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モーツァルト ピアノソナタ11番K.331第3楽章(トルコ行進曲)

 モーツァルトトルコ行進曲を録音した。ピアノソナタ11番K.331第3楽章で冒頭に"Alla turca"(トルコ風)と書いてあるのでトルコ行進曲と呼ばれている。
 楽譜は全音ソナタアルバム1を使った。
 だいぶ前に一度録音したことがあったのだけど、あまりにも出来が悪かったのでなかったことにして最近改めて練習した。やっぱりあまり出来が良いとは言えないので、僕はモザートとは相性が悪いのかなと思ったり。リズムとテンポがすぐに崩れてしまうのと、音の粒揃いが悪いので基本的に演奏技術が低いだけなのだが。これまでメトロノームを使ってリズムを合わせて練習するということを殆してこなかった所為だろう。
 人によっては技術的に優しいと軽視するあるけど、ちゃんと弾こうとすると装飾音の処理なんかはかなり難しくなってくる。
 多分わかりやすいコード進行でアナリーゼ初心者の練習にうってつけなのだろうけど、僕は音楽をちゃんと勉強していないのでよく分からない。Aパート:調合なし→ハ長調orイ短調、Bパート:シャープ3つ→イ長調or嬰ヘ短調、なので距離の近いA:イ短調、B:イ長調かなってくらいにしか分析できない。真面目にやればもう少し何か出てくるのだろうけど。

曲の構成
 ABCBABコーダという形になっている。ロンド形式だと思ってたのだけど、Wikipediaロンド形式を見てみると、この形のものが書かれてない。もしかしてロンド形式じゃない? 楽譜の解説を見ると複合三部形式と書かれている[1]Wikipedia複合三部形式を見てみると、こちらもこの形は書いてない。ただ、複合三部形式という名称は3部形式を拡大した形式ということなので、 (AB)(CB)(AB)コーダという3部形式にコーダを付けた形であれば「三部形式を大きく発展させたもの」という定義[2]からは外れないので、複合三部形式と呼ぶのは間違ってないと思う。
 一応小節番号との対応を書くと、次のようになる。

A 1-24
B 24-40
C 40-56
B 56-64
A 64-88
B' 88-96
コーダ 97-127

 コーダ以外は全て繰り返しが入っていて、そこそこの長さになっている。繰り返しが特に重要とも思わないので、繰り返しはテキトーに省いてもいいんじゃないかと思う。

テンポ
 世の中の録音を聞くと結構速く弾いてる人が多いけど、Allegretto(やや速く)と書いてある。速度記号を具体的なbpmで書いてある資料は意外に少ないのだけど、96~120bpmくらいとなる[3]
 よく激遅と言われているグールドの演奏だが、106~108bpm程度で実は適切な速度である。大体、行進曲と言っているのにAllegroで弾いたら行進ではなくなってしまう。


www.youtube.com


装飾音の打鍵タイミング
 装飾音のタイミングには色々と議論があって何が正しいのか判断しづらいので、僕の演奏法を紹介する。


 この辺りは楽譜に書いてある通りに前打音として、主要音を拍に合わせて弾く。
 B'からコーダの装飾音の弾き方が難しい。


 右手のオクターブを分散させて演奏しているので、前打音を割り込ませようとすると直前のオクターブの上の音と被ってくる。前打音の最初の音が直前オクターブの上の音と同時に打鍵するくらいのタイミングとなる。この辺りもテンポをあまり速めるべきではない理由になる。テンポを早くすると前打音が前の旋律の主要音に引っかかって来てしまうので良くない。


 コーダに入ったところ。左手が前打音で、右手が分散和音となっている。拍頭で左手の主要音と右手の最初のCisを同時に打鍵して、右手はここからEACisと分散和音を弾くことになる。


 両手ともに前打音が付いている。
 左手については上に書いた通りなので良いとして、右手はEACisの和音にDの前打音が付いている。素直に直前にDを押してから和音を打鍵する方法と、EADを押してCisを遅らせることでD→Cisとする弾き方がある。僕の場合は、前者を採用している。
 この部分の装飾は白鍵→黒鍵となっており、しかも黒鍵を4指で押さえるので、かなり弾きづらい。ちゃんと打鍵できるまでゆっくり正確に練習するのが良いと思う。

