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【HMVインタビュー】 不可思議/wonderboy

2011年4月27日 (水)

interview
--- HMV ONLINE 初登場という事になりますので、まずは簡単に自己紹介からお願いします。

不可思議/wonderboy(フカシギワンダーボーイ)です。埼玉県出身で24歳の山羊座です。血液型はO型です。2年くらい前までPerfumeに夢中でした。今はももいろクローバーの動画を見るのが日課です。

---不可思議/wonderboyという一風変わったアーティスト名ですが、アーティスト名にはどのような意味が込められいるのでしょうか?

特に意味は込められていません。大学のときのあだ名がワンダーボーイで、その名前でSSWS(新宿スポークンワーズスラム)にエントリーしたところ勝ち進んでしまい取り返しがつかなくなったといったところです。不可思議は後付けです。

--- なぜ、大学生の時のあだ名がワンダーボーイだったのですか?

クラブイベントなどで、はしゃいでたからだと思います。笑 ラップができる環境がなかったので少しでも音楽に近いところをと思い、イベントサークルに入っていまして。結局そのサークルはラップというよりも、むしろテクノやハウスのDJの方が多くて、そこでお酒を飲んでははしゃいでいました。よくいる大学生的な大学生でしたが、あまりなじめてはいませんでした。

--- また、不可思議/wonderboyとして活動を始めたのはいつ頃からですか?

SSWSにエントリーした頃からなので、大学3年の終わり頃ですね。ということは4年前くらいですね。

--- 不可思議/wonderboyのポエトリーリーディングとの出会いはどのようなものだったのでしょうか?

SSWSに出る前に下見しておこうと思い、予選を見学に行きました。それまでは深夜のクラブでそれっぽいラップしか聞いたことがなかったのですが、そこで初めて詩人のパフォーマンスを目にし、完全に価値観をひっくり返されました。今村知晃という詩人だったのですが、ずーっと自分の働いてる会社の売り物である「イス」の話をしてるんです。「AとBのフットコントローラーが…」みたいな。しかも、急に叫びだしたり、マイクがあるのに地声で叫んでたり。ライムもなければビートもない。なんて自由なんだ…と感じました。それがポエトリーリーディングとの出会いです。

--- ラップ、ポエトリーリーディングを始めたきっかけを教えてください?

ラップを始めたきっかけは中学生のとき、ちょっと不良ぽい子がキックザカンクルーの「マルシェ」を教室で爆音でかけてて、カッコいいなと思ったのがきっかけです。キックザカンクルーが大好きでした。大学生くらいからリリックを書き始めました。
ポエトリーリーディングはSSWSをきっかけに始めました。表現方法があまりにも自由なので、やり始めたころは特に、楽しくて仕方がなかった覚えがあります。毎月のようにオープンマイクのポエトリーイベントに通っていた時期がありました。

--- そのラップのきっかけとなったキックザカンクルーの何に感化されたのでしょうか?

中学生の僕には「韻を踏むこと」が新鮮でした。ちょっと語尾を変えるだけで物語が展開していくところが。LITTLEの「小一時間でそく二次感染!」とか。あとはサビにメロディがないこととか。歌が下手だったので、なんか俺でもできそう…みたいな。あ、そうです、それで高校の文化祭でラップしたんですよ!
キックの完コピ!でかいステージで。無理やり連れてきた友達2人にもラップさせて。あれは黒歴史ですね。”sayonara sayonara”とか歌いました。もうほんとにサヨナラしたい思い出です。

--- 不可思議/wonderboyにとって創作の源となっているものは何ですか?

センチメンタルです。

--- そのセンチメンタルとは何ですか?

センチメンタルとは、なんですかね。言葉にするのは難しいですが、例えば久しぶりに帰った地元で新しい建物が建っていて、それが立つ前がどんな風景だったか思い出せないとき、とかです。自分や自分を取り巻く世界のどこかのパーツが欠落しているように感じるときのことだと思います。その欠落を埋めるために創作するのかもしれません。

--- 詩を書くのはどのような時ですか?

インスト系の音楽を聞いてイメージが浮かんだときです。あとは、ニュースを見てへこんだときとか。あとは、書けと言われたときとか。

--- そのイメージが浮かぶインスト系とはどのような音ですか?

エレクトロニカが多いです。ヒップホップはあまり聴きません。中古CDショップでエレクトロニカの棚を掘ってきて詩を書いたりもします。最近はschole recordsというエレクトロニカレーベルのコンピをずっと聴いています。

--- また、詩を書いている時の、精神状態はどのようなものでしょうか?

