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銀幕よ甦れ! やまがた映画館異聞録



我々の映画体験は、いつ、どこで、どのように鑑賞したかという上映場所の記憶と切り離すことができない。本映画祭は、これまで山形という土地で、文字通り二年に一度の祭りとして、そのことを示し続けてきた。このプログラムでは、歴史的な大火の火元となった酒田市の伝説的映画館グリーン・ハウスをめぐる上映と展示、また脚本家・伊藤和典の実家である上山トキワ館で撮影された押井守監督の実写作品上映という、今はなき山形の二つの劇場に関する企画を通して、我々と映画と地域を繋ぐ場所――映画館のマジックを浮かび上がらせる。

(成田雄太)


紅い眼鏡/The Red Spectacles

The Red Spectacles

日本/1987/日本語(フランス語字幕)/カラー、モノクロ/35mm/116分

監督:押井守
プロデューサー:斯波重治、林大介
脚本:伊藤和典、押井守
撮影:間宮庸介 照明:保坂芳美 音楽:川井憲次
出演:千葉繁、鷲尾真知子、田中秀幸、玄田哲章、兵藤まこ、永井一郎、大塚康生、天本英世
製作会社:オムニバスプロモーション 提供:有限会社バルク

20世紀末――凶悪化する都市犯罪に対抗し、警視庁は特捜班を結成。特殊強化服と重火器で武装した彼らは〈地獄の番犬=ケルベロス〉の俗称で呼ばれた。しかし、非情な捜査活動に世論の非難が集中。組織は解体を余儀なくされる。3年後、武装解除に抵抗し、国外逃亡していた都々目紅一が街に帰ってくるのだが……。



トーキング・ヘッド

Talking Head

日本/1992/日本語/カラー/ 35mm/105分

監督、脚本:押井守
撮影:間宮庸介 照明:保坂芳美
美術:花谷秀文 録音:岩橋政志
編集:松尾浩 監督補:伊藤和典
造形:MOBY DICK 特殊効果:BIG SHOT
音楽:川井憲次 音響監督:千葉繁
アニメーション制作:アイジータツノコ
出演:千葉繁、石村とも子、立木文彦、 田中真弓、石原慎一、兵藤まこ
プロダクション:エンボディメント・フィルムズ
製作:バンダイ 提供:バンダイビジュアル

納期の1ヶ月前になってもシナリオすら上がらず、ついには監督までもが失踪した超大作アニメ『Talking Head』。是が非でも映画を完成すべく召集された渡り演出家の〈私〉であったが、脚本家、作画監督と、スタッフが次々殺されていく……。全編を上山トキワ館内で撮影した押井守による「映画論映画」ともいうべき問題作。



上映後トーク トキワ館をたずねて

上山市のトキワ館は、押井守作品で多くの脚本を手掛けてきた伊藤和典氏の実家でもあった。温泉地に佇む老舗映画館と、押井作品のロケ現場という2つの顔を持つ映画館。その姿を伊藤氏の肉声を通じて呼び起こすと共に、評論家・上野俊哉氏を迎え、映画館で撮影された映画論映画という奇妙な入れ子構造を紐解く。

ゲスト: 
伊藤和典(脚本家)、上野俊哉(評論家)

 


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世界一と言われた映画館 〜酒田グリーン・ハウス証言集〜

The World's "Top" Theater

日本/2017/日本語/カラー、モノクロ/Blu-ray/67分

監督、構成、撮影:佐藤広一
制作助手:稲田瑛乃
協力:山形大学人文社会科学部映像文化研究所
製作:山形国際ドキュメンタリー映画祭

「西の堺、東の酒田」と称される商人の町・酒田市には、“世界一デラックス”と言われた映画館「グリーン・ハウス」があった。1976年、 酒田大火の火元となったグリーン・ハウスは、人々の記憶から半ば抹消されてしまう。そして今、40年の沈黙を経て語られる、かつて映画館を愛した人たちによる貴重な証言集。



上映後トーク 伝説の映画館 酒田グリーン・ハウスを巡って

映画評論家・淀川長治をして世界一と言わしめた映画館。かつて北前船を通じ様々な文化が往来し、進取の気質が醸成されてきた港町酒田に、奇跡のように存在し、多くの人に驚きと喜びと誇りをもたらしながら、大風の日に中心街とともに消え去ったグリーン・ハウス。その光と影を、関係者とともに振り返る。

ゲスト: 
飯野昭司(庄内ドキュメンタリー映画友の会)
仲川秀樹(社会学)、佐藤良広(映画サークルα85代表)
成田雄太(映画文化研究者)ほか