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ワーク・ライフバランスとは?メリット・転職での志望動機の例文などを紹介
掲載日:2024年08月29日
監修者谷所 健一郎
キャリア・デベロップメント・アドバイザー(CDA)/有限会社キャリアドメイン 代表取締役
記事まとめ(要約)
- ワーク・ライフバランスとは、仕事と私生活の両立・充実を指す
- 従業員側のメリットは、自身の状況に合わせた働き方やモチベーションの維持など
- 企業側のメリットは、優秀な人材の確保や企業イメージの向上など
- 志望動機でワーク・ライフバランスについて触れる際は言及の仕方に注意
「ワーク・ライフバランス」について、メリットや実現のためのポイントを解説します。志望動機として伝える際の例文も紹介するので、ワーク・ライフバランスを重視して転職活動を進めたい人は、ぜひ参考にしてください。
ワーク・ライフバランスとは?
ワーク・ライフバランスとは、簡単にいうと「仕事と生活の調和」です。仕事と私生活のどちらか片方ではなく、両方がバランス良く充実している状態を、ワーク・ライフバランスが「整っている」「実現できている」などと表現します。
内閣府男女共同参画局では、仕事と生活の調和(ワーク・ライフバランス)を下記のように定義しています。
国民一人ひとりがやりがいや充実感を感じながら働き、仕事上の責任を果たすとともに、家庭や地域生活などにおいても、子育て期、中高年期といった人生の各段階に応じて多様な生き方が選択・実現できる社会
引用:仕事と生活の調和とは(定義)|「仕事と生活の調和」推進サイト 内閣府男女共同参画局
つまり、仕事は仕事としてしっかりと取り組み、やりがいや充実感を得ながらも、私生活では多様な生き方を選択できることがワーク・ライフバランスです。
「子育てのために仕事を辞めなければならない」「仕事が忙しすぎて私生活にかける時間がない」といった状態では、とても充実しているとはいえません。政府主導のもと、官民一体となって取り組む方針が掲げられていることから、ワーク・ライフバランスを重視する企業が増えています。
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ワーク・ライフバランスのメリット
ワーク・ライフバランス実現への取り組みは、従業員と企業の双方にメリットがあります。それぞれの視点から、ワーク・ライフバランスのメリットを確認していきましょう。
従業員側のメリット
ワーク・ライフバランス実現への取り組みは、従業員に次のような利点をもたらします。
- 自身の状況に合わせた働き方ができる
- 経済的に安定する
- モチベーションを保ちやすい
それぞれ詳しく解説していきます。
自身の状況に合わせた働き方ができる
従業員にとっては、自身の状況に合わせた働き方を選択しやすい点が大きなメリットです。
新卒で入社して間もない頃は問題がなかったとしても、ライフステージが変化し、育児や介護をすることになれば、これまでと同じ働き方を続けるのが難しくなってしまうかもしれません。
しかし、ワーク・ライフバランスの推進に精力的に取り組んでいる企業であれば、そうした生活の変化があった時でも柔軟に対応してくれます。
経済的に安定する
仕事と育児を両立したい人や、働きながら介護をしなければならない人向けの制度が不十分な企業は、ワーク・ライフバランスを整えやすいとはいえません。
職場環境や福利厚生がきちんと整備されている企業であれば、「子育て中や介護中だから働けない」と心配する必要がなく、経済的に安定するメリットがあります。働き方はもちろん、経済面での安定もワーク・ライフバランスには欠かせない要素です。
モチベーションを保ちやすい
ワーク・ライフバランスに配慮した企業では、従業員が仕事のモチベーションを保ちやすくなります。子育てや介護を理由に働くことを諦めたり、残業などによる過度な労働をしたりする必要がないためです。
企業側のメリット
働く環境を整えるにはそれなりにコストがかかるため、「企業にとってワーク・ライフバランスの推進に取り組むメリットは小さいのでは?」と感じる人も多いかもしれません。
社内制度や福利厚生の整備にコストがかかるのは事実ですが、以下のようなメリットもあります。
- 優秀な人材の確保につながる
- 生産性が向上し、コストを削減できる
- 企業イメージが向上する
各メリットを確認していきましょう。
優秀な人材の確保につながる
ワーク・ライフバランスを重視する企業は、「従業員にとって働きやすい企業」だといえます。転職活動で何を最も重視するかは人それぞれですが、誰しもより良い環境の職場に移りたいと考えるのは当然のことです。
職場環境や福利厚生が整っていればいるほど人材が集まりやすくなるため、企業にとっては優秀な人材の確保につながるメリットがあります。ワーク・ライフバランスの充実は一時的に人手を集めるだけではなく、離職率の低下も期待できます。
生産性が向上し、コストを削減できる
