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シマ/島、いま――キューバから・が・に・を 見る
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  • 永遠のハバナに続いて



    2003年にフェルナンド・ペレス監督の『永遠のハバナ』がキューバで公開されてから8年が経とうとしている。国内外で大きな反響を呼んだ本作に脈々と流れる「夢とは何であろうか」「今を生きること」というテーマを抱えつつ、自身の手でキューバの現実と向かい合い、作品を編んでゆく次世代の作家たち。変わらないこと、変わっていくこと、そして人々の夢や願望の揺らめきを見つめる。時に物理的に限られた状況でも表現の模索を続けること。映画制作が抱える根源的な問いとも重なり合い、いま、これからのキューバ映画の浮島が見えてくるのかもしれない。


    -シュガー・カーテン

    Sugar Curtain
    El telón de azúcar

    キューバ、スペイン、フランス/2006/スペイン語/カラー/ ビデオ(原版:35mm)/80分

    監督、撮影:カミラ・グスマン・ウルスーア
    編集:クラウディオ・マルティネス、カミラ・グスマン・ウルスーア
    音楽:オマール・ソーサ 
    製作:ナタリー・トラフォード、カミラ・グスマン・ウルスーア

    キューバ革命の黄金期と言われる70年代後半から80年代に生まれ育った世代は、その後、東側の社会主義体制の崩壊と共に国の社会も経済も麻痺してしまい、自分たちの理想や価値観までもが打ち砕かれてしまう。幼い時に両親に連れられチリから亡命した監督が、今は大人になった同級生たちにインタビューし、子どもの頃の日々を実直に懐かしく語る言葉を通して、この世代に深く根ざした思いと現実を浮き彫りにしていく。



    -ハバナを探して

    Looking for Havana
    Buscándote Havana

    キューバ/2006/スペイン語/カラー/ビデオ/21分

    監督:アリナ・ロドリゲス・アブレウ
    撮影:エルネスト・グラナドス
    編集:アベル・ライモンド、ソロクティン
    音楽:モイセス・イ・ダイロン
    製作:ノマール・ゴンサレス・パストラナ

    島の東部で貧困にあえぐ人々が、豊かな暮らしを求めてハバナへとやってくるが、国民の移動を制限する法律を侵した不法滞在者とみなされるため、まともな職も家も得ることができず、途方に暮れる。本作はハバナ郊外の不法住居地区へと立ち入り、そうした東部出身者たちの苦しい現実を描き出す。



    -マルティ

    Martí

    キューバ/2007/スペイン語/カラー/ビデオ/13分

    監督、脚本、撮影:アラナ・シモエス 
    編集:マリアナ・バリオニ
    録音:スサーナ・バリーガ 
    製作:フリオ・エロス・ニエト 
    製作会社、提供:EICTV

    不運な巡り合わせと逆境に満ちた人生を生きてきた男が、その状況に出くわした者なら誰が犯してもおかしくない罪を犯す。服役を終え、今はそれを洗い流すように愛する女とひっそりと、淡々と生きている。そんな自分の人生を、懺悔するかのように、カメラに向かって語りかける。



    -二人のわたし

    Dual Me
    Yo dual

    キューバ、メキシコ/2007/スペイン語/カラー/ビデオ/15分

    監督、脚本:アラナ・シモエス
    撮影:ダニエラ・カヒーアス 
    編集:タイナ・メネセス 
    音楽:イバラ・ペニャ
    製作:アンヘル・アルバレス 
    製作会社、提供:EICTV

    主人公のアーティストは自分の人格の二面性と何とか折り合いをつけながら毎日を生きている。その二面性は彼/彼女の住むキューバの現実をも反映している……。本作はペルーのクスコ国際短編映画祭2008にて学生部門の最優秀作品賞を受賞した。



    -舟の造り方

    How to Build a Boat
    Cómo construir un barco

    キューバ/2007/スペイン語/カラー/ビデオ/13分

    監督:スサーナ・バリーガ
    撮影:ダニエラ・カヒーアス 
    編集:マリアナ・バリオニ
    製作:エクトール・サアグン 
    製作会社、提供:EICTV

