そして、そもそも論であるが、企業は株主のものだ。
もし一流芸能人が人権ポリシーに反した発言をして、それに対して「その程度はいいんじゃないか」という擁護のコメントが出たとしても、その発言は世界中を飛び回り、企業の収益を毀損する可能性が高い。
そのとき、倫理的というより、単純にビジネスの論理として、発言主のタレントを排除する方向になるだろう。「その程度はいいんじゃないか」という擁護をする人は、収益の保証もしてくれないし、株主からの訴訟時にも守ってくれない。
だから結局は、企業の判断が尊重されるべきだ。この意味で企業がCMを削除した判断は、いい選択だったと外野は判断するしかないし、もちろん出演する側のタレントが、とやかく言えることでもない。
これからのCMタレントのあり方
先日、芸能関係者と話していたら、もう諦めたかのように「全員がクリーンであるべきだから、企業はおそらくAIキャラクターと契約したほうがいいね」と言っていた。
これは半分冗談だ。しかし、これから漂白された世界では、テレビやCMに出演するのは、ほんとうに生きている過程でクリーンだった方になっていくだろう。
それにAIキャラクターを使ったら、スキャンダルがないばかりか、ハラスメントの事件もない。現場で「疲れた」といわない。移動費や待ち部屋などのコストもかからない。CM撮影場所で「こんなセリフ言いたくありません」と苦情もいわない。事務所からのストップもかからない。年をとらないので表情も変わらない。費用も抑えられる。またマルチ言語にも対応できる。
もちろんデメリットもあって、AIキャラクターと知っていれば愛着を感じてもらうまで時間がかかるかもしれない。また、AIキャラクターはやりすぎであっても、アニメ等のキャラクターの活用はこれからも進むだろう。
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