原方刺し子(はらかたさしこ)は、山形県米沢藩の下級武士「原方衆(はらかたしゅう)」の婦女のあいだから、生活苦の中でも士族の誇りを忘れないために生まれ、昭和初期まで受け継がれた裁縫技術による雑巾である。「花雑巾(はなぞうきん)」、「上杉花ぞうきん」ともいい、その技術そのものをさして「米沢刺し子」ともいう。 士族の証である文様を刺し入れた足ふき用の雑巾を玄関に置き、貧困から田畑を耕す一族の男衆が田から帰宅した際や、来客に、足をのせさせる際に本来の身分を思い起こさせるために用いられた。