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科学技術/所有・国際競争・国家戦略・…2003



科学技術・国際競争・国家戦略・…
WTO 2003
産業スパイ事件 2003


◆2003/01/16 <知的財産会議>政府、特許侵害品の輸入差し止め制度を導入
 毎日新聞ニュース速報
◆2003/01/16 21:19 「知的財産保護強化へ6法を改正へ」
 朝日新聞ニュース速報 他
◆2003/01/22 WTOは誰のため?東京行動実行委員会→外務大臣
 「質問及び要請書」
◆2003/02/04 植物の育成者権、保護強化へ=種苗法を改正−農水省
 時事通信ニュース速報
◆2003/02/05 日本、特許緩和で提案=EU案を修正−WTO会合
 時事通信ニュース速報
◆2003/02/06 「コピー薬輸入解禁「22疾病先行」 日本が打開案」
 『朝日新聞』2003年2月6日(木)朝刊
◆2003/02/06 「製薬特許権 日本、緩和を提案 エイズなど、コピー薬容認」
 『日本経済新聞』2003年2月6日(木)夕刊
◆2003/02/06 「医薬品特許問題の早期解決を=途上国の新ラウンド参加促進で−駐日EU大使」
 時事通信ニュース速報
◆2003/02/06 「エイズ治療薬で独自案提出 WTO理事会で日本政府」
 共同通信ニュース速報
◆2003/02/08 <社説>「新ラウンド 東京会議で交渉に弾みを」
 毎日新聞ニュース速報
◆2003/02/09 「得意分野で特許、流出予防を 企業の知的財産巡り指針」
 朝日新聞ニュース速報
◆2003/02/10 「エイズ治療薬で進展目指す WTO一般理事会」
 共同通信ニュース速報
◆2003/02/11 「<WTO>エイズ治療薬問題の結論先送り 東京会議で議論へ」
 毎日新聞ニュース速報
◆2003/02/14 東京で集会 →2003/02/15  「エイズ「コピー薬の認可を」」
 NHKニュース速報
◆2003/02/15 「<WTO>医薬品特許問題で途上国の不満続出 非公式閣僚会議」
 毎日新聞ニュース速報
◆2003/02/16 「WHOに監視業務依頼 エイズ薬輸入でブラジル案」
 共同通信ニュース速報
◆2003/02/17 「農業・医薬 進展なし WTO東京会合閉幕」
 『日本経済新聞』2003年2月17日(月)朝刊
◆2003/02/21  [知的財産本部]「迅速、柔軟な体制作りを目指せ」
 『読売新聞』2003/02/21・社説
◆2003/02/26 「「知的財産戦略本部」発足へ」
 NHKニュース速報
◆2003/03/19 7月に知的財産推進計画 世界一目指すと首相表明
 共同通信ニュース速報
◆2003/05/21 「<知財本部>30大学に設置 海賊版阻止へ国際取引委」
 『毎日新聞』
◆2003/05/21 「知的財産専門の高裁創設へ 戦略本部が推進計画案」
 共同通信ニュース速報
◆2003/07/09 「[知的財産推進]頭脳で勝負できる日本を目指せ」
 『読売新聞』2003/07/09社説2
◆2003/07/09 「知的財産―ここに日本の将来が」
 『朝日新聞』2003/07/09
◆2003/07/15 「<知的財産>整備事業対象に東大など34件」
 毎日新聞ニュース速報・他
◆2003/10/17 「科学技術施策、最優先は16%=もんじゅも「非常に重要」−総合科技会議」
 時事通信ニュース速報
◆2003/11/20 「[職務発明]研究に意欲燃やせる環境作ろう」
 2003/11/20『読売新聞』社説2


 
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◆2003/01/16 20:02 <知的財産会議>政府、特許侵害品の輸入差し止め制度を導入
 毎日新聞ニュース速報

 「政府の知的財産戦略会議が16日開かれ、海外からの特許権侵害品などの輸入を税関当局が水際で取り締まる制度の導入を盛り込んだ関税定率法改正案など、知的財産権の保護対策強化のための知的財産関連6法案を了承した。20日に召集される通常国会に政府が提出を予定している。
 関税定率法には知的財産権を侵害する物品の輸入について、企業や個人が税関当局に差し止めを求めることができる申告制度がある。ただ現行法では、申告の対象は識別しやすい商標権と著作権の侵害品だけで、有名ブランド商品の機能やデザインなどを模倣したコピー製品の輸入は事実上野放し状態だった。
 改正案では、申告対象に特許権、実用新案権、意匠権、植物の新品種など種苗法に基づく育成者権の4つの知的財産権の侵害品を加える。権利侵害の特定は税関当局の監視だけでは限界があり、申告者の求めに応じて特許庁に照会する制度も併せて導入する。
 このほか、営業秘密の不正取得や使用など「産業スパイ」行為を刑事罰の対象とする不正競争防止法の改正案や、特許審査と特許紛争処理を迅速化する特許法の改正案、また育成者権の侵害に対する罰則を強化する種苗法の改正案も提出する。
 また特許裁判を迅速化するため、第一審を態勢の整った東京、大阪の両地裁の専属管轄とする民事訴訟法の改正案、映画やアニメなど映像作品の著作権の保護期間を公表後50年から70年に延長する著作権法の改正案も提出する。
 これらの法改正は、欧米に比べ遅れた知的財産権の保護強化対策として、同戦略会議が昨年7月にまとめた知的財産戦略大綱で、早急な対策が必要として盛り込まれていた項目。ただ、大綱では知的財産の保護だけでなく、創造や活用、専門人材の育成策で合計100を超す政策課題を取り上げており、知的財産立国を目指す政府の取り組みはようやく第一歩を踏み出したに過ぎない。
 政府は、小泉純一郎首相を本部長とする知的財産戦略本部を2月中に内閣に設置。残る政策課題を順次実現させるための省庁横断的な行動計画の立案に取り組む。」
【三島健二】[2003-01-16-20:02]

