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ライター
岡本 大樹 撮って書くひと

2015年、小笠原諸島で連続ブリーチングを繰り広げるザトウクジラの雄大さに感動。その勢いで旅を仕事にすることを決める。それまでは原付で47都道府県を旅したり、ドイツ留学中にドイツほぼ一周電車旅をしてみたり。仕事では、サイパンの海に潜ってみたり、ベルギーでチョコレート作り体験をしてみたり。現在は人の旅立ちを後押しできるような写真を撮って記事にするべく、奮闘の日々。

鳴門の渦潮に阿波おどり、祖谷のかずら橋など、徳島県の観光スポットといえばイメージされるものがいくつかあると思いますが、ニッチながら知られざる絶景スポットも数多くあります。

あまり知られていないスポットは、それほど人が集まらない場所でもあり、ソーシャルディスタンスを意識した旅先としても最適。特に大自然に囲まれた場所なら、それほど人との距離を気にすることなく、存分に旅を楽しめます。

今回は徳島の中でもニッチな自然スポットをご紹介します。新しい旅様式の目的地候補にしてみてくださいね。

奥祖谷二重かずら橋


「祖谷(いや)のかずら橋」というと、徳島県内でもトップクラスに有名な観光スポットとして知られる場所。シナチクカズラを編んだような形で作られた吊り橋はスリリングで、日本三奇橋の一つにも数えられています(諸説あり)。

そんなかずら橋ですが、実は徳島にはさらに「奥祖谷二重かずら橋」というスポットが存在します。こちらは祖谷のかずら橋ほど有名ではなく、またアクセスもさほどよくないため、まだまだ穴場的なスポットとなっています。

その名前の通り、ここにはかずらで作られた橋が2つ渓谷に架かっています。知名度的には祖谷のかずら橋に劣るものの、渡る際のスリルはこちらでも充分。

足元はスカスカで、足を踏み出す度に軋み揺れる橋は、高所恐怖症の方だと一歩も進めないほどスリル満点です。

2本の橋は男橋と女橋と呼ばれており、男橋は水面からの高さが12m、女橋は4mと、かなり違いがあります。女橋は低めに架けられているので、ちょっと怖いという方はまずこちらから試してみることをおすすめします。


また女橋の隣には野猿(やえん)という名前の乗り物があります。こちらは人力で動かせるロープウェイのようなもので、木製の籠に乗って渡ることができるので、最も恐怖を感じずに済む……かもしれません。

どちらも渡れなかった、という方も諦めず、ぜひチャレンジしてみてください。

奥祖谷二重かずら橋は紅葉が美しい場所でもありますが、夏は豊かな緑に包まれていて森林浴にもピッタリ。橋の下の川辺に下りていくこともできるので、川・山の両方を同時に満喫しましょう。

■詳細情報
・名称:奥祖谷二重かずら橋
・住所:徳島県三好市東祖谷菅生620
・地図:

鳴門スカイライン


渦潮(うずしお)で有名な鳴門ですが、場所によってはとても穏やかな青い海を堪能できます。車で走っているとわかりにくいのですが、実は鳴門には島田島と大毛島という2つの離島があり、その島々と徳島をつなぐ道が「鳴門スカイライン」と呼ばれる道路です。

ドライブでの旅は、ソーシャルディスタンスを意識した旅にぴったりですよね。鳴門スカイラインはかなり高いところを走っていくので、いくつかある開けたポイントでは、車からでも海の景色を味わうことができますよ。

もちろん車を停めれば、よりじっくりと鳴門の美しい海を眺めることができます。といっても、道路の端などに車を停めるのは大変危ないので、まずは鳴門スカイラインの最も高い位置にある四方見(よもみ)展望台を目指しましょう。


展望台からは内海となっているウチノ海や大毛島を臨め、急流が特徴的な鳴門海峡とは全く異なる海の景色を楽しめます。

船や釣り用のイカダなどが浮かんでいるのんびりとした風景のウチノ海、晴れた日にはとても濃いオーシャンブルーを見せてくれるので、爽快感は抜群です。

■詳細情報
・名称:鳴門スカイライン
・住所:徳島県鳴門市瀬戸町中島田東山
・地図:

山犬嶽

海の見どころも多い徳島ですが、少し内陸部に足を向けると山の絶景にも出会えます。そんな中でも、近年少しずつ地元の人たちに人気が出てきているのが「山犬嶽(やまいぬだけ)」です。とはいっても、全国的にはまだまだ穴場。

山犬嶽の見どころは何と言っても、広範囲に群生している苔です。岩や木の根元などがびっしりと緑で覆われている景色からは、思わず深呼吸をしたくなる、なんとも言えない癒やしを感じられます。


また、山犬嶽では至るところに石仏が置かれています。四国は弘法大師の巡礼路「お遍路さん」で有名な土地ですが、ここではミニ遍路もできるのです。88ヶ所すべてをまわるのは大変ですが、ぜひチャレンジしてみましょう。

苔の群生地までは、駐車場から舗装された道路を約30分、さらに登山口から山道を約30分、合計1時間ほど歩く必要があるので、訪問の際には軽めの登山をするという意識を持っておいてください。

