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ポケモンGOが裏で進めていたAIマップ構築!プレイヤーは知らぬ間にデータ提供者に?Nianticはロケット団なのか

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画像はUnsplashMika Baumeisterより

 ポケモンGOが2016年に登場したとき、それはまさに革命だった。現実世界を舞台にポケモンを探し、捕まえ、バトルを楽しむ。スマートフォンを片手に街へ繰り出すこの体験は、ゲームの枠を超えた社会現象となった。しかし、実はポケモンGOは単なるゲームではなかったようだ――。

 最近の発表によると、プレイヤーたちはゲームを楽しむ一方で、知らぬ間にAIが現実世界を学習する手助けをしていたというのだ。開発元のナイアンティック(Niantic)は、「Large Geospatial Model(LGM)」と呼ばれるAI駆動の地理空間データベースを構築しており、これが次世代の拡張現実(AR)、ロボティクス、さらには軍事システムにも応用できる可能性があるという。

 つまり、プレイヤーがピカチュウを育てているつもりが、実はナイアンティックのAIを鍛えていたのだ。

ポケモンGOの裏側で進行していたAIマッピング

 ポケモンGOの成功は、ナイアンティックの技術力の高さを証明した。もともとGoogleの一部門として誕生したナイアンティックは、位置情報ゲーム「Ingress」でARマッピングの実験を行っていたが、ポケモンGOによってその技術は大衆化した。プレイヤーたちは街中を歩き、ポケストップを訪れ、バトルを繰り広げる。だが、その過程で集められた情報は、AIが現実世界を理解するための貴重なデータとして活用されていたのだ。

 ナイアンティックが開発したLGMは、人工知能が地球上のあらゆる場所を「認識」できるようにする仕組みだ。これにより、AIは単なる3Dマップを作るだけでなく、都市のレイアウトを把握し、建物や木々を識別し、さらには過去のデータをもとに「この先に何があるか」を予測できるようになる。

 LGMの基盤となっているのは、ナイアンティックの「Visual Positioning System(VPS)」だ。このVPSは5000万以上のニューラルネットワークと150兆以上のパラメータを駆使しており、すでに世界中の100万以上の地点で稼働している。プレイヤーたちは単にポケモンを捕まえているようで、実はこの巨大なAI地図を知らぬ間に支えていたのだ。

プレイヤーは「無償の地図作成者」だった?

 ナイアンティックは公式ブログでLGMの存在を発表し、その狙いを明らかにした。文章を学習する大規模言語モデル(LLM)があるように、LGMは物理的な世界を理解するためのAIモデルだという。

 では、どうやってデータが収集されていたのか?

 ナイアンティックは、ポケストップを「スキャン」する機能を通じて、高解像度のGPSタグ付き画像を集めていた。この作業はあくまで任意だったが、プレイヤーたちは新しいAR体験を楽しむために進んでスキャンを行った。その結果、ナイアンティックは従来の地図サービス(衛星画像やストリートビューなど)では捉えきれない、細かな路地や公園、人が集まるスポットの情報をAIに学習させることができた。

「単にゲームをプレイしていただけなのに、実はAIの地図作成に貢献していた」という事実に、多くのプレイヤーは驚きを隠せないのではないだろうか。

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Image by Chris Maguirang from Pixabay

AIの進化と軍事利用の懸念

 LGMの技術は、よりリアルなAR体験や、より優れたナビゲーション技術に貢献すると期待されている。だが、一方で懸念もある。

 オープンソース・インテリジェンス(OSINT)の専門家エリーゼ・トーマス氏は、この技術が軍事目的や監視技術に利用される可能性を指摘する。LGMが「人間と同じように世界を見ることができる」ならば、それは軍事偵察や犯罪予測システムにも応用できるというのだ。

 さらに、プレイヤーはこのデータ提供の仕組みについて、どこまで理解していたのだろうか?

 ナイアンティックは「スキャン機能はすべて任意であり、プレイヤーの位置情報はAIの学習には利用されない」と説明している。しかし、多くのプレイヤーは、ゲームを通じて世界規模のAI開発に間接的に関わっていたことを知らなかったのではないだろうか。

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Image by Tox Mendoza from Pixabay

ナイアンティックは「ロケット団」だったのか?

 ポケモンシリーズの悪役「ロケット団」は、ポケモントレーナーを欺き、自分たちの目的のためにポケモンを悪用する集団として描かれている。今回の件を知ったプレイヤーの中には、「ナイアンティックもロケット団みたいなものでは?」と考える人もいるかもしれない。

 もちろん、ナイアンティックはプレイヤーを騙していたわけではなく、技術の発展を目指していただけだ。しかし、結果的に「無意識のうちにAIを育成していた」プレイヤーたちは、ゲームの裏に潜む巨大なシステムに驚きを隠せない。

 ポケモンGOがもたらしたのは、単なるゲームの楽しさではなく、AIと現実世界の新たな関係性を示す実験だったのかもしれない。

 この技術が今後どのように発展していくのか――私たちは、もう少し注意深く見守る必要がありそうだ。

参考:ZME Science、ほか

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文=青山蒼

1987年生まれ。都市伝説マニア。

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