◆2003/01/16 21:19 知的財産保護強化へ6法を改正へ
 朝日新聞ニュース速報

 4経済産業省や法務省など5省は16日、政府の知的財産戦略会議に、知的財産の保護
強化に向けて通常国会に提出する関連法改正案の概要を報告した。特許法や著作権法など6件で、戦略会議が昨年7月にまとめた知的財産戦略大綱に盛り込まれていた。特許裁判の二審を東京高裁に集中させることは、大綱では04年末までに措置するとされていたが、1年前倒しで民事訴訟法改正案に盛り込むことになった。
 特許権などに関する訴訟の一審を東京地裁と大阪地裁の専属管轄にする方針は昨夏の大綱で決まっていた。専門知識を持つ裁判官らを集めた実質的な「特許裁判所」を作ることで、審理の迅速化や判断の統一を図るのが狙いだ。高裁については結論が先送りされていたが、今回は二審を東京高裁の専属管轄にする方向で最終調整している。
 このほか知的財産の流出や権利侵害品の流入を防ぐため、不正競争防止法、関税定率法、種苗法も改正する。
 政府は02年12月に知的財産基本法が成立したのを受け、05年度までに知的財産をめぐる改革を集中的に実施する方針で、首相を本部長とする知的財産戦略本部を2月に設けて推進計画を作る。
[2003-01-16-21:19]

◆2003/01/17 10:44 知的財産 6関連法案を提出へ
 NHKニュース速報

 4政府は特許や著作権などの知的財産を経済の活性化に役立てるため、企業秘密を不正に入手して漏らした場合に新たに刑事罰を科す「不正競争防止法の改正案」など、知的財産の保護や活用を進める六つの関連法案を通常国会に提出することになりました。
 政府は特許や著作権などの知的財産の保護や活用を進めることによって産業の競争力を高め経済の活性化につなげたいとして、小泉総理大臣や関係閣僚らが出席した「知的財産戦略会議」を開き取り組みを協議しました。
 その結果、去年秋の臨時国会で「知的財産基本法」が成立したことを踏まえ、具体的な対応を定める関連の法整備を急ぐことを確認しました。
 そして、企業秘密を不正に入手して漏らした場合に新たに刑事罰を科す「不正競争防止法の改正案」や、映画やビデオ、ゲームソフトなどの著作権の保護期間を現在の五十年から七十年に延長する「著作権法の改正案」、特許の審査手続きを簡素化し審査の時間を短縮する「特許法の改正案」など六つの関連法案を通常国会に提出し、成立を目指すことになりました。」
[2003-01-17-10:44]

◆2003/01/16 19:29 企業秘密漏えいに刑事罰 知的財産保護の法案概要 国会提出
 共同通信ニュース速報

 政府の知的財産戦略会議の第八回会合が十六日開かれ、企業秘密漏えいに刑事罰を科す不正競争防止法改正案や、著作権保護期間の延長など、通常国会に提出する関連法案概要が提示された。
 政府は既に、中期的な政策の方向性を示す「知的財産戦略大綱」を七月に策定。知的財産の保護・活用を定めた「知的財産基本法」は昨年十一月に成立した。今回の関連法案は、これらを補完し、知的財産保護の政策を具体的に実行していく役割を担う。
 経済産業省の不正競争防止法改正案では、企業秘密の不正な取得や開示などについて、違法性の高い行為に絞り込んで刑事罰を設ける。企業秘密や不正行為、処罰対象者については定義を限定的にし、内部告発や報道の自由を担保する。特許庁は特許出願の料金体系
を見直し、料金を適正化する。
 文部科学省の著作権法改正案では、映画やゲームソフトの著作権保護期間を現在の公表後五十年から七十年に延長する。
 農林水産省は種苗法改正案を提出する。植物の新品種については、登録すれば独占的に利用できる「育成者権」が認められているが、権利侵害が相次いでいる。改正法案では侵害があった場合、法人に対する罰金額の上限を三百万円から一億円に引き上げる。財務省
は関税定率法の改正案で、育成者権が侵害された作物については輸入禁制品に追加する。特許権や実用新案権、意匠権を侵害した輸入品について差し止めを申し立てできるようにする。
 法務省は特許権に関する訴訟について専門家が裁判官を支援する「専門委員制度」を創設する。
 昨年三月に始まった知的財産戦略会議は今回が最終会合で、二月下旬をめどに首相を本部長とする「知的財産戦略本部」に衣替えする。」
[2003-01-16-19:29]

