」を入れることができるため、動画の出所がわかったり、生成AIで作られた動画なのかを簡単に判別することができます。
さらに、生成された動画にぼかしやトリミングなどの編集を加えても電子透かしを保持することのできる特徴を持っており、簡単に電子透かしを消せない仕組みになっています。
また、オープンソースモデルとして公開されており、誰でも利用することが可能なので、現在公開されている動画生成AIに追加で導入されたり、現在開発中の動画生成AIなどに導入されていくことが予想されます。
なお、動画生成AIについて詳しく知りたい方は、下記の記事を合わせてご確認ください。
Meta Video Sealが必要とされる背景
昨今、生成AI技術が向上したことによって、さまざまなタスクに特化した生成AIが登場しています。その中でも動画生成AI技術の向上は著しく、かなりリアルな動画を生成できるような時代になりました。
もちろん、技術が進化してクオリティの高い動画を生成できるようになることは、ユーザーにとって活用の幅が増えるためとても良いことですが、著名人の顔や声をリアルに再現した動画でデマを拡散するディープフェイク動画など、動画生成AIを悪用するケースも増えてきました。
こうしたディープフェイク動画はデマの拡散や名誉毀損のみならず、最悪の場合国際問題にも発展しかねない大変危険な問題なため早急に対策を行う必要があります。
そういった問題を防ぐためにも、悪意のあるディープフェイク動画を判別できるようなMeta Video Sealなどの技術が必要とされています。
Meta Video Sealの特徴
Meta Video Sealは、他の電子透かしとはどのような部分が違うのでしょうか。次に、Meta Video Sealの特徴について見てみましょう。
目視では確認できない
従来の動画生成AIの電子透かしは、画面端や全体的にロゴなどを入れるだけのものが大半でしたが、Meta Video Sealは目視で確認できないような電子透かしを動画に入れることが可能です。
電子透かしを確認するためには、電子透かし専用のリーダーボード「Meta Omni Seal Bench」のようなツールを使わないと確認できないため、生成された動画の質を落とすことなくセキュリティー面を強化することが可能となりました。
編集や加工で処理されづらい
通常の電子透かしでは、トリミングや動画編集によって電子透かしを除去されてしまうことがありますが、Meta Video Sealは目視では確認できないこともあり、簡単に取り除くことはできないでしょう。
もし、電子透かし専用のリーダーボードなどで電子透かしを確認できたとしても、トリミングや動画編集だけではなく、圧縮処理などの加工処理に対しての耐性を持っているため、簡単に取り除くことができない仕様になっています。
オープンソースモデルなのでさまざまな動画生成AIに導入可能
ニーズが高まったことによりさまざまな動画生成AIがリリースされていますが、ディープフェイク対策として電子透かし技術に力を入れている動画生成AIはそこまで多くありません。
しかし、ディープフェイク問題がさらに深刻化して問題が続出すれば、動画生成AI側に対応が求められることが考えられるでしょう。
そうした対応策として、オープンソースモデルであるMeta Video Seaを導入していく動画生成AIが増えていくことが予想されます。
Meta Video Sealを導入するメリット
Meta Video Seaの概要や特徴については理解いただけたかと思いますので、次にMeta Video Seaを導入するメリットについてご紹介します。
ディープフェイク動画の判断が容易になる
現在公開されている動画生成AIには、そもそも電子透かしが入らないものや、有料プランに加入することで電子透かしを除去できるものがほとんどです。
現段階の技術では、どこかが破綻していたり不自然なところもでてくる可能性が高いので、目視でディープフェイク動画であることがわかる場合も多いですが、出力される動画の精度も上がってきていることから、本物なの? 生成された動画なの? と迷うケースも出てくるようになりました。
そうした場合でも、Meta Video Seaを導入することで簡単に生成された動画なのかの判断ができるようになるので、ディープフェイク動画の危険性を少しでも減らすことができるでしょう。
動画の出所を特定できる
どのような技術でどこまで判別できるかは不明ですが、Meta Video Seaを導入することで生成された動画の出所を特定することができます。
それにより、ディープフェイク動画で損害が起きた際や著作権の侵害があった場合でも、動画の製作者を割り出すことができれば、被害者は削除依頼や時には訴えることもできます。
また、このように出所がわかるようになれば、今までバレないと思って匿名で悪意のある動画を投稿していたユーザーへの抑止力ともなるでしょう。
開発コストを削減できる
目に見えるような電子透かしを入れることについては、そこまで難しくなく比較的簡単に導入することはできますが、Meta Video Seaのような複雑な電子透かし技術を1から開発する場合は、時間や費用などのコストが発生します。
しかし、オープンソースモデルであるMeta Video Seaを導入すれば、電子透かし技術の開発にあたって発生する時間や費用的なコストを削減することができます。
Meta Video Seal以外の電子透かし技術
ここまで、Meta Video Sealについて紹介してきましたが、Meta Video Seal以外にも目視では確認できない電子透かし技術は存在するので、Meta Video Seal以外の電子透かし技術についてもみてみましょう。
SynthID
SynthIDとは、Google傘下のDeepMindが開発したAIツールです。
このツールは、生成した画像や音声などのコンテンツに電子透かしを埋め込むことができ、Meta Video Sealと同じように人間の視覚や聴覚では判断ができない仕組みになっています。
これにより、コンテンツのクオリティを下げることなく、AIによって生成されたコンテンツを見極めることができるようになりました。
SynthID Text
SynthID Textは2024年10月23日に公開された新機能で、活用することでAIが生成したテキストを見分けることができるようになりました。
このツールは、電子透かし情報をエンコードした疑似乱数関数を使って単語の選択確率を少しだけ調整することで、人間には気づかれない電子透かしを埋め込むことが可能です。
多少の単語の変更や言い換えなどの編集が行われても検出することができるので、今まで判別の難しかったテキストにおいても生成されたものかどうかの判断が可能となりました。
なお、SynthIDやSynthID Textについて詳しく知りたい方は、下記の記事を合わせてご確認ください。
動画生成AIの安全性を高めるMeta Video Seal
Meta社は「責任ある方法でAIを発展させる一助となることを願っています」と述べていることや、1兆5000億円かけて大規模なAIデータセンターを計画していることが明らかになったことからもわかる通り、Meta社はAIの開発にとても前向きに取り組んでいます。※1
しかし、どれだけAI技術が進化したとしても安全性が低いとなれば、社会的な問題に発展したり利用するユーザーも減っていくでしょう。そうした背景もあり、AIの進化とともに安全性を固める対策も同時に行う必要があります。
今回ご紹介したMeta Video Sealについても、動画生成AIの進化に伴った安全対策の一つです。普段はAIの進化ばかりにスポットを当てられがちですが、AIの発展にはMeta Video Sealのような安全対策も必ず必要となるので、AIリテラシーを身につける一環としてAIにおける安全対策についても勉強も必要になってくるのではないでしょうか。
最後に
いかがだったでしょうか?
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