なお、登山口までは棚田を横目に見ながらの道のりになるので、季節ごとに変わる山の田んぼを楽しみながら苔の群生地を目指しましょう。

■詳細情報
・名称:山犬嶽
・住所:徳島県勝浦郡上勝町大字生実萱木屋
・地図:

雨乞の滝


「雨乞の滝」も徳島における山の絶景の一つ。かつては干ばつに悩む農民たちが滝の前で雨乞いを行ったという伝説が残されており、現在でも神秘的な雰囲気に包まれています。

2本の滝が足元で1つになっている形の夫婦滝で、向かって左側の雄滝は27mとそれほどの落差はありませんが、右側の雌滝は45mもの高さを誇っています。

下から見上げると、相当高い場所から水が流れ落ちてきていることがわかるでしょう。しかも雌滝は3段になって大きな水音をたてており、目の前にするとかなりの迫力が感じられます。


滝周辺は豊かな緑に囲まれていることも、雨乞いの滝の特徴の一つ。流れる水の音も相まってリラックスできること間違いなしの空間になっていますよ。

雨乞の滝にたどり着くまでにも、うぐいす滝や観音滝など4つの滝を楽しみながら散策できます。道は舗装されていますが、途中かなり急勾配の場所もあるので、動きやすい服装で行ってくださいね。

■詳細情報
・名称:雨乞の滝
・住所:徳島県名西郡神山町神領谷
・地図:

阿波の土柱

阿波市にある「阿波の土柱(あわのどちゅう)」も徳島が誇る珍しい景色の一つです。土柱というとあまり馴染みがなくイメージしにくかもしれませんが、その名前通り土の柱を意味しています。

約130万年前には、この場所は川底であったとされています。水中だった地面が地殻変動によって持ち上がり、その後風雨によってもろい部分が長い年月をかけてどんどん削られた結果、土が柱状に残ったのが現在の土柱というわけです。

この場所にはそんな土柱が何本も並んでおり、土のカーテンのような姿となっています。これほどの規模のものは世界的にも稀で、アメリカのロッキー山脈、イタリアのチロル地方のものと並び、世界三大土柱にも数えられているほど。

正面から見上げてもかなり迫力を感じられる土柱は、夜にはライトアップが行われており、ちょっと雰囲気の違う様子を見ることもできます。


さらに、上にも歩いて行けるように道が整備されています。上から見るとかずら橋と同じか、ある意味ではそれ以上のスリルを味わえる場所となっています。柵などが何もないぶん見晴らしは良いのですが、危険でもあるので、足元には充分注意して楽しむようにしましょう。

■詳細情報
・名称:阿波の土柱
・住所:徳島県阿波市阿波町北山540
・地図:

大神子海岸


徳島は東側に海が広がるというその土地柄、朝日の名所も多く存在しています。普段は早起きをしないという人でも、旅の間は朝から時間いっぱい楽しみたいですよね。そんなときは、朝日を見に行くという形で旅の一日をスタートしてみてはいかがでしょうか。

「大神子(おおみこ)海岸」は、徳島市内に位置しているアクセスの良いビーチでありながら、静かな場所でじっくりと朝日を待つことができるおすすめの朝日スポットです。


また徳島は、国内でもなかなか見られない「だるま朝日」に出会いやすい土地でもあります。朝日の下に蜃気楼ができ、まるでだるまが水平線から出てきたように見える朝日は、冬の限られた条件下でしか見られないため、幸運の象徴とも言われています。大神子海岸でも出会えるチャンスはありますよ。

大神子海岸では、海底の地形の関係から遊泳は禁止となっています。その分、真夏であっても海水浴目的の人は来ないため、落ち着いて静かな散策ができる場所とも言えます。海岸から少し内に入ると、松原が広がっていてデイキャンプを楽しむ姿も見られます。

■詳細情報
・名称:大神子海岸
・住所:徳島県徳島市大原町大神子
・地図:

今こそ、ちょっとニッチなスポットへ行こう!


旅はしたいけど、ソーシャルディスタンスが気になる今。できるだけ不特定多数の人との接触を避けたい……そんなときこそ、これまではあまり知らなかった、ちょっとニッチなスポットをチェックしてみてはいかがでしょうか。

今回ご紹介したスポットは、観光地としての知名度は高くない上に、豊かな自然に囲まれた場所ばかりなので、それほど人との距離に気をかけることもなく、ゆっくりと楽しむことができますよ。ぜひ今ならではの旅計画を立ててみてくださいね。

All photos by Daiki Okamoto

【特集】NEXT JAPAN TRAVEL – あたらしい旅、だいすきな場所。-


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岡本 大樹 撮って書くひと

2015年、小笠原諸島で連続ブリーチングを繰り広げるザトウクジラの雄大さに感動。その勢いで旅を仕事にすることを決める。それまでは原付で47都道府県を旅したり、ドイツ留学中にドイツほぼ一周電車旅をしてみたり。仕事では、サイパンの海に潜ってみたり、ベルギーでチョコレート作り体験をしてみたり。現在は人の旅立ちを後押しできるような写真を撮って記事にするべく、奮闘の日々。