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ロッキンを結束バンド目当てに初参加したらアジカンに全て持っていかれた話

とても感情が揺さぶられたので残しておきたい
自分は30代半ばを過ぎて初めてこのような夏場真っ盛りにハシャぐイベントに参加したただのオタクである。野外イベントがそもそも初。結束バンドだけが目当てではないくらいの音楽知識を以っての参加である。

 

まず、持ってかれた理由の1つとして位置取りに失敗したというのも大きい。
チケットで割り振られた入場時間が遅く、勝手もわからずに物販に並んだり(目の前でゴムバンド売り切れ)、荷物を預けに並んでたりで開演時間が迫り(それでも30分前くらい)、違うステージで歌っているanoちゃんのデスボイスに心を惹かれつつも振り切り、結束バンドが演奏するステージの真ん中後ろぐらいに陣取れたからまぁ良し!と思っていたのだがライブが始まると
「んんん〜〜思ったより何か音圧が低いぞ…!これが野外ライブなのか…?」
と、位置取りにミスったことに気付かされる。
そういうのを求めるならもっと前に行く必要があった。そして結束バンドのコアなファンは30分前どころかそれ以上前からステージ前に並んでいた。甘かった。

 

2つ目は開演直後に目の前で人が倒れて(え、え、どうするどうする?)みたいな周りの空気感の中結束バンドの演奏が始まったしまったことだ。横に彼氏っぽい連れがうずくまってしまった彼女を介抱していたが、彼氏もどうしていいかわからない様子。おそらく熱中症で倒れたらしい。
このままでいいのかと、自分も周りもあわあわしている中、1曲目が終わりそのまま次の曲であり1番生で聞きたかった曲の「あのバンド」が始まってしまった。
もはや……な、何も集中できない…!スタッフさん早く見つけてくれ…!と祈っている中、目の前を横切ってスタッフでもない1人の男性が彼氏に声をかけ、彼氏と協力して彼女をこの何万人の集団のど真ん中から外に連れ出していったのだった。
そして、この集団から出るということは、このライブを半分投げ出すということになる。
誰も動けなかった中、その男性はその選択を取り、そのカップルを連れ出したのだ。
まさに英雄的行為。自分は見ているだけしかできなかった。

 

この1と2が同時に発生したた途中まではあんまり集中して聴けてなかったが、音圧にも慣れた頃には、もうね、めちゃくちゃ楽しかったですね。
うだるような暑さで脳が茹っている中、今まで何度もループして聞いていた結束バンドの曲を生で聴くと本当にキマる。これで酒飲んでる人までいるんでしょ?そりゃもうさらにキマる訳で、真夏の野外フェスにハマる人たちが少しわかった気がする。
そしてまさか、あれ歌うかなぁ〜聞きたいなぁでも歌って良いんかこれここでみたいなことを思っていたところに「大先輩の曲を心をこめて歌います」とぼっちちゃん役の青山さんがアルバムに収録されていたアジカンのカバー曲である「転がる岩、君に朝が降る」を本当にここで…ロッキンで歌ってくれて感無量で…いや初参加だけど、それでもなんです。アジカンのネックタオルを掲げている人もいて良かった。
締めの劇場版主題歌「月並みに輝け」が、生で聴くとより「あ〜この歳になっても人生に対する焦燥感を煽ってきやがるぜぇ〜全力で生きないとなぁ〜〜」感が凄くて涙が出てきました。

 

結束バンドで割と体力を使い果たし、そして昼過ぎだったので会場で満足に休憩はできないと判断。一旦途中退場して並んでいても涼めるびっくりドンキーで体力回復に努めた。

休憩後、アジカンまでにどうしても聴きたかったKroiのステージを観に行くと、え?ただでさえ難しそうな演奏なのにこれ音源よりさらに激しくないかヤバない?的な演奏をほぼノンストップで魅せつけれて脳が痺れる。最高に満足度が高かった。

さらにLISAのステージを最後列あたりで聴きながら、次に始まるすぐ後ろのアジカンにステージに備える。「ROCK-mode」が生で聴けたのは嬉しい…しかし結束バンドの二の舞いになってはいけないと、後ろ髪を惹かれつつアジカンのステージに向かう。

 

アジカンのステージはまだ人はまばらだった。結束バンドのときがおかしかったんだ……。
夕暮れが近くなり太陽が雲に沈みこむ。暗がりが広がりステージの雰囲気が変わる。
LISAのラスト曲「紅蓮華」が終わり人も集まってきた。
あまりロック関連のライブとの縁がなかったのでアジカンのライブはこれが初めてとなる。予習が足りてなくて最近の曲はあんましわからんぞ…そればっか流されたら、もうごめんなさいしかないぞ……みたいなそわそわした気持ちで待っていたらメンバーが登場。


ボーカルの顔がアップでスクリーンに映し出される。初めて生で見た後藤氏は、黒縁丸メガネのちょび髭、パーマの掛かった長めのセンターパートボブ?で街中で見かけたら絶対に気づかないちょっとサブカルファッション寄りの普通のおじさんだった。やはり記憶に合った頃との顔にギャップを覚える。お互いに歳を取ったなと、勝手に思いを巡らせる。
演奏が始まる。イントロだ。このイントロは「新世紀のラブソング」のイントロだ。音源より長めの演奏しているイントロ、ずっと聴いていられる。そして呟くように歌いはじめる。そうそうそんな曲だったなと、徐々に自分の中で熱が溜まっていく。
それで感情のトリガーが引かれ易くなっていたのか、次曲「Re:Re:」の小刻みなリフの印象の強いイントロで「あ!あ〜!あれだ〜!ああ〜!」と脳内実況が止まらなくなる。高校生の頃、ひたすらリピートしていた曲。Aメロが始まり、もはや腕組み涙ぐみおじさんと化した自分は脳内ドーパミンの溢れるがままに聴き入っていた。
そしてスクリーンに映し出される後藤氏の歌う姿が、あんなにオーラもなく瞼が半分くらいは閉じているようなおじさんだったのに、歌い始めたらもうバフが何重にも掛かっているかのようにマジでめちゃくちゃカッコ良く見える。これが生かと。これがライブなんだと。

 

自分のテンションとは反対にライブは淡々と進んでいく。その淡々した中、急に「転がる岩、君に朝が降る」が入り込んできたときの周りのざわめきは忘れられない。
しかも結束バンドと同じステージである。結束バンドファンへのファンサービスなのか、結束バンドへのアンサーなのか、何らかの根回しがあったのかはともかく、明らかに結束バンドを意識された選曲は、結束バンドと「大先輩」との繋がりが見えた瞬間だった。
ああああ、これ以上エモさを頭ン中に突っ込まれたらおかしくなる……と感情の洪水に涙を耐え忍びながら転がる岩を聴いていた。

そして次々とあの頃の曲が演奏され、そのまま最後までひたすら脳はドーパミンをまき散らしながら、ただただ目の前の演奏に感情が流され続けていった。

 

いや、期待していなかった訳でもなかったし結束バンドのついでのつもりも全くなくどっちも同じくらい楽しめると思っていたのだが、こんなにも脳汁がびちゃびちゃになるとは脳に刻まれている年季の深さを甘く見ていた。その点が持っていかれたという点であり、あの頃にヘビロテしていたのにはもう勝てないのかと、おっさんの悲しみを覚えるところでもある。
しかし、結束バンドのステージがあったからこそ、アジカンのステージでバフが掛かり脳汁びちゃびちゃ体験があったのだ。新しいことも大事。
行って本当に良かった。