    海を愛するキューバの漁師たち。キューバと米国の国境付近(サンタクルス・デル・ノルテとフロリダ間)の海を漁場にしているが、両国の政策の違いやキューバからの違法移民の波に始終翻弄され、生活も左右されている。それでも彼らは自国の漁師としての誇りを捨てようとはしない。



    -イリュージョン

    The Illusion

    キューバ/2008/スペイン語/カラー/ビデオ/24分

    監督、撮影、編集:スサーナ・バリーガ
    脚本:スサーナ・バリーガ、ファビオ・メイラ
    録音:ニコラス・ツァベルティディス、エドゥアルド・カセレス、ルベン・バルデス
    製作:スサーナ・バリーガ、アンドレ・レアオ、ロイド・ピータース、カタリナ・ダ・ヴィア、デイヴ・リグビー
    製作会社、提供:EICTV

    スサーナはずっと父親の顔を思い出そうとしていた。26年間、その顔を想像し続けた末に、彼女はキューバからイギリスへ初めて父親に会いに行く。そして、それが実現した今、自分のカメラで録画したぼんやりとした彼の映像と、会う前に彼女が作り上げていたイリュージョンを修復したいという願いだけが手元に残った。そこには、父との別離によって生じた期待とあふれる感情も深く滲みでている。



    -寂しいベッド

    The Lonely Beds
    Las camas solas

    キューバ/2006/スペイン語/カラー/ビデオ/14分

    監督、脚本、撮影:サンドラ・ゴメス
    編集:ローランド・コジャ
    音楽:ロベルト・ペルドモ
    製作:エレナ・ペドラッツォーリ
    製作会社、提供:Peacock Films

    大型のハリケーンが近づいてきている。ハバナのある老朽化したアパートの住民は、家財道具一切を持ってその建物からの避難を余儀なくされる。住人が出て行った後には空っぽのベッドが残されている……。



    -未来は今日

    Today Is the Future
    El futuro es hoy

    キューバ、スイス/2009/スペイン語/カラー/ビデオ/35分

    監督、脚本:サンドラ・ゴメス
    撮影:サンドラ・ゴメス、アドリアン・メリス
    編集:ローランド・コジャ 
    製作:エレナ・ペドラッツォーリ
    製作会社、提供:Peacock Film

    宙ぶらりんのまま何かを待つようにして暮らすハバナの生活。7人の登場人物たちはそれぞれにキューバの将来について思うところを語る。ずっとこのままの状態で続いていけばいいと思う人もいれば、変革を望む人もいる。しかし共通するのは、みんな、高い波が打ちつける岸壁沿いの道、マレコン通りに深い思い入れを持っていること。本作は2006年から08年にかけて撮影された。



    -ボイーオ

    Bohío

    キューバ/2010/スペイン語/カラー/ビデオ/14分

    監督:カルロス・Y・ロドリゲス
    製作:パブロ・ガルシア
    製作会社:Televisión Serrana

    キューバ東部に住む若い夫婦が、自分たちの手だけで、サトウキビの葉と土を使った原始的な家“ボイーオ”を建て、大きな誇りを持ってそこに住まおうとする。



    -クーバ・センチメンタル

    Cuba Sentimental

    日本/2010/スペイン語、日本語/カラー/ビデオ/59分

    監督、撮影、編集、提供:田沼幸子
    編集助手:レオニード・ロペス
    監修:市岡康子
    音楽:エドゥワルド・マルティン

    サチ(作者)がかつて知り合ったキューバの若者たちは、その後みな、外国へと去った。「乗って来た船を燃やすようなもの」とひとりの女性が作中でつぶやくように、キューバ人は出国後11ヵ月で祖国での居住権を失う。それでも彼らを国外へと駆り立てたものは何か。サチは散り散りになった友人たちの住む国々を訪ね、家族や友人たちと離れて新しい人生を歩む彼らの複雑な思いにカメラを向ける。