ToDoリストは、作成するのは簡単ですが、その中身をすべて片づけるとなると、はるかに難しいですよね。リスト上のタスクを実際にやり遂げる上では、優先順位をつけることが大きくものを言います。コツは、できるだけ容赦せずにやることです。
すぐに取り組まなければならないタスクがリストに1つしか残らなくなるまで、手加減せずにバッサバッサと切り捨てましょう。そうすれば、後は残った仕事をやるしかありません。少なくとも、私の場合はこの方法が、仕事に取りかかるのに有効です。
優先順位をつけるのは簡単ではありません。それは優先度の低いものに「No」と言うのと、ほとんど同じことだからです。ここでは、優先順位の低いものを切り捨てる方法を、やりやすいものから順に紹介していきます。一番容赦のない方法は最後です。では早速見ていきましょう。
タスクリストを分析する
手始めに、完全に手放しても構わない仕事から探していきましょう。手っ取り早くタスクリストの仕事を減らすには、他人に頼むのが一番です。「誰かやってくれないかな」と思っている仕事はありませんか。そういった仕事はさっさとリストから外してしまいましょう。一応、忘れないような場所(例えば「後でやるリスト」や「みんなでやる仕事」など)には残しておくのです。でも、通常の「ToDoリスト」から外しておけば、その仕事を常に目にせずに済むので、「やらないと」というプレッシャーから解放されます。
次に、どうしても自分がやらなければならないタスクすべてに目を向け、下の「時間管理のマトリックス」に振り分けてみましょう。これは、米経営コンサルタントのスティーブン・コヴィー
締め切りが近い(もしくは締め切りが過ぎている)タスクはすべて、「緊急」と見なします。本当に「重要」なタスクと、「できたら良いな」でしかないタスクを、どう振り分けるかはあなた次第です。でも、決める際はできるだけごまかさず率直になるよう努力しましょう。長期的な成功につながりそうな仕事はすべて「重要」と見なします。人間関係の構築や、自分自身の健康や成長に結びつく活動、トラブルの予防などがそうです。
このマトリックスは、やるべき仕事が山積していて押しつぶされそうな状態の時にとりわけ役に立ちます。何が本当に重要で、何を後回しにできるのかが見えてくるからです。すべてのタスクを一度検討したら、「緊急かつ重要」な仕事の処理を目指し、締め切りに遅れないようにしましょう。それから「緊急ではないが重要」な領域に集中します。実はここにあるタスクこそ、最も生産性の高いものです。問題なく後回しにできるけれど、やり終えれば非常に高い価値をもたらします。
いずれにせよ、忙しくなるだけで時間の無駄にしかならない「緊急でも重要でもない」領域に入るタスクはできるだけ避けましょう。
今日1日のためのタスクリストを作成する
すぐにやるべき仕事がはっきりしてきたところで、今日1日のためだけのToDoリストを作成しましょう。それ以外にやれなくはない仕事があっても、一切忘れてください。明日のToDoリストを作成する用意ができるまでお預けです。
私は、この「今日のToDoリスト」に、すでにカレンダーに書いてある予定も書き込むようにしています。そうすれば、今日1日の全体像が見えてきますし、それに応じて見込みも立てられるからです。この方法ならさらに、長時間の会議が予定されている日にタスクを詰め込みすぎることもありません。
経験から言わせてもらえば、1日の計画を立てる際は、処理できる仕事の量を少なめに見積もり、それぞれの仕事にかかる時間を多めに見積もるのが良いでしょう。もしその結果、今日のToDoリストにある仕事が早々に片づいてしまったとしても、他に進めなければならない仕事は山のようにあるはずですから、時間が余ることはないでしょう。それに、ToDoリストのタスクすべてに完了マークをつけられれば、翌日にタスクを持ち越すよりもずっと良い気分ですしね。
「MIT(最も重要なタスク)」を絞り込む
私はよく「MIT」メソッドをお勧めしています。「MIT」とは「Most Important Tasks(最も重要なタスク)」の略です。私自身も、このメソッドのおかげで、前よりも現実的なToDoリストを作成できるようになりました。このメソッドでは、1日に片づけるタスクをいくつか(通常は3件)に絞り込みます。