◆2003/01/16 22:30 映像著作権70年案を提示
 読売新聞ニュース速報

 政府は16日に開いた知的財産戦略会議で、20日開会の通常国会に提出する知的財産関連の6つの法案の概要を提示した。このうち、著作権法改正案では、公表から50年で消滅する映画やアニメなどの映像の著作権の存続期間について「公表後70年」に延ばすことを打ち出した。
 映像の著作権の存続期間は、欧米諸国のほとんどが70年以上と規定している。これらの国で日本製のゲームソフトやアニメなどを販売しても、日本の著作権法に基づいて50年で著作権を失うため、国内の映像関連業界は「日本だけ短いのは不利だ」と指摘していた。存続期間延長により、著作権が長期間守られ、世界的に人気が高い日本のアニメやゲームの製作者の国際競争力を高める狙いだ。
 このほか、関連法案では、特許などをめぐる紛争解決の迅速化に向けて、知的財産権関連の民事訴訟の第1審を東京、大阪両地裁に集約させたうえで、特許などの専門家を両地裁に重点配置する民事訴訟法改正案の提出が盛り込まれた。」
[2003-01-16-22:30]

 
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◆2003/02/04 植物の育成者権、保護強化へ=種苗法を改正−農水省
 時事通信ニュース速報

 「農水省は4日午前開かれた自民党の農水部会で、農作物や花などの植物の特許権に相当する「育成者権」の保護強化を狙った、種苗法改正案の概要を明らかにした。国内で開発されたばかりの豆や果物などの種、苗が勝手に海外に持ち出され、その収穫物が日本に輸入されるケースが相次いでいるのを受けた措置。今国会に同法改正案を提出し、今夏の施行を目指す。」

 
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◆2003/02/09 「得意分野で特許、流出予防を 企業の知的財産巡り指針」
 朝日新聞ニュース速報

 「経済産業省は、企業が知的財産を保護・活用するうえで参考となる二つの指針の原案を作った。経営者向けの「知的財産の取得・管理指針」は得意分野に絞った特許取得を促し、製造業向けの「技術流出防止指針」は海外の取引先などに独自技術が漏れないよう求めている。いずれも政府の知的財産戦略大綱に基づいて定めるもので、10日に公表して意見を募り、3月に正式決定する。
 取得・管理指針は、(1)90年代、日本企業全体の研究開発投資は増えたにもかかわらず、技術進歩は伸び悩んだ(2)その中で、特許取得を特定分野に絞った企業ほど収益力が高い――と分析。各企業が事業分野で進める「選択と集中」の戦略を、研究開発や知的財産の管理にも広げるべきだ、と指摘している。
 そこで、経営トップが知的財産を重視する基本方針を社内外に公表したうえ、社内戦略を策定するよう促した。また、社員の発明には、特許件数ではなく事業への貢献度など「発明の質」に応じた報賞金の支払いなどを求めている。
 一方、技術流出防止指針は、流出が起きやすい例として、技術供与や海外生産を始める時や、部品・材料、製造設備、図面を現地の取引先に渡す場合を挙げた。
 予防対策としては、製品の種類ごとに「技術移転の考え方」と「技術流出防止計画」を明確にしたうえで、海外投資の意思決定や契約上の留意点、情報・人材の管理策を盛り込んだマニュアルを用意するよう求めている。流出防止策は04年度にも日本工業規格(JIS)に制定し、各企業に導入を促す考えだ。」
[2003-02-09-10:45]

 
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◆2003/02/21  [知的財産本部]「迅速、柔軟な体制作りを目指せ」
 『読売新聞』2003/02/21・社説

 産業競争力の強化のために、知的財産戦略が欠かせないことは常識だ。今や、総論の議論から各論の段階に入った。
 首相を本部長とする知的財産戦略本部が来月、発足する。
 今後は、関係省庁の利害が対立する場面なども想定される。戦略本部は、課題解決のために強い指導力を発揮しなければならない。
 昨年成立した知的財産基本法は、知的財産強化のために「創造」「保護」「活用」の三戦略の必要性を強調した。それぞれの分野で問題は山積している。
 創造戦略の主役は大学や企業だが、特に大学の対応が問われている。
 来春の国立大学の法人化とともに、大学教員の発明による特許が、原則として個人保有から、大学保有に変わる。
 個人保有のままでは、特許を譲渡すべき企業の選定といったことにまで教員が労力をさくのは難しい。結果として、特許が死蔵されてしまいかねない。
 だが、特許が大学保有になっても、十分な体制が整備されなければ、事態は改善されない。
 文部科学省は、大学に知的財産本部を新設させるための支援に乗り出す。新年度には、約三十大学に本部設置のための資金を助成することにしており、公募を始めた。
 鍵になるのは、民間など外部から能力のある人材をいかに獲得し、権限を与えて働きやすい環境を作るかだ。
 技術移転機関(TLO)など既存の産学連携組織を持っている大学は、一体的な運用を工夫しなければ混乱を招く。
 保護戦略では、裁判の迅速化が大きな課題だ。特許侵害訴訟などの審理が長びくのは、専門的知識のある裁判官が少ないことだけが理由ではない。
 日本では、裁判所とは別に特許庁が、特許が有効か無効かを判断する審判制度を持っており、この二重構造の弊害が顕在化している。
 侵害訴訟では、特許の有効性も一緒に争われることが多い。特許の効力を巡る特許庁の審判結果を待たなければならないために訴訟が中断し、長期化を招く原因になっている。
 裁判所と審判廷の判断が食い違い、矛盾をきたすこともある。
 一本化を巡る議論が、関係審議会で進められている。急場しのぎの弥縫(びほう)策ではなく、保護強化に迅速に対応できる制度を早急に立案すべきだ。
 今年は、知的財産立国を本格的に目指す節目の年だ。夏には総合的な推進計画をまとめなければならない。総合司令塔である戦略本部の役割は重い。
[2003-02-21-09:03]

