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クラウド・インフラへのスムーズな移行

2009年9月28日(月)
阿部 恵史(あべ よしふみ)

統合されたデータ保護

 最終回となる今回は、前回に引き続きクラウドコンピューティング実現に必要とされるストレージテクノロジーについて説明します。

 まずはじめに、データのバックアップと再利用から解説していきます。

 複数のユーザー、クライアント、あるいはアプリケーションが1つの物理的なハードウエア(ストレージの場合はストレージコントローラ)上で、仮想的に境界を設けて共有するマルチテナント環境は、バックアップのためのデータストリームの集中化を引き起こし、サーバーあるいはストレージの物理リソースあたりのバックアップデータ量を増大させます。

 また、一方で増加したバックアップデータ量に応じたバックアップウィンドウが与えられるわけではなく、バックアップに許容される時間は従来と変わらないか、より厳しい要求となり、単位時間あたりのバックアップデータ量は増大することが考えられます。

 そのため、テープメディアに依存した従来のデータ保護では、バックアップストリームの集中化と単位時間あたりに処理可能なデータ量の向上は困難です。また、テープによるデータの保管は、データ復旧の必要が生じるまでは不要な上、再利用する際でも即応性に欠けるため、柔軟に活用することができません。

 そこで、基本的にはディスクベースのバックアップ/リカバリー手法を採用することで、迅速でサーバーリソースに影響を与えない効率的かつ迅速なバックアップを可能にします。

 例えば、前回記事の図3-1(http://thinkit.jp/article/1027/3/)で紹介した「RAID6」や「重複排除機能」などのテクノロジーを組み合わせることで、迅速なバックアップとデータの柔軟な再利用を可能にする運用環境を構築できます。

 NetAppのSnapshotテクノロジーでは、Snapshotの取得自体はデータ使用量に依存せず、数秒から数十秒で取得が完了し、その間サーバーやアプリケーションに与えるパフォーマンスインパクトもほとんどありません。さらに、このSnapshotテクノロジーを応用した、ボリュームの仮想クローニング機能であるFlexCloneを活用することで、データ保護が実現可能です。

 これは例えば、業務アプリケーションの改編や新規のソフトウエアコンポーネントの開発・テストを実施する際に1TBのデータベース環境の用意が必要な場合、FlexCloneを使うと数秒で仮想的に全く別のボリュームに見えるコピーを生成しながら、そのために必要な容量はオリジナルの10%(100MB)程度しか消費しない、といったことが挙げられます。

 このように効率性を上げることで、本来あまり費用をかけたくないデータ保護の設備投資額と運用コストの削減が可能になります。

 このアプローチによって、データ保護の作業負荷をサーバーからストレージに移行し、クラウド・インフラ全体にわたって一貫したデータ保護を可能にします。またバックアップ・データやディザスタ・リカバリー・データは、開発などほかの用途にも使用できるため、結果として可用性を保護し、リスクを軽減する効率的なデータ保護インフラを実現できます。

サービスの自動化と管理

 クラウドインフラ環境の実現において、要求要件の変化に即応可能なインフラを構築するには、ストレージインフラに対するさまざまなタスクを自動化してストレージ運用における管理容易性とインフラの即応性を向上させる必要があり、そのためにはストレージインフラ自体が持つ実行機能だけではなく、それをコントロールする管理機能も同時に必要となります。

 特に、ストレージリソースのプロビジョニングやデータ保護タスクの自動化は必須となります。なるべく人手を介さず、少ないリソースでより多くの容量管理を可能にすると同時に、運用効率の向上を実現するために、NetAppの場合は、タスクの自動化を可能にする管理ソフトウエアとして、SnapManagerという製品を提供しています。

SnapManagerについては次のページで説明します。

著者
阿部 恵史(あべ よしふみ)
ネットアップ株式会社
マーケティング部 部長 製造系企業の情報システム販社、外資系ITベンダーなどを経て2007年8月より現職。その間、企業の基幹系システムの設計・開発・導入、インターネットTV開発、UNIX系ハイエンドサーバー、クラスタシステムの導入コンサルティングなどを経験し、2002年よりマーケティング職に転身。現在もデータセンターインフラの仮想化・自動化およびグリッドソリューションを担当。

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