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ひろゆきこと西村博之氏(写真左)と、『大人のひきこもり――本当は「外に出る理由」を探している人たち』(講談社現代新書)の著者・池上正樹氏(写真右)が“激突”。予備軍も含めると「40代以上の大人のひきこもり=100万人」という日本が抱える大問題をテーマに、語り合った。

2010年と比較して、「ひきこもり」はどう変化したのか。なぜ、中途採用にいくら応募しても、採ってもらえない状況があるのか。ひきこもる人々はもちろん、コミュニケーションが苦手な人にとっても、活躍できる居場所は必ずある――。それぞれの立場から二人が持論を展開、打開策を探った。

ハローワークの“カラ求人”!?

池上 僕が「ひきこもり」をテーマにした前著『ドキュメント ひきこもり』(宝島社新書)を刊行した2010年、はじめてニコニコ動画に出演させていただき、ひろゆきさんと対談しました。

でも実は、(ニコ動の視聴者層は)もともと僕が仕事していた活字媒体の読者層とは違うだろうし、見えない相手からコメントされることに対する怖さもあって、何度かお断りした経緯があり、いやいやながら引き受けたのが正直なところでした(笑)。

そうしたら意外なことに、その時のニコ動を見た人たちがたくさんいて、以来、ひきこもりに関する講演活動で全国各地を訪ねると、行く先々でひきこもりの当事者の人たちから「ニコニコ動画見ました」「池上っていうのはどんなヤツなのか、ちょっと会いに来ました」って、言われるようになりました。

ひろゆき 「ひきこもり」当事者の場合、たしかに活字で読むという人より、ネットで見る人のほうが多いでしょうからね。

池上 社会とのつながりがネット中心という人も多いようです。そういうことが何度もあって、ニコニコ動画というのは効果があるんだな、と痛感しました。

ひろゆき テーマがテーマですからね。「ひきこもり」やってる人で、ネットやってる人、多いですからね。

池上 特に地方の人の場合、他に行くところがないし外に行く場所もないということで、しょっちゅうニコ生とかを中心に見ている人が多い、という話をよく聞きます。

ひろゆき 2010年と比較して、「ひきこもり」の状況はどう変化していますか?

池上 体感的には増え続けていますよね。裾野が広がっているというか。従来のコアなひきこもり層に加えて、たとえば都会で働いていた人が親の介護を理由に仕事を辞め、田舎に帰ったものの再就職先を見つけることができず、そのままひきこもってしまう……というような新たな層が出てきているんです。

拙著『大人のひきこもり』でも紹介していますが、会社の求人に200社、300社と応募しても、採用してもらえない人たちが非常に多い。

ひろゆき これまでの「ひきこもり」というのは、非常にわかりやすかったのですが、今回の本では失業者も「ひきこもり」にカテゴライズされていて、そういう意味では幅がすごく広がっちゃっている、というのが感想でした。

池上 そうした人々を“失業系ひきこもり”と呼ぶメディアもあるぐらい、いまの日本の経済状況の深刻化が5年前よりもさらに進んでいる、ということではないでしょうか。特に地方に行けば行くほど、いろいろな理由で外に出られなくなってしまった人たちが増え続けていますね。

ひろゆき 今後も増え続けますよね、景気が悪い限り。仕事があれば“失業系ひきこもり”は減ると思うんですけど、仕事は減る一方じゃないですか。そうすると、1回、“失業のわな”にハマると、なかなか抜け出せなくなりますよね。

池上 求人数は多いように言われていますが、応募し続けているのに返事すら来ないケースが少なくありません。ようやく入社できても、そこはブラック企業で傷つけられたりする。

それに加え、地方に行けば行くほど、「正規社員になってほしい」という親のプレッシャーがいまだに強い。しかし、ハローワークに行っても“カラ求人”が多いんです。

ひろゆき 一見、募集はしているけど……っていうやつですよね。

池上 そうそう。人間関係から「ちょっと頼むから求人出してよ」といわれて、形だけ求人を出す企業があるから、一見、求人数は多いように見える。だから、世間も「こんなに仕事があるのに、なんで就職しないんだ?」と言うんです。でも実際に面接を受けたとしても、何の反応もないというのが実態です。