 
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◆2003/02/26 「「知的財産戦略本部」発足へ」
 NHKニュース速報

 「政府は特許や著作権などの知的財産を経済の活性化に役立てるため、小泉総理大臣を本部長とする「知的財産戦略本部」を来月一日に発足させることになりました。
 特許や著作権などの知的財産については、その積極的な活用が日本の産業の競争力を高め、経済の活性化につながるとして、去年秋の臨時国会で知的財産の保護に努めることなどを盛り込んだ「知的財産基本法」が成立しました。
 これを受けて、政府は具体的な施策を実施するため、「知的財産戦略本部」を来月一日に新たに発足させることにしたものです。
 戦略本部は小泉総理大臣を本部長に全閣僚と十人の民間の有識者が参加し、全省庁が一体となって、知的財産に関連した法律の整備や施策の推進に取り組むことにしています。
 政府は、この戦略本部を通じて、より多くの特許を生み出すため、大学の研究機能を高めることや、民間企業で特許の積極的な取得や活用を図ること、それに海外での日本の特許や著作権などの保護を進めることなどの施策を平成十七年度までに具体化したいとしています。」
[2003-02-26-11:24]

 
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◆2003/03/19 7月に知的財産推進計画 世界一目指すと首相表明
 共同通信ニュース速報

 「特許や著作権などの知的財産に関する施策を集中的に実行する政府の「知的財産戦略本部」(本部長・小泉純一郎首相)の初会合が十九日、首相官邸で開かれ、小泉首相は七月をめどに「知的財産推進計画」をまとめる方針を明らかにした。
 同計画は昨年七月に発表された「知的財産推進大綱」の内容をさらに強化するもので、小泉首相は「従来の制度にとらわれない、世界一を目指した骨太の内容のものとする。三年間で集中的な改革を進めたい」と意欲を表明した。
 政府は昨年三月から今年一月にかけて「知的財産戦略会議」を八回にわたって開催。今回、会議を「本部」に格上げし、体制を強化する。
 十九日の会合は各閣僚のほか、キヤノンの御手洗冨士夫社長などの民間本部員が出席。事務局から七月上旬までに計五回の本部会合を開くと説明があった。
 民間本部員で弁護士の久保利英明氏は「アニメーションなどのコンテンツ(内容)が知的財産立国に向けた柱となる」と指摘。三菱電機の野間口有社長は「特許侵害品の流通を抑えることが産業競争力強化の観点からきわめて重要」との意見を述べた。」
[2003-03-19-21:06]

 
 
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◆2003/05/21 「<知財本部>30大学に設置 海賊版阻止へ国際取引委」
 『毎日新聞』
 「政府の知的財産戦略本部(本部長・小泉純一郎首相)の推進計画骨子が20日、判明した。30の国公私立大学に知的財産本部を設置して特許申請させるほか、「日本に年間1兆円の被害を与えている海賊版や模倣品」(政府関係者)を水際で阻止する国際取引委員会を設置することなどが柱。知的財産権(知財権)の保護・活用戦略では欧米に水を開けられており、政府が総合的な知財戦略を構築して日本の競争力の回復を狙う。
 骨子は「創造」「保護」「活用」「コンテンツ」「人材育成」の5分野について具体策を明記。「創造」では、30大学を対象に研究成果を特許出願させ、研究開発費の一定割合を特許申請などの費用に充てることも検討する。
 「保護」では特許審査を迅速化する。現在、50万件が審査中で、年5万件のペースで増えており、「時代の変化に追いつけず、他国に先取りされかねない」(政府関係者)深刻な状況の改善に努める。
 また、「痛くない注射」や再生医療・遺伝子治療など先端医療にも特許を認め、ベンチャー企業の育成を図る。特許保護に重点を置く知財高等裁判所の設立も求める。
 「活用」では、知財権への信託方式導入の解禁を打ち出すほか、知財の評価方法の開発も目指す。企業が保有する特許は企業の技術力を示しており、アナリストの間では「今後、株価を大きく左右する」との見方が強まっているためだ。
 さらに、映画やアニメへの新規参入者を阻害している流通大手の寡占を排除する「コンテンツ産業振興法」(仮称)を制定することも明記した。」【藤好陽太郎】

 
 
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◆2003/05/21 「知的財産専門の高裁創設へ 戦略本部が推進計画案」
 共同通信ニュース速報

