写真1●3月から受注を開始する「QFabric」シリーズのスイッチ「QFX3500」
写真1●3月から受注を開始する「QFabric」シリーズのスイッチ「QFX3500」
[画像のクリックで拡大表示]
写真2●「QFabric」シリーズを構成する製品群
写真2●「QFabric」シリーズを構成する製品群
[画像のクリックで拡大表示]
写真3●「QFabric」シリーズを使った中規模システムの構成例。大規模システムでは最大で128台の「QF/Node」を使ったネットワークを構成できる。
写真3●「QFabric」シリーズを使った中規模システムの構成例。大規模システムでは最大で128台の「QF/Node」を使ったネットワークを構成できる。
[画像のクリックで拡大表示]

 ジュニパーネットワークスは2011年2月25日、同社のデータセンター向け製品「QFabric」シリーズのレイヤー2/レイヤー3スイッチ「QFX3500」(写真1)を3月から受注すると発表した。

 「QFabric」は、L2/L3に対応した専用スイッチ「QF/Node」を、「QF/Interconnect」という専用装置につなぎ込むことで一つのスイッチとして動作させる仕組みのこと。複数の「QF/Interconnect」と「QF/Node」を、「QF/Director」という専用装置で一元管理する(写真2写真3)。「QF/Interconnect」には、最大128台までの「QF/Node」を接続できる。「QF/Interconnect」と「QF/Node」の間は光ファイバーケーブルで接続する。

 3月から受注を開始する「QFX3500」は1Uサイズで、「QF/Node」の第一弾という位置づけだ。SFP+/SFPを48ポート、QSFP+を4ポート備える。SFP+/SFPは、1Gイーサネットでは最大36ポート、10Gイーサネットでは最大48ポート、2G/4G/8Gのファイバーチャネルでは最大12ポートまで対応可能で、これらを組み合わせて最大48ポートまで収容できる。QSFP+は40Gイーサネットでは最大4ポート、10Gイーサネットでは最大15ポートまでを収容可能だ。FCoEにも対応しており、FCoEのネットワークとファイバーチャネルで構成されたSANを相互に接続するゲートウエイ機能も備える。参考価格は、最小構成時で482万8000円。なお、「QF/Interconnect」と「QF/Director」の提供は2011年第3四半期になる見通しだ。

 物理的に複数のスイッチを一つのスイッチとして扱う技術としては、これまでもジュニパーネットワークスの既存製品に「バーチャル・シャーシ」という機能があった。バーチャル・シャーシ機能では複数のスイッチを専用ケーブルでスタック接続し、一つのスイッチとして扱える。専用ケーブルのほかに光ファイバーケーブルを使った接続にも対応しており、遠隔地のスイッチ同士をつないで一つのスイッチとして構成することもできた。

 「QFabric」は「QF/Interconnect」という専用装置に複数のスイッチをつなぎ込む点がバーチャル・シャーシと異なる。従来のスイッチのポート(I/Oポート)部分をQF/Nodeに切り出し、バックプレーン部分をQF/Interconnectに集約したイメージだ。「QFabric全体が一つのスイッチとして動作するので、データセンター内でパケットが経由するホップ数が減る。データセンターなどの大規模ネットワークでの遅延を軽減できる」(ジュニパーネットワークスの担当者)という。

 次世代データセンターで有望視されている技術には、ほかにも現在IETFで標準化が進められている「TRILL」(トリル)というプロトコルがある(関連記事)。こちらはイーサネット上での利用を想定した冗長化技術。スイッチに設定されたコスト値を互いに交換することで、最適な経路を求める仕組みだ。TRILLと比べた場合、「QFabric内はイーサネットやIPなどの標準プロトコルではなく、当社独自の技術で一つの物理スイッチであるかのように通信できる。TRILLなどのプロトコルレベルでの冗長化技術を使う必要がないので、ネットワークのデザインをより簡単にできる」(ジュニパーネットワークスの担当者)としている。