ワーク・ライフバランスの実現には、業務の見直しが欠かせません。長時間労働の削減や、新しい働き方の導入に取り組むことで、間接的に生産性を向上できるのが企業側のメリットです。生産性の向上し、少ない人数でも業務を回せるようになれば、人件費やその他コストも削減できます。
企業イメージが向上する
ワーク・ライフバランスの実現に向けた取り組みに力を入れている企業は、優秀な人材を確保しやすくなるだけでなく、社会的責任ある経営を行っているとして、企業イメージも向上します。
社会的責任を果たしている企業として評価が高まることで、取引先や投資家からの信頼を獲得しやすくなるメリットもあります。また、ステークホルダー(利害関係者)からの支持が強まることで、長期的なパートナーシップや新たなビジネスチャンスの獲得も期待できます。
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ワーク・ライフバランスを実現させるためのポイント
ワーク・ライフバランスを実現したいと考えていても、具体的にどう求人を探していけば良いのか分からない人は多いのではないでしょうか。
「なんとなく職場環境が良さそうだから」と曖昧に考えていると、いざ入社した時に、イメージとのギャップにがっかりしてしまうかもしれません。
以下の2つのポイントを参考にしながら、ワーク・ライフバランスを実現できる求人を探してみましょう。
ワーク・ライフバランスが実現する求人の特徴を知る
まずは、どのような求人であれば、ワーク・ライフバランスを実現させやすいのかを知っておきましょう。何を重視するかによっても変わりますが、一般的には次のような特徴を持つ求人が、ワーク・ライフバランスを実現させやすい傾向にあります。
- 転勤なし
- 原則定時退社
- 17時までに退社可
- 業務時間7時間以内
- 時差出勤可
- 時短勤務OK
- フレックス勤務
- リモートワーク可
- 完全在宅勤務・フルリモートワーク可
特徴を踏まえたうえで求人検索をしてみる
ワーク・ライフバランスを実現させやすい求人の特徴を押さえたら、求人・転職サイトで実際に検索してみましょう。「転勤なし」「リモートワーク可」などの項目にチェックを入れて検索をかけると、自分の希望条件を満たす求人を効率良く探せます。
ただし、すべての希望条件を満たす求人を見つけるのは難しいかもしれません。希望条件が多すぎると「求人件数が極端に少ない」「なかなか求人が見つからずに転職活動が長期化する」といった事態に陥りかねないため、優先順位を付けておきましょう。
例えば「通勤1時間以内」「転勤なし」「リモートワーク可」「企業内保育所あり」などの希望条件があるなら、譲れない条件と妥協できる条件を明確にすることが大切です。
ワーク・ライフバランスはもう古い?
政府主導で働き方改革が進められているなか、一部では「ワーク・ライフバランスは古い」という意見があがっています。こうした意見が見られるのは、「業務効率化よりも労働時間の削減を重視した結果、仕事の負担が増している」などの理由からです。
ワーク・ライフバランスにそのような側面があるのは事実ですが、実際には今までの課題を解決する形で進化を続けています。進化に伴って、「ワーク・ライフマネジメント」「ワーク・ライフインテグレーション」「ワーク・アズライフ」などの新しい考え方も登場しています。
ワーク・ライフマネジメント
ワーク・ライフバランスは、「企業が労働環境を整え、従業員が仕事と私生活のバランスを取れるようにする」という企業主体の考え方でした。それに対してワーク・ライフマネジメントは、従業員自らが仕事の質を高め、豊かな生活が送れるようにする考え方を指します。
ただ企業に職場環境や福利厚生を整えてもらうのではなく、「自分でも働き方の見直しや、キャリアアップのための努力をしていこう」という積極的な姿勢が、ワーク・ライフマネジメントの特徴です。
ワーク・ライフインテグレーション
ワーク・ライフバランスと比較すると、まだ言葉の認知度はそれほど高くありませんが、「ワーク・ライフインテグレーション」という考え方もあります。これは「仕事と生活の相乗効果」を意味する言葉で、仕事と私生活の両方を人生の構成要素として捉えています。
仕事と私生活を別々に捉えてバランスを取るのではなく、包括的に捉えてお互いの相乗効果に期待する点が、ワーク・ライフバランスとの違いです。このワーク・ライフインテグレーションは、今後注目が高まっていくと考えられます。
ワーク・アズライフ
ワーク・ライフバランスでは、仕事と私生活を別々に捉えるため、「休み明けの仕事が嫌」「趣味の時間が仕事に奪われている」といった気持ちが生まれやすい傾向にあります。そこで新たに登場した考え方が、「ワーク・アズライフ」です。
ワーク・アズライフでは仕事と私生活を切り離さず、「仕事も人生の一部」として捉えます。簡単に説明するなら、「休み明けや連勤でも苦痛に感じない、ほぼ趣味だと思えるような働き方をしよう」という考え方です。
得意分野を仕事にする場合、趣味や好きなことの延長線上と捉えやすいので、ワーク・アズライフの考え方が向いている可能性があります。
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志望動機でワーク・ライフバランスを強調しても大丈夫?