かなり冷静だと思います。僕はトラックを聴きながらPCのWORDで書くことが多いのですが、いつも思うのが大学生時代の課題レポートを書く感覚にかなり似ています。限られた文字数(小節数)で、何が言いたいかを明確にして、読む人に(聴く人に)どうしたら伝わるかを意識して書いています。

--- リリックから、人生における様々な事象を深く深く思考する様が見受けられますが、一人で考える時間を意図的に作ったりしますか?

特にはしません。普段から考えすぎるところがあるのかもしれません。

--- 国民的詩人である谷川俊太郎氏とは、代々木公園で行われた野外サイファーなどで関わりがあるかと思いますが、不可思議/wonderboyにとって谷川俊太郎氏はどのような存在ですか?

中学生のときに合唱が盛んだったので、合唱曲の歌詞として毎日谷川俊太郎氏の詩に触れていました。だから僕にとっては、生きた化石というか、生ける伝説というか。自由の象徴といった感じもします。一晩ずっと谷川俊太郎の詩の解釈に挑んだ日もありました。 まさか十年後に直接出会うことになろうとは。中学生の頃の自分にはまだ秘密にしておこうと思います。

--- その谷川俊太郎氏本人から直接音源化の許諾を得た、谷川氏の詩をラップにした楽曲「生きる」について教えてください。

「俊読」というイベントがありまして、そこでは出演者が谷川俊太郎の作品を自分なりにリミックスして、披露するんです。だいたいいつも4, 5組出た後、ご本人登場、みたいな。 そのイベントに出演が決まった段階で、「生きる」をラップにしようと決めました。「生きているということ」 のリフレインがラップにしやすいと思っていたので。それがなかなか好評で、僕も気に入ってしまったので、イベントが終わってから数日後に「もし良かったら音源にさせてください」とFAXさせて頂きました。そしたらすぐにケータイに電話がかかってきて、「谷川俊太郎ですけど…」って。「全然大丈夫だよ〜、出来上がったら聴かせてねー。」と言われ、あぁなんて理解のある方なんだろうと思いました。

--- 突然の電話、凄いですね。笑、他には何か話されたのですか?

いや、話してないと思います。話したかもしれませんが、完全に緊張していて何を話したかよく覚えていません。しかも会社で仕事中だったので。笑 

--- アルバムに収録された楽曲の中で、特に思い入れの強い楽曲を3曲選び、楽曲解説をして頂けますか?

「未知との遭遇」
直球のラブソングです。当時、好きな女の子がいて、この曲で告白しようと思って作りました。その子とはそのあと付き合うことになったんですが、結局半年くらいで別れてしまって。やっぱり永遠なんてないのかっ!と身に染みました。もう二度とこんな恥ずかしい曲は書きません。

「Pellicule」
地元の仲の良い友達で、就職活動もしないで、どうしてもサッカーがしたいと言って、でも日本じゃ通用しないからと言って東南アジアのタイに行って、2部リーグだか3部リーグだかでサッカーをやってるやつがいて、もはや、逃げてるのか挑んでるんだかわかんないんですけど、そいつのことを考えながら書いた曲です。ちなみにそいつはまだ帰ってきません。笑

「いつか来るその日のために」
アルバムの最後の曲で、唯一前向きな曲です。アルバムの制作をどうしようかとくすぶっていたときに、職場の同僚なんですけどYujiOtaniが「これあげる」って1曲くれたんです。これがもうとても素敵なトラックで。ってゆうか打ち込みやってたの?みたいな。結局アルバムの中の3曲を彼にトラックメイクしてもらいました。なんていうか、苦悩する日常の中にもすっと光が差し込む瞬間があるというか。そんな曲です。

--- これまでに影響を受けたアーティストを教えてください。

小林大吾、相対性理論、中田ヤスタカ(作詞)、ももいろクローバー、浅野いにお etc…

--- そのアーティストの何に影響を受けたと感じますか?

中田ヤスタカは音ばっかりが評価されているように感じますが、僕としては歌詞がものすごいです。最小限の言葉数で最大限の効果を生み出しているように思います。「チョコレイト」と「ディスコ」というあり得ない言葉の組み合わせでこんなにも世界が広がるのかと感嘆しました。基本的にJ-POPはラップと違って言葉を詰め込めないので俳句にも似たミニマムさに惹かれます。浅野いにおなどの漫画も同じ理由です。小説みたいにたくさん書けない分、セリフが濃い。そういうハッとする言葉に常に影響を受けています。ももいろクローバーはまだ動画でしか知りませんが、音楽ってやっぱり上手いとか下手ではなく、凄いか凄くないかだよなぁと思わせてくれました。ももクロみたいに凄いパフォーマンスがしたいです。