47小節

 ☆右手H直前の音が黒鍵なので鍵盤の奥の方でキーを押さえるポジションになっている。この位置でHを押そうとするとキーの狭い部分で打鍵しなければならず、隣のキーを触ってしまうことが多くなる。手前の方の白鍵の広い部分で打鍵するとよい。


参考文献
[1]ソナタアルバム1, 全音楽譜出版社
[2]複合三部形式, Wikipedia
[3]Allegretto(アレグレット)の速さはどれくらい?【音楽用語】【速度標語】, こどもカルテット

別れのワルツ 演奏解説

 ショパンのワルツ9番、Op69-1「別れのワルツ」を録音した。
 結構前のこと、実家に帰ったときに楽譜があったので初見で弾いてみたら結構弾けたので、思ったより簡単な曲だという認識があった。
 それで、なにかショパンの曲を弾こうかなってなったときに思い出して弾くことにした。簡単な曲とは言っても僕の技術が拙いせいで弾けるようになるのに結構時間がかかる。あまり真面目に練習してないだけかもしれないけど。

 楽譜はナショナルエディション英語版の後期バージョンを使った。日本語版にリンクしている。一部から色々問題があると言われているが僕の英語読解力では多分違いがわからない。ナショナルエディションはよくある楽譜とは多少音が異なるけど、あまり重要とは思わないので今回はそういった部分は紹介しない。そこそこの長さの曲だけど、2ページで纏めてあるのは助かる。

曲の構成
 41にトリオと書いてあるので3部形式となる。
 構成は次の通り。弱起なので、パートの切れ目が不完全小節となる。

116 A
116 A
1724 B
1724 B
2540 A
4148 C
4956 D
5764 C
116 A

 ショパンは4の倍数の小節数を区切りとして曲を書くことが多く、この曲は全て8の倍数が区切りとなっている。とはいえ、これは別にショパンに限ったことではなく、音楽というものの性質上2の倍数を基本として構成することになることが多いので自然な流れである。

アーティキュレーション

 ショパンの楽譜を読むときに特徴的な解釈がある。譜例12の<>の形のクレッシェンド・デクレシェンドがある。これはヘアピンと呼んでいるが、「<>」はテンポ・ルバートを示している。すなわち、伴奏のリズムは一定に保ったまま右手の主旋律を引っ張ったり速くしたりとテンポを変えて歌う[1]。。

 56各小節1拍目には「>」の形のアクセントがついているが、5は短いアクセント記号で、6はちょっと長いアクセント記号となっている。
 長いアクセント記号はショパンに特有のものであり、デクレッシェンドのヘアピンを短くしたものと説明することができるのだけど、この曲ではヘアピンは上で説明した<>の形しか存在しないので、説明する必要がない。長いアクセント記号の演奏法は端的に言うとその音の音価を伸ばしなおかつ強く弾いて強調する、という意味となる。

フレージング
 この曲に限ったことではないのだけど、ショパンの曲には2小節くらいの間隔でスラーが来ていることがある。これはフレーズの切れ目で、息継ぎをするタイミングとなる。譜例のような演奏になる。この息継ぎを入れる際には決してリズムやテンポを崩してはいけない[4]


装飾音
 ショパンのテンポ緩め系の曲によくある装飾音。
 ossiaで示してある部分もあるが、単純→複雑となるように装飾していく。例えば、11は次のように書いてある。

 同じ形が35と、ダ・カーポで戻ったあとの11に出てくる。全て同じ音で書かれているが、注釈にはダ・カーポ後には次のように弾かれることがあると書かれている。

 また、初期稿には、次のように書いてある。

 これが最も単純になっている。
 この組み合わせで、1回目11:初期稿、2回目11:通常通り、35:通常通り、ダ・カーポ11:ossiaとして演奏した。この順番はコルトー版全音版と同じである。
 同様に、7も、次のようになっているが、

 コルトー版全音版では次のようになっている。

 1回目だけ全音版を採用してあえて単純化して演奏している。

半音階の運指

 半音階の運指は指くぐりを嫌って上の赤字のように変更することが可能であるが、均質な音で弾くにはかなりの修練が必要なので、あまり勧めない。

15小節

 最初のEsの装飾音は前打音とする。普通、ショパンの装飾音は前打音にはせずに拍のタイミングに合わせるのだが、この部分では三連符のリズムが崩れてしまうので前打音とする[2]
 ☆右手3拍目。重音になるが打鍵のタイミングをずらさないように。また、上の音が主旋律となるので強調する。