「ワーク・ライフバランス」を志望動機として強調する際には、適切なアプローチが必要です。以下で、その際に気を付けるべきポイントについて説明します。
ワーク・ライフバランスを大事にしたいと伝えても問題ないが、注意が必要
ワーク・ライフバランスを重視している企業なら、言及しても問題はありません。ただし、自分にとってのメリットを語るだけの志望動機にならないように注意しましょう。
「ワーク・ライフバランスを整えたい」というのは自分の希望であり、企業にとっての採用メリットにはなりません。それだけでは採用する価値を見いだしにくいため、ワーク・ライフバランスを重視することで企業にどのようなメリットがあるのかを伝えましょう。
- 例1:生産性が向上し、企業の成果に結びつく
- 例2:自学によるスキルアップが企業の成果に結びつく
上記のように、何がどのような形で企業の成果・利益につながるのかを具体的に伝えると、入社後に自分が活躍する姿をイメージしてもらいやすくなります。
「スキルアップの支援制度が整った企業で働きたい」「出社とリモートワークを柔軟に使い分けたい」など、自分都合の志望動機で終わらないよう注意しましょう。
ワーク・ライフバランスを志望動機にした例文
ワーク・ライフバランスを整えて仕事の質を高めたいと思い、御社の営業を志望しました。
現職の営業では、慢性的な人手不足に対する会社の取り組みが十分ではなく、月の残業時間が50時間を超えるのが実状です。
商品の提供を通じて顧客を喜ばせたいと思って営業の仕事に就いたはずが、顧客一人ひとりに細かく気配りする余裕がありません。本来目指していた理想の営業像とかけ離れた状態にあると感じ、転職を決意しました。
御社は「1日6時間労働」という制度を取り入れながらも、通常の8時間労働より高い生産性を実現しています。労働時間の削減と生産性の向上を両立させている御社であれば、顧客一人ひとりに寄り添った質の高い営業を実現できると感じました。
空いた時間を活用して、1回1回の商談を細かく振り返ったり、顧客にプラスアルファの価値を提供したりして、売上向上に努めてまいります。
キャリアアドバイザーからのアドバイス
谷所 健一郎(ヤドケン)
ワーク・ライフバランスを打ち出している企業であれば、志望動機のなかで触れるのは問題ありません。ただし、自分のメリットを語るだけで終わらないように注意しつつ、企業側の採用メリットを伝えましょう。
ワーク・ライフバランスから「生産性を向上させる」「仕事に前向きに取り組み成果につなげる」「スキルを高めて貢献したい」など、応募企業でかなえたいことや発揮したい能力も併せて伝えると、入社後に活躍する姿をよりイメージできて好印象です。
ワーク・ライフバランスを打ち出していない企業の場合は、志望動機で強調しすぎると、私生活重視だと捉えられるリスクがあります。職場環境や福利厚生を中心に志望動機を考えるのは避けましょう。
まとめ
ワーク・ライフバランスの実現は、従業員にとって仕事へのモチベーションや経済面の安定につながる大きなメリットがあります。求人探しの際は、働き方や職場環境、福利厚生などに注目し、ワーク・ライフバランスを実現できる企業への転職を目指しましょう。
志望動機でワーク・ライフバランスについて触れても問題はありませんが、伝え方に注意する必要があります。自分のメリットを語るだけで終わらず、ワーク・ライフバランスを重視することで企業にどのようなメリットがあるのかを伝えることが大切です。
監修者
谷所 健一郎(ヤドケン)
キャリア・デベロップメント・アドバイザー(CDA)
有限会社キャリアドメイン 代表取締役
有限会社キャリアドメイン 代表取締役 キャリア・デベロップメント・アドバイザー(CDA)。1万人以上の面接と人事に携わった経験から、執筆、講演活動にて就職・転職支援を行う。ヤドケン転職塾 、キャリアドメインマリッジを経営。主な著書「はじめての転職ガイド 必ず成功する転職」(マイナビ出版)、「転職者のための職務経歴書・履歴書・添え状の書き方」(マイナビ出版)、「転職者のための面接回答例」(マイナビ出版)、「転職者のための自己分析」(マイナビ出版) ほか多数。
マイナビ転職 編集部
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