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ベーシックインカム

―分配する最少国家の可能性―

立岩 真也・齊藤 拓 2010/04/10 青土社


『ベーシックインカム――分配する最小国家の可能性』表紙 □御注文→[amazon][kinokuniya]&↓
 *このHP経由で購入すると寄付されます
目次
書評・紹介
文献表

  □English / Korean



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立岩 真也齊藤 拓 2010/04/10 『ベーシックインカム――分配する最小国家の可能性』,青土社,ISBN-10: 4791765257 ISBN-13: 978-4791765256 2310 [amazon][kinokuniya] ※ bi.

 *定価の8割(著者割引き価格)−48円(2310円→1848円→1800円)+送料実費でお送りします。
  →TAE01303@nifty.ne.jp(立岩)
  『税を直す』など他の本と一緒でも。→お送りできる本

■紹介

◆立岩 真也 2010/08/01 「ベーシックインカム――誰にでも同じ額を支給する所得保障」,『中央公論』2010-8(7月10日発売号) 特集:この夏の流行りものを読み解く50冊
◆立岩 真也 2010/04/01 「差異とのつきあい方・2――連載 53」,『現代思想』38-5(2010-4):48-58
◆立岩 真也 2010/03/27 「『ベーシックインカム――分配する最小国家の可能性』」,『BIメールニュース』 http://bijp.net/mailnews


はじめに

 本書は、『税を直す』(立岩・村上・橋口[2009])に続き、世界にあるものの分け方について、具体的にはベーシックインカム(BI)というアイディアについて、考えるべきことをいくつか考えてみようとする。第1部は、立岩の『現代思想』での連載(おもに二〇〇九年九月号から二〇一〇年三月号分から「政権交代」について書いた二〇〇九年一〇号分等を省いた)がもとになっている。第2部は、第1部で検討されているヴァン・パリースの著作の訳者でもある齊藤が、その議論を紹介しつつ、自らの主張を展開している。第3部では、齊藤がBIについての近年の議論・言論を、斉藤の視点から紹介し解説し評している。
 本書は「立命館大学グローバルCOEプログラム「生存学」創成拠点――障老病異と共に暮らす世界の創造」成果でもあり、拠点のウェブサイト(http://www.arsvi.com)に関連情報がある。この本の書名で検索すると関連する項目が出てくる。例えばこの本の文献リストに対応するファイルがあり、そこから本を注文することもできる。
 また視覚障害などで活字版が不便な人にこの本のテキスト・ファイルを提供する。立岩(TAE01303@nifty.ne.jp)まで連絡をください。

 
 
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目次

■■第1部 BIは行けているか? 立岩 真也

■第1章 此の世の分け方

 ■1 BI
 ■2 此の世の分け方についての案
 ■3 あるかもしれない違い
 ■4 『ベーシックインカムの哲学』

■第2章 何が支持するのか

 ■1 「資産としての職」という理解
 ■2 どれだけを私が作ったかという理路
 ■3 その道を行かなかったこと
 ■4 生産の理解の変更という道
 ■5 死者の遺したもの
 ■6 なぜ違う道を行ったか
 ■7 なお使うとすれば

■第3章 所得(再)分配に限る必要はないこと

 ■1 他にも分ける場がある
 ■2 他でも分けてよい理由
 ■3 だけでよい理由があるか
 ■4 阻害・介入という批判
 ■5 BIによって実現するという説

■第4章 簡素そしてスティグマの回避という主張について

 ■1 本章の要約1
 ■2 選別主義・普遍主義
 ■3 見ないことができるか
 ■4 「社会サービス」
 ■5 簡素な手続き・小さい政府?
 ■6 スティグマ
 ■7 変位について

■第5章 労働の義務について

 ■1 本章途中までの要約
 ■2 義務について
 ■3 自由?
 ■4 義務の性格・強さ
 ■5 だが押しつけることはない
 ■6 足りてしまっている、にしても
 ■7 問題は消滅することはない、のだが