Bパート

 1724Bパートとなる。ワルツを感じさせないリズムとなるため、ちゃんと3拍子でリズムを取るのが難しい。三連符とか付点のスイングリズムが入ってきて、足でリズムを取りながらでもぶれてしまう。自分でリズムを取れるようになるまではメトロノームに合わせるのが良いと思う。

Cパート

 Cパートで注意しなければならないのは、2小節ごとに出てくる2拍目のDesのアクセント。割と見落としがち。いっそ、この2拍目を長く取ってアクセントにしたくなるが、短いアクセント記号なので、そういう指示にはなっていない。もちろん、演奏者が何かしらの根拠をもってこの音を長く取るというのは全然良いと思う。

56

 56だけだとあんまりなので、譜例は5556を載せた。
 5955にかけて長くクレッシェンドが続いており、クライマックスの盛り上がるところだが、このフェルマータが付いている音はそれまでよりも柔らかい音で弾く[3]

参考文献
[1]セイモア・バーンスタイン, ショパンの音楽記号 -その意味と解釈-, 音楽之友社(2009)
[2]エキエル版 ショパン/ワルツ[シリーズB], 全音楽譜出版社
[3]ショパン/ワルツ集 (アルフレッドコルトー版), 全音楽譜出版社(1999)
[4]ジャン=ジャック・エーゲルディンゲル, 弟子から見たショパン―そのピアノ教育法と演奏美学, 音楽之友社(2005)

金平糖の踊り 演奏解説

 チャイコフスキーくるみ割り人形より、金平糖の踊りを録音した。
 この曲はDTMを始めた頃、シーケンサーソフトのサンプル音源として収録されていて、それで知った。それで、その後くるみ割り人形のCDを買った。
 楽譜は全音版チャイコフスキーが自分でピアノ用に書き直した楽譜があるらしく、それを発見した後藤丹がまとめて出版したもの。したがって、チャイコフスキーのオリジナル版と言って良い。
 邦題は「金平糖」となっているが、原題では「ドラジェ」というお菓子。日本ではあまり見ないお菓子だけど、下の画像の通りググればどんなのか分かる。

 金平糖の踊りという可愛らしいタイトルとは違って不穏な雰囲気の曲なのだが、ドラジェというお菓子と実際のバレエの踊りを見ると納得できるかもしれない。どう考えても日本語訳が間違っているのだけど、金平糖の踊りというタイトルは捨てがたい魅力がある。


www.youtube.com


テンポ
 四分音符で80BPMと書いてあるが、どう考えても速すぎる。かといって、音符の旗を付け忘れたと考えて八分音符で80BPMだとすると遅すぎる。わけがわからない。自分でちょうどよいと思う速度で弾いたらよいと思う。僕は八分音符で104BPMに設定した。

リズム
 くるみ割り人形バレエ音楽であり、曲に合わせて踊ることを前提としている。したがって、リズムは厳密でなければならない。
 ほとんどの箇所でわかりやすい2拍子だが、3236小節の分散和音を正確なリズムで演奏するのは難しい。メトロノームに合わせてしっかりと練習する必要がある。
曲の構造
 次のように場面ごとに区分した。どれも、4小節で一つの塊となってる。

14 前奏
520 A
2132 B
3336 C
3752 A'


Aパート、A'パート
 AA'がだいたいメインのパートになるので、Aが弾けるてしまうと繋ぎとなるBCは短いので、すぐに終わる。
 Aは4小節×4の構造となっている。A'は同じ構造となっているが、ベース音が徐々に上がっていくのと、音が少し多い。

20小節

 Aパートはここで終わりとなるが、4拍目はBパートの弱起となっている。Aの最終音でもAの弱起でもどちらでも成り立つ音になっている。

Bパート
   Bパートはかなり単純な構成となっているので簡単に暗譜できてしまう。また、手の交差の部分は手元を見ないと難しいので、暗譜で弾いた方が楽である。
2122小節

 右手と左手は1オクターブ違うだけで同じ音。この和音が21では1音ずつ上がり、22小節では1音ずつ下がる。
 22最後のところは譜例のように左手で取ると弾きやすくなる。

2931小節

 正確には28の終わりから始まるのだけど、Hのオクターブをスフォルツァンドで打鍵して、左右の手で3和音を1音ずつ上昇しながら3回打鍵する。それを1小節進むごとに1音上げる形としている。

