「溺れる者はわらをもつかむ」というが、幹部らの汚職事件によるイメージダウンで、スポンサー離れが深刻な国際サッカー(FIFA)にとっては、新興著しい中国企業は頼りになる存在らしい。FIFAは9日、クラブ世界一を決めるクラブワールドカップ(W杯)の新たな冠スポンサーに、中国の電子商取引最大手、アリババグループの自動車ブランド「アリババEオート」が就くと発表した。
もともと、前身のトヨタカップからの流れでクラブW杯はトヨタ自動車が冠スポンサーとなっていたが、昨年限りで撤退。代わりのスポンサーを日本の企業の中から探していたという。
五輪シフトの日本企業に袖にされ…
だが、2020年に東京五輪を控え、日本の企業はサッカーから五輪モードにシフトしているうえ、FIFA自身の相次ぐスキャンダルもあって難航。記者会見で、FIFAのティエリ・バイル・マーケティング部長は「トヨタの代わりの協賛社を日本のマーケットで探していたが、多くの企業は東京五輪の方を見据えている。FIFAの現状を考えても、セールスは簡単ではなかった」と述べた。
アリババEオートの契約期間は今大会から2022年までの8大会。契約金額は明らかになっていないが、今月2日の理事会で2015年の収支が14年ぶりに赤字となることが報告されたFIFAにとっては、まさに助け船だったのは間違いない。FOXスポーツ(電子版)などによると、バイル部長は「正直、FIFAにとって中国はこれまで強力なマーケットではなかった」と認めたうえで、「その規模を考えると、もはや無視することはできない」と話したという。