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もはや企業活動に不可欠「米州開発銀」が担う責務 総裁に聞く「日本への期待」「トランプ政権影響」

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Ilan Goldfajn(イラン・ゴールドファイン) 1968年生まれ。マサチューセッツ工科大学(MIT)で経済学博士号、リオデジャネイロのポンティフィシア・カトリカ大学で経済学修士号、リオデジャネイロ連邦大学で学士号を取得。1996 年から 1999 年には IMF でエコノミストとして勤務。ブラジル中央銀行の総裁(2016ー2019 年9)などを歴任。2022年12月から米州開発銀行総裁(撮影:梅谷秀司)
中南米・カリブ海諸国の発展を目的として、1959年に設立された米州開発銀行(IDB)。設立以来、中南米・カリブ地域における開発資金の最大供給者としての役割を担っている。IDBはこれから何を目指すのか、また日本とはどのような関係を望んでいるのか。東京で行われた域外国会議に参加した、イラン・ゴールドファイン総裁に単独インタビューを行った。

豊富な天然資源は企業のサプライチェーンに欠かせない

――IDBは、気候変動や食料安全保障といった世界経済が抱える諸課題にどのような貢献をしているのでしょうか。

長年にわたり、ラテンアメリカおよびカリブ海は世界から助けられる立場にあった。しかし、今日では世界がこの地域を必要としている。たとえば、重要鉱物や農業を含む豊富な天然資源は、企業のサプライチェーン構築に欠かせない。

この地域には、世界のリチウムの3分の2と銅の38%が存在しており、世界のエネルギー転換に不可欠だ。IDBは、各国が持続可能で透明性のある採掘を行い、日本のような信頼できるパートナーとともにサプライチェーンを強化することを支援している。

気候変動という点では、アマゾン熱帯雨林も重要だ。アマゾン熱帯雨林は、世界の陸地で吸収されるCO₂の25%を占める。IDBはこの重要な資源を保護するために、自然を活用したソリューションや持続可能な土地利用、気候レジリエンスへの投資を支援している。

ほかにも中南米カリブ地域では、13億人分の食料を生産している。IDBは農業のイノベーションを推進し、物流の改善や気候変動に強い農業を支援することで、世界の食料安全保障を強化している。

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