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ここでは、京都大学で展開されているFD(ファカルティ・ディベロップメント)の取り組みについて紹介します。FDは、狭義には「教員が授業内容・方法を改善し向上させるための組織的な取組の総称」と授業を対象とした取り組みを指しますが(ミクロレベル)、それ以外にもカリキュラムや教育プログラムの改善(ミドルレベル)、教育制度改革など組織全体における改善・向上の取り組み(マクロレベル)を含む広義の意味で捉えるようになってきています。

京都大学では、この3つのレベルに対応するFDが実施されています。全学的なFDの推進体制として「FD研究検討委員会」が設置されています。年中行事として、全学教育シンポジウム(全学教員)、新任教員教育セミナー(新任教員)、大学院生のためのプレFD(大学院生)を実施しています。その他にも、各部局のFDに講師として参加するなど、部局の課題に応じたFDの支援にも携わっています。


全学的なFDの推進について検討するための組織

京都大学の全学的なFDの推進について検討・実施・支援するための組織としては、「教育制度委員会FD専門委員会」が設置されており、各部局から選出された教員、高等教育研究開発推進センターの教員と事務部代表を含むメンバーで構成されています。具体的な活動内容は以下の通りです。

  • FD活動の連携・企画
    新たな企画への対応(全学教育シンポジウムなど)、全学・部局の教育課題に対応した勉強会の企画
  • 全学FDの共同実施
    各部局共通の取り組みへの対応(新任教員教育セミナー、大学院生のための教育実践講座など)
  • 部局FDの活動支援
    各部局で実施するFD活動の支援(文学研究科プレFDプロジェクト、教育学研究科セミナーなど)
  • FD関連情報の収集・発信・フィードバック
    各部局の教育課題の吸い上げ、FD活動の情報発信(センターウェブサイト、『京都大学のFD』発行など)

高等教育研究開発推進センターは、これらの取り組みのコーディネートを行い、FD研究検討委員会と協力して実施しています。本委員会の活動は、毎年『京都大学のFD』の形で編集・刊行するとともに、ウェブサイトでPDFも公開しています。


全学的なFDに関わるテーマについて共有する場

京都大学では、1996年以降、毎年、教養・共通教育や大学評価など、教育に関するさまざまなテーマついて、学内の実践事例やそこでの課題などを共有する場として、「全学教育シンポジウム」を開催しています。例年9月の上旬に丸1日かけて実施しています。これまでに取り上げられたテーマ(一例)は以下の通りです。

  • 「社会とつながる京都大学の教育」(2017年度)
  • 「データと理想にもとづいて考える京大の教育改革−入試から大学院教育まで−」(2016年度;参加者229名)
  • 「京大流・未来を拓く人の育て方」(2015年度;参加者251名)
  • 「大学教育における主体的な学びとは」(2014年度;参加者230名)

シンポジウムの内容は、当日の発表資料を含め『京都大学全学教育シンポジウム報告書』として刊行・公表されています。FD研究検討委員会のウェブサイトよりダウンロードが可能です。京都大学の教育改革がどのような方向性や方策のもとで進められているのか(進めていこうとしているのか)、他部局ではどのような取り組みがなされているのかなど、さまざまな情報を知ることができます。また、終了後には情報交換会もあり、他部局の多くの教職員と情報交換することができます。

全学教育シンポジウム
全学教育シンポジウム

新任教員を対象としたFD

新任教員教育セミナー

新任教員教育セミナー

京都大学では、2010年以降、毎年、新たに採用された新任教員を対象として、「新任教員教育セミナー」を開催しています。「京都大学らしい教育とはどのような教育か」を考え、「学内にはどのような教育に関する支援があるのか」、「大学・部局や教員はどのような教育課題を抱え、それにどのように取り組んでいるのか」を知ってもらうための機会となっています。
本セミナーは、前期の教育経験をふまえてその振り返りの機会となることも期待して、例年9月の上旬に午後いっぱいをかけて実施しています。だいたい100名強の先生方が参加されています。京都大学の教育改革に関するオープニングレクチャーや京大教員による授業実践紹介(「私の授業」)、そして、参加型のテーマ別グループセッション(以下は昨年度のもの)、全員で振り返りを行うインテグレーションセッションなど、さまざまなトピックをさまざまな形態で用意しています。

テーマ別グループセッション(2017年度テーマ)

  1. 「英語による授業」を担当することになったら
  2. 科学を『伝える』授業から、科学が『伝わる』授業へと転換するには
  3. 困難を抱えた学生に向き合うには
  4. 講義科目でおこなうアクティブラーニング型授業
  5. ICTを使って、普段の授業をもっと楽しく、ちょっと楽に

また、全体会で実施しているオープニングレクチャーやミニ講義、私の授業の内容は、京都大学OCWのセンターのページで閲覧することができるようになっています。


大学院生を対象としたFD

大学院生のための教育実践講座

大学院生のための教育実践講座

昨今、研究力に加え、教育力が採用の際に大きな比重を占めるようになってきています。ほとんどの研究大学が独自の大学院生向けのFDプログラムを提供しています。こうしたプログラムは、PFF(Preparing Future Faculty)あるいはプレFDと呼ばれています。京都大学でも、これから大学教員になろうとする大学院生やOD(オーバードクター)、ポスドクの職能開発に資する活動を行っています。本センターが実施・支援しているプレFDとして、以下の活動があります。詳細は、「京都大学のプレFD」で紹介しています。  それぞれの活動を修了した際には、修了証が授与され、履歴書等でも活用することができます。

【全研究科の院生が対象】
1.大学院生のための教育実践講座  毎年8月下旬に丸1日かけて実施するワークショップ型の基礎的なプログラム。
2.研究科横断型プログラム「大学で教えるということ」  全研究科を対象として、毎年2月上旬に3日間かけて実施する集中講義。授業デザインから模擬授業の実施まで含む応用的なプログラム。
【文学研究科の院生が対象】
3.文学研究科プレFDプロジェクト  文学研究科のOD・ポスドクが講師として授業(リレー講義)を設計・実施する実践型のプログラム。
4.コンソーシアム京都との連携による文学部単位互換リレー講義  文学研究科のプレFD修了者を中心に、半期15回の授業を設計・実施する発展型のプログラム。


FDに関する学内外のネットワーク

京都大学高等教育研究開発推進センターでは、各種概算要求事業や教育関係共同利用拠点などを通じてFDに関するネットワーク形成に携わってきています。現在は以下のような活動を行っています。

  • 関西地区FD連絡協議会
    本協議会は、関西地区にある大学・短期大学が参加するFDに関する互助組織で、2008年4月に発足しました。それぞれの活動内容については、協議会ウェブサイトで紹介しています。
  • MOSTフェロー
    本センターでは、大学教育改善を全国レベルで推進する「MOSTフェローシッププログラム」を2012年度より提供しています。毎年、全国から選ばれた10名の大学教員が、1年聞かけて、対面とオンラインで交流しながら個々の教育改善に取り組むとともに、教員コミュニティの成長も目指しています。その成果はMOST上で公開するとともに、大学教育研究フォーラムで発表しています。本学教員からの応募もお待ちしております。

MOSTフェローになると、

  • 教育活動に情熱を注ぐ先生と仲間になれる!
  • 仲間と取り組むことで教育改善に対する刺激やアイデアを得られる!
  • 活動の成果を大学教育研究フォーラムやMOSTを通じてアピールできる!
  • 先輩フェローとの交流が持てる!

具体的な活動内容や募集内容、要項等についてはこちらをご覧ください。
大学や専門分野を超えて、教育というキーワードで集うフェローの仲間になってみませんか。

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