日本銀行は2010年9月30日、今年9月時点の調査である「全国企業短期経済観測調査(短観)」の業種別計数を発表した。調査結果からは、企業のソフトウエア投資額の回復が今年6月の前回調査時点よりも鈍化していることが分かった。全産業の2010年度のソフトウエア投資計画値は前年度比で2.9%増加するが、前回調査に比べると0.4%の下方修正となっている。円高が進んだ9月上旬の景況感が大きく関係しているとみられる。
業種別に見ても全産業と傾向は同じだ。前年度よりも投資計画値は増加するものの、6月の前回調査比では下方修正である。「製造業」は前回調査比で0.3%の下方修正、「非製造業」は同0.6%の下方修正だった。
ただし、細かくみると投資額の回復を早めている業種もある。「自動車」は前回調査比で7.4%の上方修正、「電機・ガス」は同3.4%の上方修正だった。「全産業の回復ペースが遅れたのは確かだが、投資額の大きい自動車、電気・ガスなどの業種が前回調査に比べて上方修正したのは好印象だ。ITサービス産業は来期から本格的な業績拡大が始まるだろう」とドイツ証券の菊池悟リサーチアナリストは話す。