MITメソッドでは、ToDoリストに載せるのは1~3件のタスクだけ。それ以外のタスクはおまけで、「時間がある時にできれば良い」タスクです。おまけのタスクは、MITがすべて片づいた時にだけ手をつけましょう。これなら、万が一MITしか処理できなかったとしても、その日の目標は達成したことになりますよね。
きわめてシンプルです。MITとは、今日1日であなたが一番やりたい、もしくはやらなければならないタスクなのです。―レオ・ババウタ(ブログ「Zen Habits」ライター)
集中すべきタスクを1つ選ぶ
ここからは、容赦のない方法の領域へと足を踏み入れます。仕事が全然進まずに困り果てているなら、この方法を試してみてはどうでしょうか。一時的にでも構いません。
今日1日のタスクリストやMITリストを見て、集中するものを1つだけ選びます。その1つは、どうしても終わらせたい大きなタスク1つでも良いですし、自分が抱えるタスクのいくつかに共通するテーマ1つ(例えば「売り上げ向上」のような)でも構いません。集中するものを1つだけ選ぶと、何か別のことを始めそうになった時に、「軌道に戻らなくちゃ」と思い直しやすくなります。
Googleの『Chrome』拡張機能である『Momentum』は、こうした1つの目標に集中するためのツールとして、非常に優れています。ブラウザのタブを新しく開くたびに、あらかじめ入力しておいた「今日集中すべきこと」を表示してくれるのです。
「20%のタスク」を見つけ出す
こんな話を耳にしたことはありませんか? 「成果の80%は仕事の20%から生まれている場合が多い」。これは「パレートの法則」と呼ばれる考え方です。あまり成果をあげていない80%の仕事であれば、その一部を他人に任せても、問題はありませんよね。とはいえ、ここで気をつけなければならないのは、成果をあげている20%の仕事を正確に見極めることです。それさえできれば、この容赦のない究極の方法を使って、1日の仕事のうち、優先順位の低いものを切り捨ててしまえます。成果をあげている20%の仕事の処理を最優先にし、自分にとっての「生産性の高い1日」の基準値を、まずは達成するのです。
20%の仕事を特定する上で、私が経験上一番だと思っているのは、次のようなごくシンプルな方法です。まず、今日はタスクを3件しかできないとしたらどれを選ぶか、自分自身に尋ねます。容赦なく切り捨てて、3つだけ選びます。次に、その3つを2つに絞ってください。そして最後は、1つに絞り込むのです。何か1つのタスクを完了した時点で、その日はもう仕事を終わりにしなくてはならないとしたら、あなたは何を選びますか。
この問いに答えを出すのは容易ではありません。人は誰もが、やらなければならないことを日々山のように抱えているからです。それでもこれを自問するのは、「やり遂げた時に最大の価値をもたらしてくれるのはどのタスクか」を確認するには良い方法だと思います。私の場合は「新しいブログ記事の執筆」が、ほぼいつでも20%のタスクに当たります。今後の検索エンジン最適化や、SNSでのシェアやインバウンドトラフィックの獲得につながり、自分自身ならびに自分が寄稿しているサイトの知名度の向上も見込めるなど、さまざまな利点がもたらされますから。
私は、やらなければならない仕事の量や、仕事に着手する際のやる気の度合い、ならびに今必要な優先づけの種類に応じて、上記のやり方をあれこれ組み合わせています。自分のToDoリストに対して容赦のない姿勢で臨むうちに、皆さんも少しずつ慣れてくるはずです。そして、その時その時でふさわしいやり方を選べるようになるでしょう。容赦のない優先づけは、はじめは難しくても、結局は自分を自由にしてくれるもの。きっとそれに気づく日が来るでしょう。
How to Ruthlessly Prioritize Your Task List to Get More Done|Zapier Blog
Belle Beth Cooper(原文/訳:遠藤康子/ガリレオ)
Image by Thinglass (Shutterstock). Priority matrix courtesy US Geological Survey. Additional photos by Eric Gelinas, Garry Knight (Flickr).