『二流の人』(にりゅうのひと)は、坂口安吾の中編小説。黒田官兵衛(黒田如水)を主人公とした歴史小説である。「第一話 小田原にて」「第二話 朝鮮で」「第三話 関ヶ原 」の全3章から成る。権謀術数にかけては人に譲らないほど秀でていたが、二流の武将に甘んじた黒田如水を独自の目線で捉えた作品で、その後に書かれた他の安吾の歴史小説の根幹をなす作品ともなっている。 豊臣秀吉、徳川家康、石田三成ら、四囲の情況が自然に天下を望む自分の姿を見出すまでは野望を持たず、自己を突き放したところに自己の創造の発見を賭けた「芸術家」としての天下人と、戦略にたけた野心児であったが時代に取り残され、どさくさに紛れて天下を望む「二流の人」として人生を終えた黒田如水とが対比的に描かれ、戦国の英雄たちの個性が、戯作的な文体と講談風の語り口で表現されている。