 政府の知的財産戦略本部(本部長・小泉純一郎首相)は二十一日、第三回会合を開催し、知的財産の保護のための総合的な政策対応をまとめた「知的財産推進計画案」の骨子をとりまとめる。知的財産関連の訴訟を迅速に処理するため、専門の高等裁判所を創設したり、特許審査迅速化法とコンテンツビジネス振興法の制定などが柱となる。
 政府は同計画案を七月に最終決定し、三年間で集中的に実行していく。
 特許や商標権といった知的財産に関する訴訟は、件数が多く、訴訟の内容も高度な専門知識が必要とされる場合が多い。こうした訴訟を迅速に処理していくことが、企業活動の活発化につながるとの判断から、専門の高裁創設を打ち出すことにした。現在の東京高裁
の知的財産に関する専門部(判事十六人)を基に作る可能性が高い。
 特許審査迅速化法は、現在遅れが目立っている特許審査をスピードアップすることが目的。コンテンツビジネス振興法は、「日本のアニメーションやゲームなどは産業としても重要になってきている」(同本部事務局)との認識から、ソフト業界を抜本的に後押しする内容とする。」[2003-05-21-17:02]

◇2003/05/21 「特許紛争処理向上へ高等裁判所も 知的財産戦略計画骨子」
 朝日新聞ニュース速報

 「政府の知的財産戦略本部(本部長・小泉首相)は21日、今後の知的財産戦略の基本となる推進計画案の骨子を発表した。特許紛争の処理機能向上のための知的財産高等裁判所や、海賊版や模倣品の水際での取り締まり強化を狙う「国際知的財産取引委員会(仮称)」の設置を検討すると盛り込んだ。また、医療関連特許の対象拡大の検討も明記した。
 骨子は「創造」「保護」「活用」「コンテンツ産業拡大」「人材育成」の5分野について具体的な行動計画を列挙した。
 このうち「創造」分野では、大学の特許取得・管理を後押しする政府助成の拡大を求めている。大学に眠っている発明の積極活用と産学連携の促進を狙っている。
 「保護」分野では、特許の審査処理業務の抜本改革を目指す特許審査迅速化法(仮称)の制定を求めている。特許庁には現在、約50万件の審査未処理案件が滞留しているため、出願人が審査請求しても約2年以上待たされる現状を改善する狙いだ。
 「活用」分野では、企業や大学の知的財産管理の効率化を後押しするため、信託制度の活用を打ち出した。信託方式での特許の効率的で費用が低い一元管理に不可欠な手法だという。ただ、金融庁による信託業法の改正が必要になる。
 同本部は7月に最終計画を決める方針。だが、機構改編や人員再配置、新規の予算措置、規制緩和を必要とする検討項目が多く、財政当局や関係省庁との調整が必要になる。」
[2003-05-21-19:04]

◇2003/05/21 「アニメ・映画育成で大学院 知的財産保護の推進計画案」
 共同通信ニュース速報

 政府の知的財産戦略本部(本部長・小泉純一郎首相)は二十一日、第三回会合を開催し、知的財産の保護と活用のための総合的な政策対応を集積した「知的財産推進計画案」の骨子をとりまとめた。映画やアニメ、音楽などのコンテンツ産業の育成を支援するため、
プロデューサー(制作者)養成のため専門職大学院設置や留学・奨学金制度を盛り込んだ。
 小泉首相は「従来の枠組みにとらわれることなく、本当に役に立つ計画をとりまとめてほしい」と発言。政府は七月に計画を最終決定し、三年間で集中的に実行していく。
 当初は知的財産関連の専門高等裁判所を創設することを盛り込む方針だったが、森山真弓法相が難色を示し、骨子では「専門高裁設置」と「処理体制強化」が両論併記された。
 計画案の骨子は、日本のコンテンツビジネスを飛躍的に成長させるため、創作者の育成専門機関の設立と助成、海外の一流創作者と制作者の招聘(しょうへい)などを明記。古い映画が保存されている東京国立近代美術館フィルムセンターの充実も掲げた。
 「日本のアニメーションやゲームなどは産業としても重要になってきている」(同本部事務局)との認識から、コンテンツビジネス振興法の制定を打ち出した。
 また特許審査に時間がかかりすぎるとの企業などの批判を踏まえ、特許審査迅速化法を制定し、特許審査をスピードアップを図る。
 知的財産権を侵害した模造商品の輸入を港や空港など水際で食い止めるための「国際知的財産取引委員会」の構想についても、一部から疑義が出され、設置の是非について引き続き論議する。」[2003-05-21-20:32]

 
 
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◆2003/07/09 「[知的財産推進]頭脳で勝負できる日本を目指せ」
 『読売新聞』2003/07/09社説2