--- 最後に今後の予定を聞かせて下さい。

5月は知り合いの結婚式のアフターパーティーで歌います。あとは、6月に高田馬場の軍艦島という小さなバーでレコ発イベントをやります。あとは詩人の三角みづ紀とイベントを高円寺円盤で。路上ライブもどこかでやります。お時間あれば是非お越し下さい。いつでも全力でライブしてます!詳細はblogで!
  不可思議奇譚

--- 有り難うございました。

ポエトリーラップ

新譜『ラブリーラビリンス』 不可思議/wonderboy
不可思議/wonderboy、渾身の1st Album。迷わず迷い、人生の迷宮を愛してしまった男の至極の11編。--- 待ってろ、未来、すぐに行く。サラリーマンを辞め、フリーターとなった今、確実に人生の迷路が深く、混沌としていく中で見据える現在と未来―。もう無理だと思った瞬間に光が差す。人生という名の迷宮を、あなたとともに歩く一枚。
トラックメイカーにはYoung-G(stillichimiya/おみゆきCHANNEL)をはじめ、注目のレーベルLHW?よりEeMu、Solvents and orbitsなど、数々の今勢いに乗る才能を迎えて制作されている。

【HMVオンライン/モバイルオリジナル特典】 SPCIAL CD-R「LOW HIGH WHO? SAMPLER」
※こちらの特典は店舗ではお付けしておりません。 ご了承くださいませ。

    商品ページへ

     不可思議/wonderboy
    『ラブリーラビリンス』

    2011年05月4日発売

    不可思議/wonderboy、渾身の1st Album。迷わず迷い、人生の迷宮を愛してしまった男の至極の11編。--- 待ってろ、未来、すぐに行く。サラリーマンを辞め、フリーターとなった今、確実に人生の迷路が深く、混沌としていく中で見据える現在と未来―。もう無理だと思った瞬間に光が差す。人生という名の迷宮を、あなたとともに歩く一枚。
    トラックメイカーにはYoung-G(stillichimiya/おみゆきCHANNEL)をはじめ、注目のレーベルLHW?よりEeMu、Solvents and orbitsなど、数々の今勢いに乗る才能を迎えて制作されている。

    [収録曲]
    01. もしもこの世に言葉がなければ
    02. 未知との遭遇
    03. 銀河鉄道の夜
    04. 迷宮T
    05. タマトギ
    06. 君(能動的3年間)
    07. 風よ吹け
    08. 偽物の街
    09. Pellicule
    10. 迷宮U
    11. いつか来るその日のために

    【HMV ONLINEオリジナル特典】 SPCIAL CD-R「LOW HIGH WHO? SAMPLER」
    LHW?とは何かがこれ1枚でわかってしまう13曲入りコンピレーションアルバム。本気の選曲。
    [収録曲]
    1.foggy canvas (kawakami remix) / ELOQ & カクマクシャカ
    2.Empty Dreams feat.ELOQ / YAMANE
    3.Encounter / EeMu
    4.深海魚 / Vongaku
    5.斜めの庭 / mocsmall
    6.Elephantman / 雨風食堂
    7.ill yagee (COASARU remix) / kuroyagi
    8.ILL FLOW feat.keizo / YAMANE
    9.Petal soul feat. Paranel/ asamiya
    10.moon train / ilumina
    11.ただいま (PRO By SUNNOVA) / Momose
    12.neiro / 井上博史
    13.watervoises / Solvents and orbits
    ※こちらの特典は店舗ではお付けしておりません。ご了承くださいませ。
profile

大学在学中にラップを始める。2007年に初めてSSWS(新宿スポークンワーズスラム)にエントリーし、そこで見たポエトリーリーディングという表現方法に衝撃を受ける。その後は活動場所をクラブからポエトリーイベントに移し、数々の詩人やスポークンワーズパフォーマーと共演し、ポエトリーラップのスタイルを確立する。2008年SSWSチャンピオントーナメント優勝。2009年グランドチャンピオントーナメントBEST4。2010年にはYSWS(横浜スポークンワーズスラム)グランドチャンピオントーナメント優勝。代々木公園で開催された野外朗読サイファーでは予選を勝ち抜き、国民的詩人・谷川俊太郎と降神とのサイファーを経験する。2011年には「俊読~shundoku7~」に出演し、再び谷川俊太郎と共演。そこで谷川俊太郎の詩をラップにした楽曲「生きる」を披露し、のちに谷川俊太郎氏本人から直接音源化の許諾を得る。