■第6章 差異とのつきあい方

 ■1 非優越的多様性という案
 ■2 知らない人が判断する+実現されるわけではない
 ■3 どんな人の選好が採用されるか
 ■4 普通は何をするか(するべきか)
 ■5 なぜそうなる(ならない)のか?
 ■6 分けられないものを分けてしまう
 ■7 よしあしを間違える
 ■8 ぎこちなくなる

■■第2部 政治哲学的理念(イデオロギー)としてのベーシックインカム(齊藤拓)  189-281

  一 いわゆる雇用レント説という理解 191
  二 ヴァン・パリース政治哲学の全体像 193
  三 「ギフト」の公正分配 196
  四 資産としてのジョブ 198
  五 「ジョブ」概念に関する注記 200
  六 給料が違うのは労働生産性が違うから? 203
  七 「生産性」を上げろ? 208
  八 ベーシックインカム論者の「市場原理主義」 214
  九 「機会の平等」批判 218
  一〇 個人所得への最適課税 221
  一一 シンプルであることはそれほど魅力的か? 225
  一二 法人課税 企業と家族はどう違うのか 227
  一三 「ギフト」は個人間分配すべきなのか? 231
  一四 市場とは認識装置である 234
  一五 「ニーズに基づいて」という主張 238
  一六 現物給付のBI 244
  一七 最大限に分配する最小国家 248
  一八 市場に対する信頼──「どのように」信頼するか 253
  一九 生存経済と市場の外部 260
  二〇 「労働」は「生産」とは限らない 266
  二一 ラディカルな個人主義と消極的自由 272
  二二 市場至上主義 277

■■第3部 日本のBIをめぐる言説(齊藤拓) 283-325

  財政コストの見積もり 286
  フラット税 288
  フランス/南ア/シチズンシップ 293
  「生きていることは労働だ!」 298
  経営者のBI論/消費税/他給自足社会 303
  自発性/コモンズ/コミュニタリアン 307
  二〇〇九年の盛り上がり 308
  著名人たちのBI論 310
  BI批判 314
  終わりに 321

  cf.BIに関する日本での議論

 目次詳細これから掲載


 
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■ あとがき

 「あとがき」に別の本の「あとがき」を引用する人はいないだろうと思うが、『税を直す』(立岩・村上・橋口[2009])の「あとがき」に次のように記した。

 「『現代思想』の二〇〇五年一〇月号から「家族・性・市場」という題で連載を始めさせてもらった。当初はその題の通りのことを書いていたのだが、だんだんと、その手前、あるいはその周辺のことを考えねば、ということになり、まだ続いてしまっている。[…]  立命館大学グローバルCOEプログラム「生存学創生拠点―障老病異と共に暮らす世界へ」と呼ばれるものが二〇〇七年度から始まっている。第2部を担当した村上と橋口は立命館大学大学院先端総合学術研究科の、もうすぐ後期課程を修了しようとしている大学院生であり、日本学術振興特別研究員であり、COEのメンバーでもある。本書はそのプログラムの「成果」の一つである。  本を編む方が本を書くよりも大変なことのように思っている。ただ、時間がなかったり非力であったり自分でできないことがたくさんある。そんな部分、あるいは私が考えつかないようなことを、考えたり、調べたり、書いてくれたら、あるいは頼んで応じてもらえたら、集めて、本にすることをこれからはしていこうと思う。[…]
 本書でもすこしだけ出てきたことだが、ベーシックインカムという案では無条件の給付が主張されるという。そのことと労働とはどのように関係するのだろうか。さきの連載で私もすこし考えてみた。ベーシックインカムについて論文や翻訳(Van Parijs[1995=2009])のある齊藤拓と、米国・英国のワークフェアについて研究している小林勇人が、やはりさきの長い名称の研究科の修了者[…]としている。その人たちに書いてもらい、同じ連載でワークフェアや労働の義務について考えた数回の文章をやはり書き直して加えたものが、青土社から刊行される次の本になるだろうと思う[…]。  そしてまた、働くことに金を払うとか払わないとか、そんなことを考えても仕方がなかろうとも思えるし、そうでもないかもしれないとも思える主題がある。やはりその連載で何回か書いたものがある。その文章でも言及しているが、この主題について、COEの企画をいっしょにやっている堀田義太郎(日本学術振興会特別研究員・PD)の『現代思想』論文がある。次の次は、他になにか加えるかもしれないが、そんな本になるかと思う。」

