Inc.:知性は子どものころに作られるもので、大きくなってしまうと変えることはできないと思っていませんか? でも、それは間違いであることが、研究によって明らかにされています。物事への対処のしかた次第では、脳が持つ"心の馬力"を補強することができるのです。
また学校に通ったり、こむずかしい学術書を開く必要はありません。Q&Aサイト「Quora」によれば、スマートになるには、時間もエネルギーもそんなに必要ないようなのです。
同サイトで、「毎日少しずつスマートになるために、あなただったら何をしますか?」という質問を投稿した人がいました。これに対し、瞑想家、技術者、起業家を含む多くの読者から回答が寄せられています。そのうち、代表的な10個を紹介しましょう。あなたの日常に取り込むことはできるでしょうか。
1. オンラインタイムをスマート化
休憩のたびにSNSをチェックしたりかわいい動物の写真を見るのではなく、ウェブを教材として、何かを学んでみてはいかがでしょうか。オンラインコース、興味深いTEDトーク、語彙力強化ツールなど、いろいろなものがあります。スケボーをするイヌの動画を見る数分間を、心に栄養を補給する時間にしてしまいましょう。
2. 学んだことを書き出す
きれいに書く必要はありません。短くても構いません。毎日ほんの数分でいいので、その日学んだことを書いて振り返ることで、脳が活性化します。「その日学んだことを400ワード程度で書き出すこと」を、ヨガ講師のClaudia Azula Altucherさんは提案しています。Bayside Biosciencesの研究者、Mike Xieさんも「学んだことを書くといい」と回答していました。
3. 「やったこと」リストを作る
知性の大部分を占めるのは、自信と幸福。そのためにも、これからやるべきことを列挙するToDoリストではなく、自分が成し遂げたことを記録するリストを作るといいでしょう。「Doneリスト」と呼ばれるこの方法、有名なベンチャーキャピタルであるMarc Andreessenさん、前述のAzula Altucherさんが勧めています。
4. ボードゲームをする
ボードゲームやパズルは、楽しいだけでなく、脳の訓練にもなります。Xieさんは、「Scrabble、ブリッジ、チェス、Go、Battleship、Connect 4などのゲームをする」ことを勧めています。Azula Altucherさんも、「Scrabbleを、ヒントや本を見ずにプレイするといい」と賛成していました。
5. スマートな友達を作る
あなたの自尊心が許す限り、自分より賢い友人とつるむことで、いろいろなことを学べます。Symphony Telecaで経理課長を務めるSaurabh Shahさんは「スマートな仲間を作ること。自分のIQは、いつもつるんでいる5人の仲間のうち、平均ぐらいがちょうどいい」と回答していました。
「スマートな人たちで周りを固めるといい」と、デベロッパーのManas J. Saloiさんも同意見。「自分より技術力が高い人と多くの時間を過ごすようにしています。自分はせいぜい、その中で平均レベルのプログラマであり、まだまだ学ぶべきことが多いと自覚することで、問題が生じたことはありません。常に謙虚に、学ぶ姿勢を忘れないことです」
6. 本をたくさん読む
これは特に驚くべきことではありませんが、最も多かった回答です。読書がとても大切なのは間違いありません。毎日新聞を読む習慣をつけることや、フィクションやノンフィクションなど、脳を活性化する本についてはさまざまな意見があります。でも、誰もが口をそろえるのが、その量が大事だということ。たくさん読むのがいいようです。
7. 他人に説明する
「シンプルに説明できないのであれば、それを十分に理解できていない証拠」というのは、アルバート・アインシュタインの言葉。Quoraの回答も、これと同様のものが多く見られました。自分では学んだと思っていることを、本当に習得できているのか、その情報は記憶に刻まれているのか。他人に説明することで、それを確認するのです。Xieさんは、「他人に説明できるようにしましょう」と書いています。
学生のJon Packlesさんは、このアイデアを発展させて、「大小を問わず、新しく学んだすべてのことについて、他人に説明できるようになるまでは反復すること。新しい情報を学ぶのは、実は非常にかんたんです。それを維持して他人に説明することに価値があるのです」と回答していました。
8. 新しいことに挑戦する
「Farnam Street」という魅力的なブログを書いているShane Parrishさんは、スティーブ・ジョブズが若いころのカリグラフィクラスの逸話を紹介しています。未来のApple創設者は、学校を中退して自由な時間を手にしました。そして、何の気なしにカリグラフィコースに参加します。当時はまったく無関係なことのように思えましたが、そこで学んだデザインスキルが、初代Macにはふんだんに投入されています。つまり、将来何が役に立つかは誰にもわかりません。新しいことにどんどん挑戦しておけば、後にその他の経験とつながっていくのでしょう。
「未来に先回りして点と点を繋げて見ることはできない、君たちにできるのは過去を振り返って繋げることだけなんだ。だからこそバラバラの点であっても将来それが何らかのかたちで必ず繋がっていくと信じなくてはならない」と、Parrishさんはジョブズの言葉を引用しています。点と点をつなぐためには、新しいことに挑戦する意志を持ち続けることが大事。たとえそれが、いま役立つように思えなくても。
9. 新しい言語を学ぶ
すぐに外国語をマスターして、流暢にしゃべれるようになる必要はありません。快適なデスクを離れて、心の報酬を得るのです。「新しい言語を学ぶといいでしょう。そのための無料サイトはたくさんあります。「Livemocha」や「Bussu」がお勧め」とSaloiさんが書いていました。(筆者のおススメは「Memrise」です)
10. しばしの休息を
瞑想家のAzula Altucherさんが、学んだ内容を脳が処理する空間を確保するために「毎日静寂の中で座ること」を勧めているのは不思議ではありません。でも、彼女以外にも多くの回答者が、心が刺激から解放される休息時間の必要性を訴えています。元警官のRick Brunoさんは、ただ考えるだけの時間を作ることを勧めています。彼は、エクササイズをするときに室内の雑音を出すものをすべて止めるのだそう。「走っている間(ほぼ毎日)は、あれこれと思考を巡らせる時間にしています」
Jessica Stillman(原文/訳:堀込泰三)