写真1●システム企画部長の高橋 憲昭氏
写真1●システム企画部長の高橋 憲昭氏
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写真2●システム企画部情報システム課長上席次長の川岸 伸二氏
写真2●システム企画部情報システム課長上席次長の川岸 伸二氏
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写真3●システム企画部情報システム課の佐藤 大和氏
写真3●システム企画部情報システム課の佐藤 大和氏
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 Javaでスクラッチ開発し、クライアント側はRIA(リッチ・インターネット・アプリケーション)技術で実現---大和証券は国内証券大手として初めてPTS(私設取引システム)サービスを2008年8月から提供するにあたり、システムをゼロから作る道を選んだ。

 同社のPTSサービスはオンライン上に市場を開設し、取引所が閉まる平日(営業日)の18時から23時59分まで取引を可能にする。同社のオンラインサービス利用者層の拡大を狙ったものだ。株の売り気配と買い気配をみて同社の担当者が値付けする「マーケットメイク方式」で取引する。

 この新サービスを支えるシステム(ダイワPTS)をなぜスクラッチで開発し、RIAを採用したのか。PTSシステムの開発を主導した大和証券システム企画部長の高橋 憲昭氏(写真1)、システム企画部情報システム課長上席次長の川岸 伸二氏(写真2)、システム企画部情報システム課の佐藤 大和氏(写真3)に聞いた。

PTSシステムをスクラッチ開発した理由は。

高橋氏:株取引のオンライン化や今回のPTSサービスはいずれも、規制緩和によるものだ。規制緩和により、新たに可能になったサービスを顧客にいち早く提供するには、システムをスクラッチ開発するしかないと判断した。行政の発表があってからベンダーがパッケージを開発するのを待っていては、時間がかかりすぎるからだ。

 今回開発したPTSシステムはサーバー8台とデータベースを新たに購入し、Javaを使ってゼロから構築した。しかしスピードだけでなく価格面でも、パッケージを導入して後から追加開発を重ねるよりも結果的に安く済むと考えている。

クライアント側のアプリケーションにRIA技術を使ったのはなぜか。

佐藤氏:リアルタイムでかつプッシュ型で情報を配信を実現できることと、アプリケーションの保守性を考えて採用した。マーケットメイク方式では株の売買の気配をみて担当者が値付けする。必要な情報をリアルタイムでプッシュ配信できるのが前提だった。

 リアルタイムのプッシュ配信だけなら、クライアント/サーバー型のシステムでも実現できる。ここで問題になるのは保守性だ。クライアント/サーバー型ではアプリケーションのインストールやバージョンアップなどを個々の端末ごとに進める必要がある。RIAなら、ソフトのインストールやバージョンアップをすべて中央のサーバーで一元管理できる。この点も大きなメリットだと感じた。

RIA技術をどう利用したか。

佐藤氏:開発ツールを使って作業を効率化した。候補に挙がったのは、アクシスソフトの「Biz/Browser」、カールの「Curl」、アドビシステムズの「Flash」、日本ネクサウェブの「Nexaweb」などだ。結果的にNexawebを選択した。データをプッシュ配信する機能を標準装備していたのが最大の理由だ。今回のシステムでは、リアルタイムにデータをプッシュ配信できることが絶対にはずせない要件だった。

 もう一つの理由は、開発言語がJavaだったことだ。他の製品は開発のために独自の言語や環境が必要だった。新たな言語を習得するための負担をできるだけ軽減したかった。Nexawebが三菱東京UFJ銀行の為替予約サービスなど金融分野で利用実績がある点も評価した。