 「製造業を中心とする「ものづくり」で低落傾向にある日本を知識や技術でどう救うか。
 そのために政府などが取り組むべき課題を掲げた「知的財産の創造、保護及び活用に関する推進計画」を、小泉首相を本部長とする知的財産戦略本部がまとめた。
 特許や著作権といった研究、創造活動の果実を、知的財産として手厚く保護し活用することで、日本の国際的な産業競争力を強化することを狙っている。
 製造業で、開発途上国の追い上げはすさまじい。スイスの国際経営開発研究所による産業競争力比較で、日本はマレーシアやタイより下位に落ちた。
 「世界の製造工場」の座は中国に奪われ、先端技術を発信するのは「世界の頭脳センター」である米国だ。日本の産業力は一九九〇年代初めまで世界の注目を集めたが、今や昔日の面影はない。
 そんな危機感から、推進計画は、八〇年代後半に特許重視の政策に転じた米国をお手本に、方策を提示した。生み出された質の高い知的財産を、国が迅速に権利として保護し、産業界が商業的な付加価値を最大限に高める。そうした「知的創造サイクル」を築くことが柱だ。
 今後の施策としては、研究現場の活性化や創作者の育成、特許や著作権制度の強化、知的財産を巡る訴訟を専門に扱う高等裁判所の創設、模倣品対策など約二百七十項目を挙げた。
 研究機関に対し、特許を取得する際に発明の証拠となる研究ノートを残すことや、小学校における知的財産教育の充実を求めるなど、細部にも目配りした。
 国がようやく知的財産の育成と活用に道筋をつけたものとして評価できる。
 日本の知的財産の扱いはあまりに遅れていた。特許庁には、特許審査が滞ったままの案件が約五十万件もある。推進計画は、特許審査迅速化法案を来年の国会に提出し、解決を図ることをうたっている。当然の措置だろう。
 問題もある。複数の省にまたがる項目も多く、「検討を行う」と、役所用語で「何もしない」の同義語ともいえる表現にとどまったものも少なくない。
 知的財産訴訟については、最高裁も円滑化に向けすでに対応を進めている。専門の高裁を創設するかどうかを巡ってはさらに、調整を急ぐ必要がある。
 米国は、インターネットを使った通信販売の手法を特許として認めるなど、常識にとらわれない発想を企業化に結びつけてきた。世界各国が、それに振り回される構図がここ十年余り続いている。
 今回の計画を、日本が国際競争に生き残る出発点にしなければならない。」

 
 
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◆2003/07/09 「知的財産―ここに日本の将来が」
 『朝日新聞』2003/07/09

 「米国から遅れること20年。特許権や著作権といった知的財産をどうやって守り、有効に活用して経済の再生につなげていくか。政府がその推進計画を決めた。
 盛り込まれた項目は270に達する。主な内容は次のようなものだ。
 大学や公的な研究機関の役割を重視し、研究者の業績評価では知的財産をどれだけ生み出したかを参考にする。信託業法を改正し、企業が持っている知的財産を資金調達に使えるようにする。
 審査を待つ特許申請は50万件もたまっている。この現状を改めるため、「特許審査迅速化法」を作って審査官を増やす。知的財産の訴訟を専門的に扱う高等裁判所の新設をめざす。模倣品や海賊版の取り締まりでアジア諸国との協力を強め、日本に流れ込むのを水際でくい止める。
 これらの対策で、知的財産を生みやすくし、それをしっかりと守り、そこから得た資金を新たな研究開発に向ける。そうした循環を生み出すのが計画の狙いだ。
 小泉首相が国会演説で知的財産重視を打ち出したのは、昨年2月だった。知的財産基本法を成立させ、首相を本部長とする官民合同の戦略本部を立ち上げ、1年半足らずで推進計画の決定にこぎつけた。戦略本部の民間メンバーが政府の尻をたたき続けた効果だ。だが、その過程では、相変わらず省庁の縄張り争いが目についた。
 特許の審査官の増員では、公務員の定数を管理する総務省が数値目標の盛り込みに反対した。司法改革の主導権を失いたくないためか、最高裁は専門裁判所の新設に消極的な姿勢を続けた。模倣品・海賊版対策では、禁輸措置を発動できる「国際知的財産取引委員会」を設ける案が一時浮上したが、税関を抱える財務省が反対した……。
 裁判所や委員会など組織をただ作ればよいわけではないが、役所の駆け引きを見ると、何のために首相が本部長を務めているのか、と感ぜざるをえない。
 国際的な競争の激しい知的財産分野ではスピードが大切だ。縄張り争いの暇があったら、できることから実行することだ。
 例えば、映画やアニメ、家庭用ゲームといった分野だ。日本発のアニメ映画が相次いで国際的な賞を受賞している。テレビアニメの放映では、日本製が世界の6割を占めるという。ゲームでは機器、ソフトとも世界トップ水準の実力を誇る。
 ただ、ここでも人材の育成や資金調達、海賊版対策など課題は山積している。韓国などアジア勢の追い上げも急だ。この分野でまず、様々な対策を集中的に展開し、モデルケースとしてはどうか。
 赤字続きだった特許料の国際収支も02年度は200億円の黒字に転じた。「知的財産立国」の芽は出ている。ここでまた、政府の意気込みがかけ声倒れに終われば、日本の将来は危うくなりかねない。そうした危機感を持って取り組んでほしい。」

 
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◆2003/07/15 「<知的財産>整備事業対象に東大など34件」
 毎日新聞ニュース速報