Cパート
 64分音符の分散和音によるパッセージで、この曲で一番難しい部分。
 この部分の練習は3段階に分かれる。
①音を覚える
②正しいリズムで弾く
③正しい順序で弾く
 という順序となる。
①音を覚える
 この部分は64分音符の速い動きの分散和音となっており、楽譜を見ながら正確なキーの位置を把握するのは難しので、暗譜してしまうことになる。
32の最後からのコード進行は次のようになっている。

32 D7
32 B7 D7 B7 F7
32 B7 F7 B7 Am7(♭5)
32 B Am7 B7 D7
32 B7 D7 B7

 クラシックでよくやる表記方法をしたかったのだけど、調性の判定が面倒なのとよく分からないのとでやる気が出ないのでポピュラー形式のコードで表記した。コードを調べるにあたって、マイナーセブンスフラットファイブというコード名の存在を知りました。多分、来月には忘れる。
 この表を見れば分かる通り、各小節1,3拍目はBの和音となっている。それで、4,2拍目(前の小節の4拍目から入るので、4→2の順にした)はD7→F7→Am7(♭5)と1小節ごとに3度上がっている。そして最後の36ではD7なり32と同じ音に戻ってくる。ということを覚えると暗譜が捗る。
②正しいリズムで弾く
 音を覚えたら、順番にコードを押さえることはできるようになるけど、普通に弾こうとするとどうしてもテンポが安定しない。
 頭で拍を数えながら弾いても正しいかどうかが分からない。足でリズムを取りながら弾いてもいいけど、結局最後までメトロノームを使った。人前で弾くときはメトロノームは使えないので、足でリズムを取ることになると思う。この部分はペダルを踏むので、左足でリズムを取る。
③正しい順序で弾く
 正しい順序っていうのは、鳴らす音の順番のこと。一度録音したけど、両手でテキトーに分散和音を鳴らしてるだけだったので、練習し直した。


 この弾き方もありと思うかもしれないけど、断然ナシである。
 ちゃんと楽譜の通りに惹かないといけない。ポイントとしては、右手で弾いているときに左手は離鍵し、次の音の準備をすること。分散和音ではあるが、音を保持する必要はない。

最後


 注釈で「組曲では、このように終わっている。」と書いてある。
 注釈の方で弾いた方が自然でに聞こえる。なぜチャイコフスキーがあえて最後を変更したのか不明である。

踊る人形カルコブリーナ

 ファイナルファンタジー4より、踊る人形カルコブリーナを録音した。
 一度聞いたら忘れられない曲で、謎の人気がある。臭作のテーマである俺様の美学と並ぶキモい曲で、かなり気に入っている。
 チャイコフスキー金平糖の踊りを練習してるのを聞いた方がカルコブリーナを想起したそうで、じゃあ弾こうかってなった。
 原曲はベース、ワルツの伴奏、旋律の3声という編成だが、そのままだと芸がないのでベース部分を高音から低音へと移動していくように配置した。その所為で多少難しくなった。8度を越える跳躍が大体白鍵-白鍵なので、とても弾きにくい。半音ずらせばかなり弾きやすくなるのだけど、このままでも頑張れば弾けるからと言ってそのままにした。
 楽譜も一緒にアップした。難しかったら半音ずらしたらいいと思う。

ねこふんじゃった

 ねこふんじゃったを録音してアップしてみた。
 以前アップしたことがあった気がするけど、データが見当たらないので、出来が悪すぎて消したんだと思う。
 ねこふんじゃったは全音から連弾用の楽譜が出ているのだけど、今回使った楽譜は小原孝ねこふんじゃったスペシャルに付いてた楽譜だと思う。だいぶ前にコピーしたのがあるので、これを使った。
 よく小学生が学校で覚えるのは連弾の低音側だけで、高音の方はあまり知られていない。
 黒鍵ばかりを使う曲だから、楽譜はフラットが6個付いていて非常に読みづらい。僕みたいに鍵盤を見て白黒の鍵盤を押さえる順番で暗譜してる小学生みたいな人には弾きやすいけど、ちゃんと音楽を勉強した人ほど弾きにくいっていう不思議な曲。
 だいたい跳躍している安定したテンポと強弱で弾くと思いの外美しくなり、小学生の演奏とは一味ちがうなってなるけど、多分速く弾くことばかりを良しとする小学生には通じない。
 ただ、高音部分も右手で同時に弾くので細かいことの分からない視聴者にも違いは分かってもらえると思う。