うわっ…iAeonアプリの導入、難しすぎ。決済体験に感動するまで3週間、その道のりは長かった
自宅の引っ越しに伴い、最寄りのスーパーがイオン系列に変わりました。たまたま買い物に行った日が「お客さま感謝デー」(毎月20日・30日)で、普段は空いている時間帯なのに店内は混雑していました。これまで「お客さま感謝デー」についてあまり関心がなかったのですが、最寄りスーパーになったことを機に、この特典を活用してみようと思いました。
特典を受けるための条件も調べずに、まずは店内で宣伝されていた「iAeon(アイイオン)」アプリをスマホにダウンロード。アプリの機能すら把握していない状態でしたが、とりあえずIDを作成してログインしました。
ホーム画面には「WAON POINT」「AEON Pay」「WAON」という3つのタブが表示され、その違いがまったく理解できません。
「AEON Pay」を選択すると、イオン系列のクレジットカードか銀行口座の登録が必要だと表示されます。
銀行口座でのチャージを試みると、今度は「WAONカード」か「WAON POINTカード」の登録が必要とのこと。この2つの違いがわからず、途方に暮れてしまいました。
これを機にイオン系列のクレジットカードを作ろうと思いましたが、イオンカードのサイトを開いた瞬間、また新たな壁が立ちはだかることになりました。
カードの種類多すぎの壁
イオンカード一覧ページには、なんと51種類ものカードが並んでいたのです(2025年2月末時点)。機能、ブランド、ポイント、サービス、カードの柄などが異なるためですが、果たして51種類の中から自分に最適なカードをすんなり見つけられる人がどれぐらいいるのだろうか、という疑問を抱きながら、ひととおり目を通してみました。
ここで思い浮かんだのが、選挙前に提供される「ボートマッチ」のような仕組みの必要性です。これは、有権者の考えと候補者の政策との相性を確認できるシステムですが、同じように、利用者のライフスタイルに基づいて最適なカードを提案してくれる機能があれば便利だと感じました。おそらく多くの人は、店頭での対面の勧誘をきっかけにイオンカードを作るため、51種類もの選択肢があることを知らないのかもしれません。
結局、私はときどき利用するマルエツでお得に買い物ができる「マルエツカード」をつくることにしました。
申し込みから約1週間後、クレジットカードが届いたので、「iAeon」アプリの「AEON Pay」にクレジットカードを登録。これでアプリを使う準備は万端なのかと思いきや、そうではなく、「WAON POINT」にも別途クレジットカード登録が必要でした。そこは連携されてないようです……。
「iAeon」での決済体験に感動!電子レシート最高!
「iAeon」アプリのダウンロードから約3週間。ついに私の「iAeon」デビューの日が訪れました!スマホを握りしめながらセルフレジへ向かいました。
レジで気づいたのですが、画面の最初の表示が「iAeon」アプリの会員証スキャン画面でした。アプリのユーザーでなかったときは、まったく目に入っていませんでした。
商品のスキャンを終え、決済方法選択画面で「AEON Pay」をタップすると、会計が完了。想像以上にスムーズな体験に驚きました。
そして、紙のレシートが出てきません。「iAeon」にはレシートレス機能が搭載されており、いつでも買い物履歴と電子レシートが確認できます。これまでもらってはすぐ捨てていた紙レシートとのお別れです。ちょっとした変化ですが、毎日の買い物がより快適になって、アプリの価値をさらに感じました。
デジタル化「入れれば便利」なんだけど……
多くの企業がDXを掲げて、デジタルサービスの導入を進めています。ユーザーにとっては便利だし、良いことなのですが、往々にして導入することが目的化してしまい、ユーザーが実際に使えるようになるまでのハードルが見過ごされがちです。
今回紹介した「iAEON」の事例でも、アプリをダウンロードしてから実際に使えるようになるまでに約3週間。その間、アプリの仕様や機能を理解し、51種類もある中から最適なクレジットカードを選び、登録作業を行い……と、ユーザー側で多くの「準備」が必要でした。
数々の面倒な作業をクリアして、実際に使えるようになってみると、レジでピッとかざすだけで会計が完了し、紙のレシートともおさらば。確かに便利になったと実感できました。
導入するために必要な負担と、導入後の快適な体験。おそらく、このギャップこそがDXを進めるうえでの真の課題なのかもしれません。
便利な未来は見えているのに、そこに至るまでの道のりが険しすぎる。企業側には、この「乗り越え」をサポートする視点が必要です。
初期設定を簡単にする、サービス間の連携を強化する、選択肢を整理するなど、できることはたくさんあります。
DXの成功は「使ってみたら、確かに便利だった」というユーザーの実感にかかっています。そのために、テクノロジーの導入と使いやすさのバランスを考え、ユーザーの目線に立ったサポートを設計することが、これからよりいっそう重要になってくるのではないでしょうか。
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