 「文部科学省は15日、特許など知的財産の取得や有効活用のために大学や国立研究機関が設置する知的財産本部の整備事業の対象に、東京大など34件を選定した。複数の大学が連合して知財本部を設置するケースもあり、対象大学・機関は計58になる。同省は各本部ごとに人件費などの年間事業費として4000万〜8000万円を原則として5年間、補助する。
 申請は83件(122大学・機関)あり、有識者で構成する委員会の審査を経て決定した。
 同本部は、企業の知的財産管理の経験者や弁理士ら外部人材を登用して教員らの研究成果を管理し、企業との連携など総合的な特許戦略を構築する組織だ。
 来年度から国立大が法人化され、特許の帰属も研究者個人から機関に移ることになっている。同省は、知財本部が研究成果の社会還元と大学の財政強化を図る上で有効として、支援することを決めていた。
 同省は、2年後に各本部の活動状況を中間評価する。内容が不十分と判断した場合は補助を打ち切り、支援対象を追加募集する。」【田中泰義】
[2003-07-15-19:26]

◆2003/07/15 「東大など34件選定 知的財産本部の整備事業 文部科学省」
 共同通信ニュース速報

 「文部科学省は十五日、特許や実用新案など、知的財産の取得や有効活用のため各大学が設置する知的財産本部を支援する「大学知的財産本部整備事業」の対象に東大、北海道大、徳島大など三十四件を選定した。
 申請のあった八十三件から、有識者による審査で決めた。各大学の年間事業経費のうち、人件費や本部運営費など四千万―八千万円を原則として五年間、補助する。
 このほか、より小口の支援プログラムとして、東京都立大など九件を選定。年間二千万円程度を二年間、支援する。
 知的財産本部は国立大学の法人化や、特許の帰属が研究者個人から機関になるのに備え、弁理士を雇用して、知的財産の維持管理や取得の促進、企業との連携による効果的な活用を図る組織。
 二年後の中間評価で補助打ち切りとなった大学が出た場合は、追加募集する。法人化への移行期間の制度のため、五年後以降は補助しない。
 採択された大学は次の通り(複数大学が連合して採択された場合は代表機関だけ表示)。
 北海道大▽岩手大▽東北大▽筑波大▽群馬大▽東京大▽東京医科歯科大▽東京農工大▽東京工業大▽東京水産大▽電気通信大▽横浜国大▽山梨大▽静岡大▽名古屋大▽京都大▽大阪大▽神戸大▽広島大▽山口大▽徳島大▽九州大▽熊本大▽北陸先端科学技術大学院大
▽奈良先端科学技術大学院大▽大阪府立大▽東京理科大▽慶応大▽東海大▽日本大▽明治大▽早稲田大▽立命館大▽国立情報学研究所。
 小口の支援プログラムは、金沢大▽新潟大▽信州大▽岐阜大▽名古屋工大▽豊橋技術科学大▽岡山大▽九州工大▽東京都立大。(了)」
[2003-07-15-15:07]

 
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◆2003/10/17 「科学技術施策、最優先は16%=もんじゅも「非常に重要」−総合科技会議」
 時事通信ニュース速報

 「総合科学技術会議(議長・小泉純一郎首相)の有識者議員らは17日、来年度概算要求での各府省の科学技術関係施策について、優先度に応じた順位付けをまとめた。特に重要で積極的に実施すべき「S」ランクは、ヒトゲノムの解読完了を受け、遺伝子の働きに関する統合データベースを構築する「ヒトゲノムネットワーク研究」などで、全施策の16%。前年度の29%から減少した。
 個別の研究では、小柴昌俊東大名誉教授がノーベル物理学賞を受賞したニュートリノ研究の延長上にある「大強度陽子加速器計画」の第2期前倒しが、「多額の投資が正当化されるか疑問がある」として、最低の「C」ランク。
 一方、国の設置許可取り消しの控訴審判決が出て、国が上告中の高速増殖炉原型炉「もんじゅ」は、「核燃料サイクルの確立に不可欠で非常に重要」としてSランクとした。」

◆2003/10/17 11:28 共: 「“国策”や経済効果を優先 科学技術予算の格付け公表」
 共同通信ニュース速報

 政府の総合科学技術会議は十七日、二○○四年度科学技術関係予算の概算要求に盛り込まれた主要施策について優先度に応じ四段階で格付けした結果を公表した。国際熱核融合実験炉(ITER)など“国策”や経済波及効果の大きな事業が最優先のS評価を受けた。
 格付けの対象は要求額二十億円以上の新規事業と同十億円以上の継続事業の計百九十八件。結果は予算編成に反映される。二度目の今年は、評価理由も公表した。
 Sは三十二件でITERや高速増殖炉もんじゅなど“国策”や、準天頂衛星など経済波及効果の大きな事業が中心。体内で働くタンパク質の相互関係を解明、医薬品開発に役立てるとする文部科学省のゲノムネットワーク研究も選ばれた。
 南極観測船しらせの後継船建造が目玉の南極観測事業や国際宇宙ステーションは前年度のB(効率的な実施が必要)からA(重要)に上がった。
 見直しを求めるCは十六件。ハイテクを駆使する次世代農業生産システム(農水省)は「わが国の小規模農業の実情に合っているのか」、宇宙空間で発電した電力を電波で地上に送る宇宙太陽電池システム調査研究(経済産業省)は「実用化に当たり考慮すべき点が
多い」と辛い評価だった。
 特定の大学を研究拠点に指定する二十一世紀COEプログラムはA評価ながら「採択数を増やしすぎては意義が薄まる」と注文が付いた。(了)」
[2003-10-17-11:28]