 そんなわけで、『税を直す』から約半年がたって、この本を出してもらった(次は、払う/払わないといった主題の本が先になるかもしれない)。私(立岩)の第1部は、もっと詰めねばならないと思うところがいくつもあるのだが、まずはここまで、とさせてもらった。
 そしてこのたびは、共著の「大変なこと」に至る前の段階で、本書は刊行される。第2部・第3部を担当した齊藤はさきの長い名称の大学院に博士論文を提出し、修了した研究者であり、さきの長い名称のCOEプログラムの研究員でもある。その原稿は、刊行計画から逆算した本当のぎりぎりの最終日に到着した。それをそのまま収録した。(思いの他分量があったので、立岩[2009f][2009h]等の短文を含む「政権交代」関連の文章と『税を直す』の解説的な文章他を収録して立岩担当の第2部とすることを取りやめた。)同意できる部分とともに、異論を言いたいところもあるはずだが、このたび、そのための時間はなかった。互いの主張を付き合わせて議論することは今後の仕事として残される。それは実り多いことであるのか、そうでもないのか、それもわからないのだが、ともかく、この主題について、さらに社会政策の全般について、議論するべきことはいくらもあるのだから、議論がさらに活発になることを願っているし、また私たちもそれに参与していければと考えている。

 COEプログラムの資金提供者である納税者の皆さまに感謝します。また『現代思想』連載の担当・栗原一樹さんと本書の編集を担当してくださった青土社の水木康文さんに感謝します。

  二〇一〇年二月 立岩 真也


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■紹介・書評・言及

◆2015/02/11 https://twitter.com/ShinyaTateiwa/status/565314834011791362
 「立岩真也 ?@ShinyaTateiwa 私が所得の分配だけ言っているという単純な誤解あるが(別記)『ベーシックインカム』(立岩真也・齊藤拓)http://www.arsvi.com/ts/2010b1.htm  第1部第3章「所得(再)分配に限る必要はないこと」&『自由の平等』http://www.arsvi.com/ts/2004b1.htm  序章3−4&5(続く)」

◆2014/11/11 https://twitter.com/suzuken2002/status/532179621572128768
 「Kentaro_SUZUKI ?@suzuken2002 11月11日 @acceleration立岩真也の場合、そうしたcommon senseをBasic Incomeの方に持って行くのが、何かおかしいのです。product、生産物が溢れているということと貨幣を持ちうるということは違います。資本家と労働者の差異を「最小国家」で消せはしないのに。」
……
◆2014/07/16 https://twitter.com/watarikaros/status/489600230233362432
 「watari k ?@watarikaros 規範理論とは、諸解釈間の「説得力」ないし「訴求力」を競うものであって、時々の人々の選好や文脈から離れた「正しい」解釈が存在するわけではない。―立岩真也+齊藤拓「ベーシックインカム」」

◆2014/07/18 「立岩真也 ?@ShinyaTateiwa watarikaros この箇所は齊藤拓さんの文章で、齊藤さんはそういう立場のようです。私はもうすこし原理主義的かもしれません。立岩真也+齊藤拓『ベーシックインカム――分配する最小国家の可能性』(青土社)→ http://www.arsvi.com/ts/2010b1.htm」

◆2014/07/16 https://twitter.com/watarikaros/status/488174663021764608
 「watari k ?@watarikaros そして大切なことは、基準をどこに置くかである。なににせよ事務手続きは少ない方がよいというのであれば、何もしないのが一番よいということになる。むしろ大切なのは、費用対効果、かけられるコストの代わりに何が得られるか得られないかだろう。―立岩真也+齊藤拓「ベーシックインカム」」

