日本郵便が情報システムで使うハードウエアに関する保守契約の方針を刷新する意向を固めた。日経コンピュータの取材で分かった。
24時間保守を原則として採用せず、故障機器の修理を1週間分まとめて実施するなど過剰サービスを減らして、ハード保守費を従来の2割程度に減らす。2018年夏以降の新規入札案件から新方針を適用する。既存の保守契約は既に条件を見直す交渉に入った。
鈴木義伯専務執行役員CIO(最高情報責任者)は「現行の保守契約はITの技術変化を反映していない。サービス過剰でコストが高止まりしている」と話す。NTTデータ出身の鈴木CIOは日本取引所グループのCIOを経て2017年4月に日本郵便のCIOに就任して以来、見直しを模索してきた。
新方針ではITベンダーと契約する保守のパターンを品質が低いほうから「スポット保守」「日中週1保守」「日中保守」「24時間保守」の4つに分ける。そのうえで、ハードが故障したら1週間以内の修理完了を契約先のITベンダーに求める「日中週1保守」を標準とする。システム全体の稼働率に影響するごく一部の機器を除き、24時間保守を廃止する。
日本郵便の現行保守契約の多くは、ハード本体価格の16~20%を毎年保守料として支払う24時間保守という。「冗長化や仮想化などの技術が未熟だったころは24時間保守が必要だったが、今は1台が故障しても全体の稼働にほとんど影響しない」(鈴木CIO)。
今後の標準とする日中週1保守では、24時間保守と比べてサービス品質を下げる分、保守費用も8割ほど値下げを求める。サービス品質の切り下げによる影響を調べるため、2017年後半の3カ月間、ハードが故障した際に1週間放置してみた。「それでも業務に全く支障が出なかった」(同)ため、新方針の導入を決めた。