 
 
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◆2003/11/20 「[職務発明]研究に意欲燃やせる環境作ろう」
 2003/11/20『読売新聞』社説2

 「企業や研究機関に大きな利益をもたらす発明をした研究者にどう報いるべきか。
 産業構造審議会の特許制度小委員会が、職務発明の対価の決め方について、特許法の改正を前提とした基本的考え方をまとめた。
 現行法は、発明に関する権利は研究者にあると定めたうえで、三五条で、職務発明については、企業などが特許の権利を譲り受けられる、としている。その代償として、「相当の対価」を研究者に支払うよう規定している。
 だが、対価の決め方については規定がなく、企業などが一方的に決めることが多かった。企業に数百億円の利益をもたらす特許でも対価が数万円の例もあり、研究者が退職後などに、「対価が不当に低い」と、企業に対して相次いで訴訟を起こしている。
 こうした現状を踏まえて、特許小委は三五条を見直し、対価の決め方について、企業などの一方的な判断によるのではなく、研究者と協議して決定する規定を盛り込むよう求めた。特許庁は、これを受け、来年の通常国会提出に向け、特許法改正案の策定に着手する。
 製造分野で人件費の安い中国などに圧倒されつつある日本は、高い技術力で立ち向かうしかない。それに結びつく研究者の独創的な発明を促すためにも、こうした法改正は必要なことだ。
 協議の進め方として、特許庁は、対価について研究者が異議を申し立てる機会を設けることなどを想定している。
 対価の決め方については、企業などにも、どれだけ払えば訴訟を免れるか分からない、との声が多かった。裁判所が、企業の利益に対する双方の貢献度をもとに「相当の対価」を算定し、企業に差額の支払いを命じることが多いためだ。
 対価の決定を協議に委ねることで、訴訟頻発に歯止めはかかると、特許庁はみている。だが、産業界には、訴訟の可能性がなお残る、との懸念もある。
 特許小委は、このため、企業が訴えられても、裁判所が発明、製品化へと至る企業の貢献を幅広く考慮するよう、三五条を手直しすることも求めている。
 対価の決め方については、契約に委ねる米国のように、三五条の廃止を求める声も根強くあった。だが、その米国でも研究者の権利を保護するための法律制定を求める動きがある。
 対価の算定式を法律で細かく定めたドイツでは、企業にとって、米国に比べ不利な内容との批判があり、制度改正が検討されている。
 企業や研究者が、独創的な発明に意欲を燃やせる体制作りを急ぎたい。」


 

◆2005/05/04 「知的財産権侵された」65%…300社調査
 読売新聞ニュース速報

 日本の主要企業の約65%が、製品を丸ごとコピーされたり、製品名やマークをま
ねされるなどして、知的財産権を侵されていることが、読売新聞が3日までに集計し
た主要300社へのアンケートでわかった。発覚したコピーや盗用の約3分の1は、
中国で行われていた。

 日用品にとどまらず、大型プラントから微生物まで、幅広い品目で被害が出ている。
各社は中国当局に通報したり、提訴などで対抗しているが、侵害の手口も巧妙になっ
ていて、有効な防御策が見つからない状況だ。

 アンケートは主要企業300社が対象で、280社から回答があった。

 このうち、相手側が謝罪したり、捜査当局の摘発を受けるなど侵害を実際に確認で
きた例は、186件で、侵害の疑いがある例も含めると314件に達している。最も
多かったのは勝手に他社の社名やマークをつけるなどの商標権侵害で、120件と全
体の38%を占めた。技術や製法などに関する特許権侵害が81件、デザインなどの
意匠権侵害も56件にのぼった。中には、デザインや製造番号、梱包(こんぽう)の
段ボールまで、そっくりコピーされた例もあった。

 314件のうち、114件は中国で行われ、バイクや車、時計、おもちゃなどでの
侵害が多かったが、「製鉄の生産ラインを部品まで、丸ごとコピーされた」「遺伝子
組み換えで作り上げた微生物が納入先から横流しされている疑いがある」との回答も
あった。

 企業側も防衛に必死で、例えば、任天堂は昨年だけで100万個のゲームソフトの
模倣品を見つけた。

 各社は中国などでの監視体制を強化し、知的財産権管理を専門に行う要員を増やす
といった対策を強化している。だが、合弁を持ちかけて技術を盗むなど、新手の手口
が増え、対策が追いついていない。

 このため、56%の企業が知的財産権侵害に対する不安を抱き、約半数の企業が日
本政府に対し、海外での知的財産権侵害への対応の強化や、国際的な保護ルールの確
立を求めている。

 ◆知的財産権=発明や芸術作品など、人や企業が知性・感性を使って生み出した創
作物の権利。発明は特許権、製品デザインは意匠権、ブランドは商標権、映画や音楽、
小説などは著作権として法律で保護され、無断でまねできない。価値の高い知的財産
権を多く生み出し、守ることが日本経済の重要課題とされる。

[2003-05-04-03:15]


UP:20030208 REV:0209,17,18,19,25,0305,16,0724,0807 1021,22 1209 200040130
科学技術・国際競争・国家戦略・…  ◇科学技術・国際競争・国家戦略・…2003  ◇所有
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