◆2014/07/18 「立岩真也 ?@ShinyaTateiwa watarikaros ベーシックインカムの正当化の仕方の一つに事務コストがかからないことが言われることがあるが1)(私が支持するとしてもよいものとしての)BIも税徴収時の調査・事務は必要+2)引用していただいたような話になるかと→http://www.arsvi.com/ts/2010b1.htm」

◆山森 亮 2012/05/27 ベーシックインカム関係の本の紹介  http://blog.goo.ne.jp/maxikon2006/e/b1dbcff3e57167677201c100fc4fb1a0

◆2010/04/11 『毎日新聞』
 今週の本棚・新刊:『ベーシックインカム 分配する最小国家…』=立岩真也・齊藤拓著『ベーシックインカム 分配する最小国家の可能性』(青土社・2310円)
 http://mainichi.jp/enta/book/hondana/archive/news/2010/04/20100411ddm015070036000c.html
 「紆余曲折(うよきょくせつ)はあったものの、子ども手当の実施が決まった。「すべての個人に無条件で一定額を給付する」ベーシックインカム(BI)の、いわば子ども版、ともいえようか。リバタリアンを自称するヴァン・パリースの代表作『ベーシックインカムの哲学』(勁草書房、〇九年)を素材に、BIの考え方を、徹底的に論じたのが本書。
 ヴァン・パリースを評価しつつも、きっちりと批判点も述べる。二人の著者の論じ方が、実に対照的だ。立岩はいくつもの留保条件を付けてねばっこく、齊藤はばっさりと断定的に。BIをめぐるここ数年の日本での言説を網羅的に取りあげ腑分(ふわ)けしているのも有益。BIが関心を集めるようになった社会的背景が見えてくる。(達)」(毎日新聞 2010年4月11日 東京朝刊)(全文)

◆立岩 真也 2010/03/27 「『ベーシックインカム――分配する最小国家の可能性』」
 『BIメールニュース』 http://bijp.net/mailnews

◆2010/04 http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2010/04/post-e8d7.html

http://dailynews.yahoo.co.jp/fc%2Fdomestic%2Ftaxation%2F#backToPagetop

◆2010/05/08 http://d.hatena.ne.jp/shinimai/20100508/p1

◆2010/05/03&4 http://zarathustra.blog55.fc2.com/blog-date-201005.html

◆2010/05/10 http://d.hatena.ne.jp/tenshinokuma/20100510

◆2011/05/10 http://www.tweetdeck.com/twitter/HYamaguchi/~fbax9

◆2011/03/08 http://app.f.m-cocolog.jp/t/typecast/1353535/1369591/68190909

◆2012/02/29 http://blog.goo.ne.jp/harumi-s_2005/e/7f1554f889db68c3c50927709792fb7e

■著者による言及

◆立岩 真也 2010/03/25 「思ったこと+あとがき」,Pogge[2008=2010:387-408]
◆立岩 真也 2010/04/01 「差異とのつきあい方・2――連載 53」,『現代思想』38-5(2010-4):48-58
◆立岩 真也 2010/06/01 「『ベーシックインカム』の続き――連載 55」,『現代思想』38-8(2010-6):- 資料
◆立岩 真也 2010/07/01  「最低限どころでないこと――唯の生の辺りに・3」,『月刊福祉』2010-7
◆立岩 真也 2010/08/01 「ベーシックインカムの5冊」,『中央公論』2010-8(7月10日発売号) 特集:この夏の流行りものを読み解く50冊
◆立岩 真也・天田 城介 2011/**/** 「……」,『生存学』3 文献表

・201106 +800


UP:20100215 REV:20100216, 21, 0310, 16, 24, 29, 20100404, 06, 18, 0506, 08, 0513, 15, 0708, 16, 0825, 0922, 1223, 20110510, 11, 20110609, 20120301, 0607, 20140718, 20150210, 20170406
ベーシック・インカム(Basic Income: BI)  ◇立岩 真也  ◇Shin'ya Tateiwa  ◇齊藤 拓  ◇テキストデータ入手可能な本  ◇身体×世界:関連書籍 2005-  ◇BOOK
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